茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート第1377回「和の完全勝利」

脳科学者・茂木健一郎さんの12月17日の連続ツイート。 本日は、きのうしみじみ思ったこと。
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茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート第1377回をお届けします。文章は、その場で即興で書いています。本日は、きのうしみじみ思ったこと。

2014-12-17 07:07:48
茂木健一郎 @kenichiromogi

あれは、ほんとうにあったのかなあ、と思うことがあるのだけれども、確か、中学か高校の時に、「テーブルマナー講習会」というお知らせがあって、ぼくは行かなかったけれども、申し込むと、フルコースを食べながら、テーブルマナーについていろいろ学習するのだった。

2014-12-17 07:08:49
茂木健一郎 @kenichiromogi

かつて、日本人にとって、西洋料理のテーブルマナーはいろいろ緊張するもので、フォークやナイフは外側からとれだとか、ナプキンはどうしろとか、いろいろなことを言われた。スープを飲む時には手前から向こうにスプーンを動かせとか、そんなことも言っていたような気がする。

2014-12-17 07:09:58
茂木健一郎 @kenichiromogi

極めつけは、かつて存在した、「ナイフとフォークでお皿に盛ったご飯を食べるときのマナー」で、一体誰があんなことを言い出して、みんな従っていたのかと思うのだけれども、なぜか、フォークの背のところに、ナイフでご飯を持って食べるのであった。

2014-12-17 07:11:03
茂木健一郎 @kenichiromogi

思うに、あの頃は、日本から見て、西洋が文化として「先進」だと認識されていた時代の名残りがあって、西洋料理を食べることが、ちょっとおすましするというか、グレードアップした感じがあったから、テーブルマナーでいろいろ気を遣う、ということも受け入れられていたのだろう。

2014-12-17 07:12:23
茂木健一郎 @kenichiromogi

時は流れて、フレンチでもイタリアンでも何でも、ご飯を食べることは気楽な行為になった。そもそも、ナイフやフォークを使わずに、箸、ということも多くなった。昨日会食していたフレンチも、一応ナイフやフォークはついていたが、最初から最後まで箸で通して、なんの問題もなかった。

2014-12-17 07:13:37
茂木健一郎 @kenichiromogi

少なくとも、日本国内については、「和の完全勝利」になっていると思う。時には、昔風の肩肘張った本格的な「西洋料理」でおすましするのも良いかもしれないが、そこにはクラスとかそういうのはなくて、たまたまそんな「コスプレ」をしている、程度の認識しかないと思う。

2014-12-17 07:14:59
茂木健一郎 @kenichiromogi

むしろ、服装だってスマートカジュアルでいいし(別にTシャツやジーンズだっていいじゃないかと僕は思う)、最初から最後まで箸でいいし、とにかく気楽にやらせてもらいますわ、というのが、レストランに行く人の標準的なかたちだと思うし、それが和の進化形だと思う。

2014-12-17 07:16:08
茂木健一郎 @kenichiromogi

料理の出し方も、メニューを見ながらもっともらしくあれとこれ、というのはもう流行らなくなっていて、日本の昔ながらのやり方の、「おまかせ」でいい、という流れになっている。苦手な食材だけを聞いて、あとはぼんやりしていれば勝手に出てくる。それで何の問題もない。

2014-12-17 07:17:19
茂木健一郎 @kenichiromogi

日本人は、少量ずついろいろ食べたいと思うから、欧米のレストランに行ったとき、みんなで違うものをとって分ける。あれだって、かつてはマナー違反だとか言っている向きもあったけど、今となっては、いや、あっちのやり方の方がちょっとダサイ、くらいな感覚になっているような気がする。

2014-12-17 07:18:41
茂木健一郎 @kenichiromogi

このように、和のやり方が完全勝利を収め、むしろ西洋の側に広がっていくような時代になったのは、とりあえず良かったなあ、と私は感じる。かつての、テーブルマナー講習会のような、無理して人工的な「礼儀正しさ」を強制されるような風潮は、一時期の気の迷いに過ぎなかったのであろう。

2014-12-17 07:21:10
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート1377回「和の完全勝利」をテーマに、10のツイートをお届けしました。

2014-12-17 07:21:48