稲川淳二のつぶやき怪談　2014年12月27日投稿分

稲川淳二 @Junji_Inagawa

みなさん、ありがとうございました。 稲川淳二です。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

昨日で冬のライブツアーも無事に、千秋楽を迎えることが出来ました。 今年も残すところあと数日。 皆さんも、師走でなにかと忙しいですよね。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

さて、私は休む間もなく、明日はあるＣＭの撮影です。 そして、これからが忙しさ本番。 来年に向けての、ＤＶＤ・ＣＤ・本etc、とやる事ばかりです。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

お正月休みをいただきたいのですがねぇ・・・・・！ 終えると夏のツアーの準備と、もうかれこれ２０数年こんな感じですよ。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

今年最後の「つぶやき怪談」はいかがでしょうか？ 今夜、開催します。 お待ちしてまーす。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

こんばんは、稲川淳二です。 お待たせしましたねぇ、それでは、そろそろ始めましょうか。 稲川淳二の「つぶやき怪談」、怖・楽しい時間を、共有しましょう。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

節電のために、部屋の明かりを消して、 怖ーい噺で楽しんで下さい。 ゆったりと、くつろいで、お付き合いいただければと思います。 何が起こっても、責任はとれませんけど。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

近畿地方の内陸に位置する町と思って下さい。 ここの山裾に、開業当時人気だったオーベルジュという、 宿泊施設のあるレストランがあって、

稲川淳二 @Junji_Inagawa

結婚式やら披露パーティーなども行われて、 たいそう賑わっていたそうです。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

それが、何かの事情があって、営業が停止されて、 建物だけが残って、 これが若い人達の間で、格好の心霊スポットになったんですね。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

さて、数年前の夏の初め、 夜遅くに、このオーベルジュに続く峠のスカイラインを、 高校生が４人、スクーターを列ねて登って来た。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

市街地から離れた山裾ですから、 辺りには民家もなければ、明かりも無い。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

そうして到着すると、スクーターを降りて、 それぞれが懐中電灯を手に建物に、建物に入って行った。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

仮に、彼ら４人を、Ａ君、Ｂ君、Ｃ君、Ｄ君としておきましょうか。 真っ暗な屋内を、そこここ照らしながら進んでゆく。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

１階は、レストランと、その奥に厨房があるだけで、 別段、これといったものもないんで、 ゆるくカーブした階段を上がって、２階にゆくと、 ガランとした宴会場があった。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

破れたカーテンが下がった窓からは、幽かな星明りが射し込んでいる。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

かつてはここで、華やかな結婚披露パーティーなどが催されて、 着飾った紳士、淑女達の拍手や笑い声で、満ち溢れていた事でしょうが、 今はそれも忘れ去られて、見る影も無く、ひっそりと闇に包まれている。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

宴会場の中を、しばらく見て回ってから、真っ暗なロビーに出た。 それぞれの懐中電灯の明かりが、あっちこっちを照らしている。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

と、その明かりの中に、「控室」という文字が見えた。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

Ａ君が先に立って入って行って、ゆっくりと室内を照らしてゆくと、 中央の埃を被ったテーブルの上に、 数枚のカードが落ちているのを見付つけた。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

手に取ってみると、それは結婚披露パーティーの招待状で、 本来なら封筒に入っているはずなんですが、

稲川淳二 @Junji_Inagawa

何枚か剥き出しのままになっていて、 そのどれにも、女性の名前だけが、手書きで書き込まれていた。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

と、Ａ君がニヤッと笑って、持っていたサインペンで、 女性の名前の隣に、自分の名前を書いて、

稲川淳二 @Junji_Inagawa

「なあ、俺達の結婚披露パーティーに来てくれよな」 と言って、３人に招待状を手渡した。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

と、Ｂ君が 「よせよ、相手の花嫁って何者なんだよ？　シャレにならないぞ」 と言った。