茂木健一郎(@kenichiromogi)さん1400回「それだったら、私もやりたい」

脳科学者・茂木健一郎さんの1月11日の連続ツイート。 本日は、しばらく前にきいて、ううむと思ったこと。
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茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート1340回をお届けします。文章は、その場で書いています。本日は、しばらく前にきいて、ううむと思ったこと。

2015-01-11 07:26:42
茂木健一郎 @kenichiromogi

ぼくは、小学生の時、書写の時間が苦手で、硬筆でも、毛筆でも、とにかくお手本通りなんて書けなくて、とんでもない悪筆で、ミミズがのたくったり筆が跳ねたり飛んだりして、とにかく苦しい時間だった。それで、きれいに書いている同級生を見ると、へーとかほーとかいいなあ、と思ってた。

2015-01-11 07:27:54
茂木健一郎 @kenichiromogi

一生懸命書いた書写の課題を提出すると、先生がたくさん赤字を入れてくるけれど、途中からあきらめたりして(これぞ、匙を投げるじゃなくて、筆を投げる、あるいは鉛筆を投げる?)、とにかく、文字を書く、ということについては、トラウマができてしまったのである。

2015-01-11 07:29:49
茂木健一郎 @kenichiromogi

やばいのは、結婚式とかで、毛筆で署名をしなければならない時で、受付のひとが見ている中で、ものすごいプレッシャーを感じるというか、オレ、字、下手なんですけど、と、いたたまれないような申し訳ないような、えいっ、もういいや、みたいなやけくそで書いている人生だったのである。

2015-01-11 07:30:54
茂木健一郎 @kenichiromogi

先日、武田双雲さん(@souuntakeda)と話していたら、双雲さんのお母さんは書道の先生で、英才教育を受けて、小学校に上がる頃には、お母さんが書くように、「あ」でも「た」でも、筆の運びからはらい、留めまで、完璧にできるようになっていたのだという。

2015-01-11 07:33:02
茂木健一郎 @kenichiromogi

ところが、双雲さんが小学校に入って、他の子が書く「あ」とか「た」を見たら、いろいろである。双雲さんは驚いて、学校中を回って、みんなに「あ」とか「た」を書いてもらったら、一人ひとり違う。それで、初めて、世の中には人の数だけ字があるんだと、気付いたのだという。

2015-01-11 07:34:11
茂木健一郎 @kenichiromogi

「人の数だけ字がある」という認識から、「それでいい」と行くのか、それとも、「お手本の字に矯正していくべきだ」と思うのか。今、芸術家として書に取り組んでいる双雲さんは、「それでいい」という。それで、ぼくの字は、なんでも、何千人か何万人かにひとりの、癖字なのだそうだ。

2015-01-11 07:35:17
茂木健一郎 @kenichiromogi

双雲さんと話していると、小学校のとき、お手本通り書けないでトラウマだったぼくは、何だったのだろうと思えてくる。また、理念的には、個性が大切だとわかっているのに、小学校の書写の授業の「お手本通り」という指導が、案外自分の内面を規定していた、という事実に驚くのである。

2015-01-11 07:36:18
茂木健一郎 @kenichiromogi

そういうわけで、人の数だけ、字がある。それぞれの個性を活かした字でいいんだったら、書道をやってもいいんじゃないなと思う。世の中には、「こうでなければいけない」という偽りの鎖のようなものがあって、それを外せば、「それだったら、私もやりたい」という気持ちになれるのではないか。

2015-01-11 07:37:26
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート1400回「それだったら、私もやりたい」をテーマに、8つのツイートをお届けしました。

2015-01-11 07:37:57