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原の英標(という伝説の英語参考書)を読んでいたら、ショーペンハウエルいわくなんたらかんたらと論じた文があって、時制と進行形について考察するにはいい題材だと思った。
2015-01-03 14:35:59>It was Schopenhauer who first said that all arts aspire to the condition of music; (ショーペンハウエルいわく、音楽こそ究極の芸術形態である)
2015-01-03 14:41:26物理的メディアを介さずひとの心を揺さぶることができるから、という理屈。絵画なら絵を物理的に存在させないといけないし、文学も実際に文字にして、それを読む者に解読してもらわなければならない。音楽は違う。いきなりひとの心に入ってくる、と。
2015-01-03 14:45:06>Schopenhauer was thinking of the abstract qualities of music; (ショーペンハウエルがここで着目したのは音楽の抽象的性質のことだった)
2015-01-03 14:49:23ここ、なぜ過去進行形かわかりますか。thought of でなく was thinking of が使われた理由は。
2015-01-03 14:50:39"Ancient people thought the Sun goes around the Earth." (古代人は太陽が地球を中心に回っていると考えた)
2015-01-03 14:57:05今 thought を使いました。なぜなら「古代においては定説だった」と言いたかったから。いいですか定説ですよ定説。
2015-01-03 14:58:49一方でショーペン閣下の「音楽こそが芸術の究極理想」説は定説ではなく閣下の個人的見解、私見。定まったものではなくて、もし誰かから「そのご説はいかがなものか」と言われれば「そういえばそうやね。まあ私見やから」と返される可能性大。
2015-01-03 15:04:41映画『アマデウス』で、皇帝がモーツァルトを気に入って、自分の姪っ子のピアノ教師に抜擢しようと思いつく。そしてもう一人のお気に入り作曲家にこの思いつきを話してみる。
2015-01-03 15:08:47"I was thinking of Herr Mozart. What's your view?" (モーツァルトはどうかと考えた。そちはどう思うか)
2015-01-03 15:11:23皇帝が I am thinking of とは言わなかった理由ですか。実はこの発言の少し前、おそらく十数分ぐらい前に、姪っ子からじきじきに「音楽を習いたいのでいい教師がほしい」と相談されたからです。
2015-01-03 15:16:57王室で所有する大きな庭園があって、そこを皇帝と姪っ子がそれぞれ馬に乗って仲良く談笑していた。そのとき教師の話がでて、皇帝が「ああそれならいいのがいるぞ」と答えた、と想像します。劇中にそういう描写はないけれど、想像がつくように演出されている。
2015-01-03 15:21:13ここから先は映画のなかで描写されているとおりです。二人ともご機嫌で馬をかっぽかっぽ。するとそこには皇帝のもう一人のお気に入り作曲家アントニオがいる。"Good morning, Your Majesty."
2015-01-03 15:24:42「つい先ほど思いついたのだ。モーツァルトはどうかと」 ほんの十数分前でも過去は過去だから am でなく was が使われる。ヨーロッパ系言語は時制に厳格。
2015-01-03 15:27:50日本語なら「モーツァルトがいいと思うのだ」でも成り立つ。日本語は時制には比較的鷹揚で、むしろ相(aspect)に気を配る。事実「思う」に比べて「思った」だと、どこかよそよそしい感じ。
2015-01-03 15:39:32日本語はまず相から考え、それから時制を考える。ヨーロッパ系言語は逆で、時制をまず気にして、それから相を考える。ちなみに中国語は時制じたいがほぼ機能していない。そこは副詞句でカバーする。
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