Lonely Undertaker

洲央@土曜西“は”45a @laurassuoh

艦娘の墓場が暗く静かな水底ならば、潜水艦娘はさながら孤独な墓守である

洲央@土曜西“は”45a @laurassuoh

潜水艦たちの1日を追ったモキュメンタリー映画『Lonely Undertaker』

洲央@土曜西“は”45a @laurassuoh

ゴーヤ「幸せって何でちか。煙草、セックス、ドラッグ、音楽、映画……潜水艦は呼吸器と循環器の施工で薬物系は楽しめないし、聴覚と視覚は五感拡張機能のせいで過剰反応を起こしているんでち。下半身だって無駄機能を消失させた結果子宮も膣もないんでちよ。食事だって資材そのままでち」

洲央@土曜西“は”45a @laurassuoh

ゴーヤ「ゴーヤの娯楽は殺戮と水底の鑑賞でち。海だけが分かってくれるんでち。殺戮に加え、ハチは読書、イクは擬似膣によるセックス、イムヤはSNSの非肉体関係が娯楽でち。それ以外がないんでち。他の艦娘は潜水艦を差別するけど、潜水艦はずっと憧れているんでちよ」

洲央@土曜西“は”45a @laurassuoh

ゴーヤ「チクショウ、うらやましいでち……キスってどんな味でちか？　燃料とどれほど違うんでち？　映画って面白くて、音楽って胸がおどるんでち？　煙草は気持ちいい？　赤ちゃんは可愛い？　ゴーヤは海の底が綺麗で静かだってことしか知らないんでちよ。みんなは海の底は地獄だって言うけど……」

洲央@土曜西“は”45a @laurassuoh

ゴーヤ「地獄で暮らす潜水艦は悪魔でちか？　水圧に押し潰されて魚の餌になる艦娘を見ている事しかできないゴーヤたちは悪魔でち？　提督たちには、暗く静かな海の底で、艦娘の墓穴で、足元が危うい艦娘を守っているゴーヤたちは墓守と呼ばれているでち。よぉく目を開いて深海を覗いてみるといいでち」

洲央@土曜西“は”45a @laurassuoh

ゴーヤ「潜水艦が海の底から見ているでちから。敵を沈めても沈められても、誰にも知られず看取られない、孤独な墓守がお前たちをジッと見つめているんでちから……おりこうさんなゴーヤの魚雷は、誰であっても容赦をしない。水圧でチャンプルーになるのはあなたかもしれないでちよ」

洲央@土曜西“は”45a @laurassuoh

ハチ「深海ではモーツァルトが聴こえるんですよ。信じていないようですね。でも、あれは潜水艦の耳にしか聴こえない旋律ですから。ドイツへ行った時はワーグナーが聴こえました。しおいちゃんならきっとパナマ辺りでカリプソでも聴いているんじゃありませんか。深海の音楽の正体、知りたいですか？」

洲央@土曜西“は”45a @laurassuoh

ハチ「深海の音楽は悲鳴です。船の軋む音。浮かぶ船の波音、燃え上がる機関、砲撃音や爆発音、水圧に軋む船体、無数の悲鳴、泡音……これらが深海のオーケストラの正体です。それは悲壮と無慈悲のコントラスト。私たちは海の底で注意深く観察します。はい、近づきすぎたら死んでしまうので」

洲央@土曜西“は”45a @laurassuoh

ハチ「墓守が墓穴を掘っていて自分が埋まってしまうことほど愚かな事態はありませんでしょう？　私たちは沈めた艦、沈んだ艦の音楽を鑑賞しながら、客席から動くことはありません。巨大な船体の落下は何とも言えず神秘的です。光りながら落下する穴だらけの飛行船。それは泥を巻き上げて着床します」

洲央@土曜西“は”45a @laurassuoh

ハチ「ヒンデンブルグ号のように落下する鉄の塊。潜水艦にしか味わえないカタルシス。悲鳴のオーケストラ。娯楽の少ない深海暮らしにとって、あれは病み付きになります。おそらく、私たちは艦娘よりも深海棲艦に近いのだと思います。その敵を沈める動機が怨みか娯楽かの違いがあるだけだと思うのです」

洲央@土曜西“は”45a @laurassuoh

イムヤ「イクちゃんもはっちゃんもゴーヤちゃんも戦闘が大好きだからね。私？　私はこれ、スマートホン。司令官にお願いして深海の水圧にも耐えられる仕様なの。というか、深海で使うスマホは私の体内内臓型なんだけどね。これでいつでもSNSができるってわけ。どうしてかって？」

洲央@土曜西“は”45a @laurassuoh

イムヤ「SNSに現実の肉体は関係ないからよ。文字だけの関係なら、私は女優志望の大学生にもなれるし、暇なOLにだって、恋する女子高生にだってなれる。相手もそれを信じてくれる。これってとっても素敵な事よね。だって私の職業は墓守なのに。私は鉄の塊で恋も幸せも分からないのに」

洲央@土曜西“は”45a @laurassuoh

イムヤ「インターネットは世界の海よ。そこには深海も水上も水中もない。全部が均一な海なのよ。深海棲艦も艦娘もいない、小舟に乗った盲目の船乗りたちが、見えない相手に好き勝手自分の姿を語り合っているの。私は深海棲艦なんてどうでもいい。私が戦う理由は一つ。スマホの月額料金を払うため」