第二話【始まる!女体化トーナメント!】の巻き

自キャラ女体化トーナメントの第二話です。
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ぺんさんセカンド @Pepen_san

第二話【始まる!女体化トーナメント!】の巻き

2015-01-02 21:44:23
ぺんさんセカンド @Pepen_san

赤い輝きを放つ擬似太陽が、グリッド線で四角く区切られた空に浮かぶ。太陽はその下に立ち並ぶビルを、その間を歩く人々を等しく照らしあげ、夜まで沈むことはない。ここは東京。日本に現存する4つの都市のひとつである。

2015-01-02 21:46:14
ぺんさんセカンド @Pepen_san

今、東京には平時と比べ物にならない程の数の人々が訪れていた。自キャラ女体化トーナメント。東西南北からジャンルを問わず集められた強者が、全てをかけてぶつかり合う一大行事。それが彼らの目的である。

2015-01-02 22:09:16
ぺんさんセカンド @Pepen_san

ホテルは全室予約で埋まり、居酒屋やバーは営業時間を引き延ばし、人々を迎え入れようとする。今日だけはお父さんお母さんも夜更かしを許すだろう。時には参加者が命を落とすこともあるが、開催を止めよと言う声は少ない。異能者同士の戦いと言うものは、それだけの価値が有るのだ。

2015-01-02 22:20:06
ぺんさんセカンド @Pepen_san

そんな女体化トーナメントが行われる会場を、より高みから見下す者が一人。彼女の目には真(リアル)東京駅から会場まで、真っ直ぐと向かう人々の流れが写っている。「ふ……。判るぞ、皆がこの大会を楽しみにする心が……」

2015-01-02 22:27:50
ぺんさんセカンド @Pepen_san

「目を見れば、わかる!」少女は腰に手を当て、無い胸を張りながら、天に向かって声を上げる。その体は赤いジャージに、両手は軍手で覆われている。髪は短く揃えられ、前髪が目に入らないようにカチューシャで止められていた。

2015-01-02 22:33:47
ぺんさんセカンド @Pepen_san

「んな事言ってねーでさっさと降りて来い友喜ぃー!そろそろ行かないと遅刻だぜーっ!」背後から彼女に声をかけたのは、これまた女性。背丈は高く、三白眼と目の隈、着崩したスーツがどこと無く威圧感を出している。胸も殆ど無く、声を聞かなければ女性と判断するのは難しいだろう。

2015-01-02 22:58:44
ぺんさんセカンド @Pepen_san

彼女の名は弐羽巧。ジャージ服を纏った少女、西条友喜のボディガードである。「それにあぶねえだろ!気をつけろよ!お前を死なせたら俺は首なんだからな!首!」西条が立っているのは、ビルの屋上。そこに設置されたフェンスの上だ。落ちたら死ぬ。彼女の言うことは最もである。

2015-01-02 23:07:34
ぺんさんセカンド @Pepen_san

「とうっ!」「あーっ!?」そんな弐羽を尻目に、西条はフェンスから跳躍!二回転ひねりを入れ、向かい合うように弐羽の目の前に着地する!「お前!俺を心停止させるつもりか!おいこら!パワハラで訴えるぞ!」胸を抑え声を荒げる弐羽!

2015-01-02 23:18:08
ぺんさんセカンド @Pepen_san

「もうそんな時間とは、知らなかった。勝手に抜け出したことは謝ろう。迎えに来てくれたことにもありがとうだ!しかし私にとっては重要なことだったのだ、許せ!」胸を張ったまま謝る西条。謝意は感じられない!

2015-01-02 23:20:24
ぺんさんセカンド @Pepen_san

「はぁー、ったく。毎回それだなぁ。少しは俺の気持ちも考えろよ!どれだけ心配したか!食事ものどを通らなかったぜ!」「そもそも食事する時間は無かっただろう。時間がないのだろう、早く行かねば!」怒りの表情で続ける弐羽。しかしそれを受ける西条はどこ吹く風だ。

2015-01-02 23:37:09
ぺんさんセカンド @Pepen_san

これだけ見れば弐羽が理不尽な目に合わされていると感じるだろう。だが、実際そんなことは無い。「言葉のあやだよぉ~!……ま、いいか。実際俺も、そんなに心配してたわけじゃないしね。実はご飯も食べてる。」「だろうな、『目を見ればわかる』。相変わらず適当な奴だ!」「ヘッヘッヘ!」

2015-01-02 23:51:15
ぺんさんセカンド @Pepen_san

西条友喜、西条財閥の御曹司でもある彼女の能力は『目を見ればわかる』。その名の通り、相手の目を見れば結構なことがわかる能力である。

2015-01-02 23:56:11
ぺんさんセカンド @Pepen_san

向かい合って目を見た時点で、西条がボディーガードから逃げる時、密かに弐羽が手を貸していた事。西条を探すと偽りサボってパチンコを打っていたこと。3万を飲み込まれたことなどがわかった。無論、全く心配などしていない事も、怒ってなど居ない事も。だからこそあの態度を取っていたのだ。

2015-01-03 00:00:25
ぺんさんセカンド @Pepen_san

ビルを下り、人の波に乗りながら会場へと向かう。かなり目立ってはいるが、二人とも特に気にする様子は無い。弐羽が言った。「実際、何でもお見通しだからな、友喜お嬢様は!勿体無いぜ!その能力を経営のほうで生かせばいいのによお!」

2015-01-03 00:21:14
ぺんさんセカンド @Pepen_san

「私以外なら、私もそう言うだろう!だが私は頭を使うのは嫌いだ!だから格闘家になる!その為に、この大会にエントリーしたのだ!」西条が目線を上げる。試合を中継する巨大なモニターが取り付けられ、様々な装飾の施された巨大な建造物。収容人数はとても多い!ここが女体化トーナメントの会場だ!

2015-01-03 00:28:46
ぺんさんセカンド @Pepen_san

「いいねぇ友喜!それでこそ応援する甲斐があるってもんだ!」パチンと手を叩きながら弐羽が言う。「でもよ、真面目な話評判悪いぜお前。財閥の推薦枠使ってるからね。金で出場枠を買った、なんて声も出てる。」

2015-01-03 00:37:16
ぺんさんセカンド @Pepen_san

「ああ、わかっている。さっき皆の目を見たからな。楽しみにしているのと同時に、怒りも感じていたよ。恐らく私に対して……。これはヒールと言うやつだな!」

2015-01-03 00:46:53
ぺんさんセカンド @Pepen_san

推薦枠は今大会8名。実績の伴わぬ参加者は他にもいるが、彼女は出資者の実の娘。批判の声を一身に浴びるのは仕方のないことであろう。だが、味方が居ない訳ではない。まず、ここに一人。「平気平気!」

2015-01-03 00:53:58
ぺんさんセカンド @Pepen_san

「俺の目から見ても、十分強いぜ友喜はよお。連中だって、試合を見れば一発で掌返さぁ!下手すりゃ俺だって負けるかも知れねえ!」「ありがとう、弐羽。だが後半は嘘だろう!目を見ればわかるぞ!」

2015-01-03 00:56:52
ぺんさんセカンド @Pepen_san

「あ、ばれた?」けらけらと、楽しそうに笑う弐羽。「まあ、俺も一応枠貰ってるからね!トーナメントで当たったら負けるつもりは無えよ!」それにつられて西条も笑う。「手加減されて勝っても嬉しくないからな、そうしてくれ!それでも勝つのは私だがな!」

2015-01-03 01:04:44
ぺんさんセカンド @Pepen_san

それから暫く笑いあっていた二人だったが、一つの放送がそれを止めた。『ぴんぽんぱんぽーん。開会式が近いので参加者の皆さんは控え室に云々かんぬん……登録がほにゃららほにゃらら……』

2015-01-03 01:18:01
ぺんさんセカンド @Pepen_san

「おっとそうだった!いそがねえとな!まだ手続きしてねえぜ!」「うむ!急がなければな!遅刻しては格闘家に成れん!」放送を受け、二人は館内へと駆け込んでいく。「……ハァーッ」人混みの中から、彼女達を見据える二つの瞳の存在に、最後まで気付かないまま……。

2015-01-03 01:24:55
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