【真荒】あなたのいる場所8

弱虫ペダル二次創作 腐向け 真波×荒北
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ひな@復旧中 @newgibbousmoon

【真荒】あなたのいる場所8 「……だから、なんでオレんとこ来てんだよ、真波!」 オレとおまえは友達とかじゃねえよな!と、銅橋が吼える。 「うん。でも同じ部活だよね」 「オレ、辞めさせられたから!」 「どうせ明日には入部するでしょ。気にしない、気にしない」 「おまえは気にしろ!」

2014-12-06 15:31:01
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon 激しく気にしろ、このマイペース宇宙人め!と罵られる。 「え、オレ、ちゃんと地球人類だよ、ひどいなぁ、銅橋」 「ひどいのはおまえだ!なんで、勝手にオレの部屋に泊まること決めてんだよ!なんでオレが知らないのに、他のやつらが知ってんだよ!!」

2014-12-06 15:32:38
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon 「それはちゃんと届け出たからだよ。チャリ部って優遇されてるからさ、届出だせば、ちゃんとごはんも食べられるんだよ。知らなかった?」 「知るか!!」 「大丈夫。ちゃんと泉田さんの許可もとったから」 泉田の名を出すと、銅橋は途端に静かになった。

2014-12-06 15:34:11
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon 「……泉田さんは、何て?」 「え、寮に泊まってるなら明日は遅刻はないな。みっちりしごいてやるから覚悟しろって」 「……おまえ、どんだけ遅刻してんだよ」 銅橋は強面なので誤解されやすいが、これで結構生活態度は真面目である。寮生であるから遅刻も少ない

2014-12-06 15:36:08
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon 「えー、ここのところ遅刻はほとんどないよ。オレ、すごい頑張ってるもん」 坂の誘惑を撥ね退け、ちゃんと学校に来ている。 当たり前の事だといわれるかもしれないが、真波にしてみれば素晴らしい快挙だ。 (だって、荒北さんが言ったし) 理由はそれだけだ。

2014-12-06 15:39:10
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon 正直、真波には遅刻しないことの意義はよくわからない。 部活の邪魔をされないため、というのはわかったけれど、因果関係はまだ納得できていない。 でも、荒北は間違ったことは言わない、という信仰にも似た絶対的な何かが、今の真波の中にはあって、だから従う。

2014-12-06 15:40:41
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon 東堂に対しても似たようなものをもっているが、荒北のそれはとても深くに根ざしていて、ちょっとやそっとでは覆りそうにはない。 「……で、寮に泊まってまで何がしたかったわけ?おめーは」 イヤそうに問うた銅橋は、問うた瞬間に、自分の失策を悟った。

2014-12-06 15:43:37
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon 真波の目が、よくぞ聞いてくれたとばかりにキラキラと輝いたからだ。 「あのね、オレ、告白しようと思ってさ!」 「へえ、告白……え?ええ?告白だぁ?」 あっさりうなづいて流そうとした銅橋は、その単語の持つ不可解さに、流すことを失敗した。

2014-12-06 15:45:21
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon 「そう!オレ、好きな人がいて、その人、寮生だからさ!本当は告白してから来ようかと思ったんだけど、まだ部屋に戻ってないから、さきにこっちに来ちゃった」 「……一度、寮に入っちまうと、外出んの面倒だろうが」 「え?どうして?」 「どうしてって、何?」

2014-12-06 15:47:32
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon 「寮、ここだもん。外なんか出る必要ないし」 「え?え?告白だよな?」 「そうだよ」 「……相手、男?」 躊躇いがちに聞いた銅橋に真波はあっさりとうなづいた。 「うん」 まるで屈託がない。 「おめー、ホモかよ」 「そんなことないよ。女の子好きだよ」

2014-12-06 15:49:13
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon オレ、おっぱい星人なとこあるし、とケロリとした顔で言う。 「じゃあ、何で」 「そういう子たちよりももっと、あの人が好きなだけ」 銅橋の頭に浮かんだのは、もちろん、真波の保護者たる山神様、東堂だった。 「……相手にされないんじゃねえの?」

2014-12-06 15:51:29
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon 「たぶんね」 でもさ、そんなことではこの気持ちはなくならないよね!と真波は両手の拳を握り締める。 「けど、迷惑がられたりするんじゃねえの?気持ち悪いとか想われるかもしれないし」 「意外にちっせーなー、銅橋」 「てめぇ」 「だってそうじゃん」

2014-12-06 15:56:19
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon 真波はくっと口元をつりあげて笑う。雰囲気がガラリと変わった。 「あのさ、誰かを好きになるってことの前では、性別とか、年の差とか、そんなのどうでもよくなるじゃん?」 「……それは、てめえだけだ」 「そんなことないよ。それにね……」

2014-12-06 15:59:00
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon 真波はそこでうっとりとした笑みを見せて言った。 「オレの好きなあの人は、本気で真剣に言ったら、ちゃんと本気で真剣に応えてくれるよ。そういう人なんだ」 銅橋は、その表情にぞくりとした。 口調はいっそ明るいと言っていいほどなのにどこかおかしいと感じる

2014-12-06 16:02:37
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon あるいはそれは狂気とも呼ぶべきものかもしれなかったけれど、すぐにそれは霧散した。 「あ、でも、それはうなづいてくれるってことじゃないからね」 そこ間違えないでよ、と、真波はまたいつもの顔になって言った。 「……なあ、おまえ、何やってんの?」

2014-12-06 16:04:23
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon 急に固まってしまった真波に声をかける。 「……好きな人って言っちゃったよ、オレ」 「はい?」 「何かすごく恥ずかしいね、口に出すのって」 「……おまえ、頭大丈夫か?」 「うん。……オレ、あの人の事、本当に好きなんだ」 まるで確認するかのように呟く

2014-12-06 16:06:49
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon それから、勝手にのぼった銅橋のベッドの上で、うわぁどうしよう、どうしようと転げまわった。 (……とりあえず、俺はこいつを怒鳴ってもいいと思うんだが) 恥ずかしいよう、と枕に顔を埋めてじたばたしている真波をみていると、何だか怒鳴る気力もなくなるのだ

2014-12-06 16:08:29
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon (……こいつのように傍若無人に生きられたら、俺ももう少し楽になるかもしれない) 銅橋は大きな溜息を一つついた。

2014-12-06 16:09:25