宵の血に依る契約城:一日目昼

──そして、始まる。 ※前日譚含む
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ウィータスラーウァ @VitaslavaCC

これは、悲劇だろうか。 これは、喜劇だろうか。 母は俺に、この最低の街で出来る限りの教育をしてくれた。物語なんてものにも、触れることができた。けど俺は結局、それを“嗜む”までにはなれなかった。 これは、悲劇だろうか。 これは、喜劇だろうか。 俺は招待状と吸血鬼に、退路を塞がれた。

2014-12-20 18:02:35

 
 

コロル @Conces_color

「ねえ、どんな姿だったら怖がられないと思う?」 道端の花に話しかけた。当然ながら答えはないんだけど、気を紛らわすことは出来た。 「狼だったら撫でてもらえるかな」 「蝙蝠……はーだめか。うーん迷うねえ」 「子供の姿ならどうだろう」 「大人でもいいけどねえ」 「どうしようかな……」

2014-12-20 18:31:47
コロル @Conces_color

「――いつも通りでいっか」 ミニハットの位置を整えて、るんたるんた歩く。 楽しみだな。どんな子がいるんだろ。 「できれば、」 そう、できれば。 「僕と仲良くしてくれる子がいいなあ」 招待状を片手にちょっとだけ僕は不安を覚えながら。 「皆にも逢えるし、楽しみだね」 小さく笑った。

2014-12-20 18:37:42

 
 

シア @ConcesC_Cia

君に添い遂げましょう。 私の生を捧げましょう。 其処で出会う一人だけ。 私の全てを差し出すわ。

2014-12-20 18:48:07
シア @ConcesC_Cia

君を縛り付けましょう。 私は君を憎みましょう。 此処からは逃がさない。 私の総てで閉じ込める。

2014-12-20 18:48:12
シア @ConcesC_Cia

どうして? 私だけが? 許さない。 殺したい。 貴方達を。 貴女達を。 赦さない。 殺めたい。 どうして? 知ってる。 どうして? 解ってる。 貴方達は、 貴女達は、 わたしを、 わたしを、 わたしを、 わたしを、 わたしを、 わたしを、 わたしを、 わたしを、 わたしを、

2014-12-20 18:48:36
シア @ConcesC_Cia

私は、両親の後の繁栄の為に売られたのだと思ったわ。 姉達は純血の男に嫁いで行ってしまっていたから。 後から識ったのだけど、私だけが残されたのはこの日を迎えるためだった。 そう。私は体良く売られたの。 (だったら) 私は思ったわ。 私の両親にも吸血鬼にも、恥をかかせてやりたいと。

2014-12-20 18:49:25
シア @ConcesC_Cia

* ────この命を以って。 *

2014-12-20 18:49:40

 
 

プレリ @Conces_prairie

ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハッ

2014-12-20 19:51:59
プレリ @Conces_prairie

物陰に逃げ込んだ私は荒い息を吐き出す口を方当てで押さえてそのままへたり込んだ。 早鐘のように鳴る心臓がうるさい。 先ほど転んで出来た擦り傷が痛い。 にじむ汗でへばり付いた前髪が気持ち悪い。

2014-12-20 19:52:29
プレリ @Conces_prairie

でも何より。 呼吸を早く整えないと《あいつら》に見つかってしまう。 その恐怖が、私の脳内を支配する。 噛み合わない奥歯がガチガチと音を立てる。 呼吸は一向に整わない。

2014-12-20 19:53:18
プレリ @Conces_prairie

嗤い声が聞こえる。 悲鳴が聞こえる。 罵声が聞こえる。 ものの倒れる音。壊れる音。 そして、こちらに近づいてくる足音。

2014-12-20 19:53:25
プレリ @Conces_prairie

どうにかあの場から持ち出した果物ナイフを強く握りしめる。 呼吸が、心音が、思考が暴れる。 嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ 嫌だ!!

2014-12-20 19:53:59
プレリ @Conces_prairie

やがて、近づいてきた足音は私の真横で止まる。 恐怖が、脳内を埋め尽くす。 「あああああああああ!!!!!」 私は叫び、手に持ったそのナイフをがむしゃらに大きく振りかぶった。 そして、

2014-12-20 19:54:35
プレリ @Conces_prairie

――ようやく私はいつもの悪夢から覚醒した。

2014-12-20 19:54:48

 
──そして。
 

匿名企画『宵の血に依る契約城』 @Conces_Castle

——大梟が空を見上げる。 ——明るい明るい太陽に、よく晴れた蒼穹、白い雲の遮る間も無い、疑うべくもない、『佳き日』。 ——大梟は、ようやくそこで、翼を広げた。

2014-12-20 20:00:14
プレリ @Conces_prairie

この城まで来る間の馬車の中で転寝をし、情けなくも悲鳴を上げながら目を覚ました私に、御者の方は大丈夫ですか? と優しい言葉をかけてくれた。 あれは少し恥ずかしかった。 数刻前の出来事から、気を取り直すように私は深く息を一度吐き出す。 そして案内された広間へと、足を踏み入れた。

2014-12-20 20:13:32
プレリ @Conces_prairie

まだ人の気配はないように感じる。 一番乗りだろうか。 そう思いながらあたりを見回す。 高価そうな家具。高い天井。煌くシャンデリア。 「……厭味だな」 自分の簡素な服を見降ろして、拗ねたような声が出たのは仕方がないことだと思う。

2014-12-20 20:14:38
アルカ @Conces_arca

ガツ、と地を穿つような踏み込み。 表情には隠しきれぬ苛立ちが混じり、歩調は荒く。 ――いい加減にしろ!! 出る間際までも手を煩わせた一族の者に対し、胸中怒りをぶつけ。 城が見えてくる位置で気を鎮めるため、立ち止まる。 ――これでは、いけないな。 気を入替える様息を吐き。

2014-12-20 20:19:23
アルカ @Conces_arca

歩調は先ほどよりも緩やかに。 厚い靴の底が地を打つ音を耳に、懐より封筒を取り出す。 「契約、か」 意にそぐわぬ者に強制する意図は持ち合わせていないが。 見つからないのも困る。考え、物憂げにため息を一つ。 兎も角、気分は納まりがついた様。少し手前から歩く事にしてよかったか、と。

2014-12-20 20:20:25
アルカ @Conces_arca

空は、よく晴れた蒼穹。これが三日間の幸先が良い証であれば良いのだがと、城へと足を踏み入れる。向かう広間、既に招待者はそろっているだろうか。 耳元、青い光が揺れる。

2014-12-20 20:20:34
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