@torapocodan さんのフランス情勢のツイート

安藤☮直樹（Ando Naoki） @torapocodan

強圧的な治安対策を行なう一方、サルコジは「役に立つ移民」の優遇政策を始めていく。いわゆる「選択的移民制に転換する法律」だ。この法律の主な目的は、質の高い移民は寛大に受け入れ、非合法の移民には厳しく取締りを強化するというものであった。「新自由主義者」サルコジの本領発揮である。

安藤☮直樹（Ando Naoki） @torapocodan

サルコジが極右「国民戦線」のジャン=マリー・ル・ペンのような単なる「移民排斥策」を取らず「選択的移民政策」を主導したのは、もちろん、当時、経済界などから要請されていた「労働力人口の減少と国民の老齢化への対策」としてのいわゆる「代用移民」の必要性を考慮したものであったといえる。

安藤☮直樹（Ando Naoki） @torapocodan

この死亡事件は、2005年10月、パリ北東郊外でラマダンを終え帰宅途中の3人の北アフリカ系の若者が強盗事件を捜査中の警察に職務質問を受け、変電所へ逃げ込んだ15歳と17歳の2人が感電死するという事件だった。彼らは警察の強圧的な職務質問に恐怖を感じ変電所に逃げ込んだといわれる。

安藤☮直樹（Ando Naoki） @torapocodan

サルコジ内相は国会などで北アフリカ系の若者たちを指して「人間のクズ」と呼び「ゴロツキは浄化する」などと発言した。サルコジの発言が暴動のきっかけとなった。暴動に参加した若者たちは「ぼくたちはこの数年、警察から、まるでゴミくずのように扱われてきたんだ」とテレビで叫んだ。

安藤☮直樹（Ando Naoki） @torapocodan

ニコラ・サルコジ自身がハンガリー移民の二世でもあり、苦労して弁護士になり、政治家へ転身するなど「移民の子ども」として社会的成功を納めた人物であった。サルコジの発言はフランス語すら「まともに話せない」ような北アフリカ移民への「憎悪」が原因の一つであったという論調もあった。

安藤☮直樹（Ando Naoki） @torapocodan

この北アフリカ系の若者を中心とした「暴動」はフランス全土に燃えひろがった。サルコジ内相は、彼らとの対話を一切拒否し徹底的な鎮圧を目指した。「暴動」は20日間に及んだ。シラク大統領がテレビで新しい制度を創設することや雇用での差別をなくすことを演説し、ようやく暴動は沈静化した。

安藤☮直樹（Ando Naoki） @torapocodan

しかし、サルコジによる「悪い移民は容赦なく叩く」姿勢は、右翼的な人びとの支持を獲得し続けた。2003年の移民法改正に続き、2006年には更に、従来の人権擁護の観点から行われてきた、家族と共に暮らす権利や長期滞在者に対する権利など、移民の権利を保障する制度が次々と廃止されていく。

安藤☮直樹（Ando Naoki） @torapocodan

この「選択的移民政策」の影響は、不法移民へのものだけではなかった。既にフランス国籍を「取得しているとされていた」移民に対しても向けられることとなった。北アフリカ系フランス人が「IDカード」発行を申請する際「フランス国籍」を持つ者であることの証明が求められるようになったといわれる。

安藤☮直樹（Ando Naoki） @torapocodan

2007年、大統領選挙にサルコジは立候補した。サルコジはこの選挙で、フランスの過去の「レジームからのrupture（ルプチュール）決別」と「より働きより稼ぐ」という新自由主義的な主張を繰り広げた。また移民問題の解決のための「移民とナショナル・アイデンティティ省」の創設を訴えた。

安藤☮直樹（Ando Naoki） @torapocodan

ちなみに、07年の仏大統領選に立候補した移民排斥の極右「国民戦線」のジャン=マリー・ル・ペンは「候補者の1人は移民出身で、私はフランス人」と述べ、移民2世であるサルコジを攻撃する作戦に出た。しかし結果としては右翼票はサルコジに取り込まれ、「国民戦線」は大きく後退することとなった。

安藤☮直樹（Ando Naoki） @torapocodan

決戦投票でサルコジは社会党のロワイヤル候補を退け、大統領となる。就任直後「移民、統合、ナショナル・アイデンティティ、共同発展省」を設立した。人事では、03年の北アフリカ系女性デモを組織したファドゥラ・アマラを都市問題省担当大臣として任命するなど、一筋縄ではいかない面も見せた。

安藤☮直樹（Ando Naoki） @torapocodan

大統領に就任したサルコジは、早速2007年に移民の家族の呼び寄せの厳格化を内容とする「改正移民法」も制定する。この法律は家族に入国に際して入国時前のフランス語の習得及び「受入・統合契約」への署名が求められることとなった。また家族の呼び寄せにおけるDNA鑑定の導入も盛り込まれた。

安藤☮直樹（Ando Naoki） @torapocodan

サルコジは「家族移民」を抑制する一方で、「選択的移民」の徹底化として、フランスの経済的需要に応える職業移民の拡大目標を数値として掲げ、「役に立つ移民」の推進を更に明確にした。また、不法移民の国外退去手続きの簡略化によって、多くの不法移民がフランスをを去ることとなった。

安藤☮直樹（Ando Naoki） @torapocodan

2007年には、フランスの移民問題に新たな側面が加わることになる。ロマ人移民の問題である。この年には、ルーマニアとブルガリアがEUに加盟する。EU域内には800万人にのぼるロマ人がいるといわれるが、フランスにも多くのロマ人が生活の場を求めて流入してくることとなったのである。

安藤☮直樹（Ando Naoki） @torapocodan

ロマ移民の排斥運動はイタリアで激化した。07年には、北西部のロマ難民キャンプへの放火で、ルーマニア出身のロマの子ども4人が焼け死ぬという事件が起きた。翌年以降も極右によるロマ人居住地区への焼き討ちが頻発するなど、ロマに対する「民族浄化」的行動が更にエスカレートしていく。

安藤☮直樹（Ando Naoki） @torapocodan

07年当時、イタリアでも、移民排斥を強く主張する極右政党の「北部同盟」などがその勢力が伸ばし、イタリアの国民世論や政治への影響力を伸長させていた。「北部同盟」と「国民同盟」は、ついに2008年に発足したベルルスコーニ首相による新政権のもとで閣僚にも名を連ねるようになっていく。

安藤☮直樹（Ando Naoki） @torapocodan

また東欧諸国でもその動きが強まっていた。ハンガリーでは、07年、極右・排外主義政党「ヨッビク」の影響にあった擬似軍事組織「ハンガリー防衛団」が、ロマを軍事的に抹殺する行動を繰り返した。これらの動きに対し、EUは08年9月ロマ問題の解決を図るため「第一回ロマサミット」を開催する。

安藤☮直樹（Ando Naoki） @torapocodan

さて、ブリュッセルで「第一回ロマ・サミット」の開催と同時期、08年9月に「リーマンショック」が起こる。07年にすでに「パリバショック」に見舞われていたフランスでは、景気の先行き不安、金融恐慌への懸念が益々深刻化し、失業率も悪化する。当然フランス移民社会への影響も甚大であった。

安藤☮直樹（Ando Naoki） @torapocodan

09年、サルコジ政権のエリック・ベッソン移民相は「ナショナル・アイデンティティ」についての「議論」を全国の国民に呼びかける。国民全階層により「フランスとは何か？」「フランス人とは何か？」について地方自治体ごとに討論をし「あるべき統合フランスの姿」を求めようという呼びかけだった。

安藤☮直樹（Ando Naoki） @torapocodan

この試みは、サルコジが大統領選挙で高らかに唱えた「新自由主義」のスローガン「より働きよく稼ぐ」フランス社会どころではなく、政権が国民に失業や給料の低下などの大きな痛みを与える「緊縮財政」に向かわざるを得ない中、移民社会を含めた「フランス」の強い結束を求めるというものでもあった。

安藤☮直樹（Ando Naoki） @torapocodan

しかし、どん底の支持率回復のためのサルコジ政権によるこの起死回生の試みは、各地の討論会で極右による「ヘイトスピーチ」が連発されるなど、メディアを含め、国民各層から「移民差別につながる」「過度の愛国主義を煽っている」「アイデンティティを決めるのは政治権力ではない」と批判を浴びた。

TOKYO DEMOCRACY CREW @TOKYO_DEMOCRACY

.@torapocodan さんのフランス情勢のツイート纏めてくれる方、いらっしゃいましたらよろしくお願いします。