宵の血に依る契約城:三日目昼

──そして、三度目の陽が昇る。
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フェヌス @conces_rs

——衣服に関しては他のものとは違って部屋に数多く届いていた。選択肢は多い。非常に多かった。 だから彼女の艶のある黒い髪には赤い紐を飾り、白いシャツと——プレリの若草色と揃いの色の、胸元から膝元までを覆うジャンパースカートと襟にリボンを揃えて。 着せた。 有無を言わさず着せた。

2015-01-11 00:26:06
フェヌス @conces_rs

すっきりとしたシルエットにはフリルよりはドレープが多い。若草色の下からはシフォンを重ねたふわふわとしたアンダースカートが広がっている。手首にもふわりとしたリボンの飾り。 「うん」 着せ終えた瞬間の夕暮れは——非常に。とても。やり切った顔をしていた。 「可愛い!」 太鼓判を捺した。

2015-01-11 00:26:19
ソテル @Conces_lanatus

「あーもう、ほとんど寝れなかったじゃないか。」 酒盛りは夜更けを越えても、続けられた。眠気なんて殆ど無いけれど、体の疲れもあまり無いけれど。 なんとなく、朝からお風呂でじっくりと温まってから広間へ向かう。 「おはよー、て。今日は一番乗りか。」

2015-01-11 00:37:08
ウィータスラーウァ @VitaslavaCC

シアと揃いの桜色。肌触りのいい布地(たぶん絹だろこれ)をたっぷりと使った、襟付きの身頃と、丈の長いスカートのドレス。帯状のレースが縫い付けられている他に、裾にはさらに無駄としか思えない(着てるのが俺じゃなきゃそんなことは思わないんだけど!)大量の布を使ったフリルがひらひらしてる。

2015-01-11 00:41:29
ウィータスラーウァ @VitaslavaCC

ふんわりと膨らんだ袖は腕を手首までしっかり覆って、これも(俺が着てるせいで)ものすごい無駄の極みだと思う。胸元と、両側で結われた髪にはリボン。その髪も、痛みようはどうしようもないとはいえ、跳ねやうねりは整えられて、艶を取り戻している。なんてこった。自分じゃわからないんだけど……。

2015-01-11 00:41:39
ウィータスラーウァ @VitaslavaCC

「……なぁ、これ……」 見下ろせば、靴を借りるにはちょっとサイズがあわなくて、ドレスの裾から自分の靴が見える。靴だけは元から、ちょっとマシなものを履いてたから、そんなに変には……や、やっぱ……変じゃねーかな……これ……。 「本気で……この格好で、行かなきゃだめか、アケイシア……」

2015-01-11 00:41:45
シア @ConcesC_Cia

其の朝は、夢すら解らない程深く眠って起きた。ウィータスラーウァに衣装を見繕った私は、彼女の手を引いて広間へ向かう。 「うん、なあに、ウィータスラーウァ?」 彼女が身に着けていたヘアピンとブーツは其の儘で。髪は洗った後に整髪用の油をふんだんに染み込ませたから、動けばさらり流れる筈。

2015-01-11 00:59:42
シア @ConcesC_Cia

「そんなに萎縮しなくても、可愛いわよ?」 肌に優しくと選ばれた布地は、少し彼女には落ち着かないかもしれない──とは私は考えない。これなら暖かさだって抜群。狭まった視野を思って、手持ちの中でなるべく動くに際して引っ掛けたりしない形の物を選んだ心算だ。 「大丈夫だから胸を張りましょ」

2015-01-11 01:00:03
シア @ConcesC_Cia

抵抗の声には、ずっと「心配無いわ」とか「大丈夫」とか繰り返していた。これ以上躊躇っていると、広間に集まるのが遅くなって仕舞うと言う理由も有ったけれど──ともあれ、そうこうしている内に扉を開いて。 「おはようございます。──今朝はお一人でしたか」 先ずは直ぐ見えたソテルへ、ご挨拶。

2015-01-11 01:04:39
ウィータスラーウァ @VitaslavaCC

「……うぅ……」 しっかり眠ったのが良かったか、脚は歩くに支障もなく、手を引かれるままに進んでしまう。反論しようにもやさしい(撥ね退けて悲しませたくはない)言葉で宥められて、あれよという間に広間へ。狭い視界では人の気配にすぐには気付かず、ただシアが声をかけるのを聞いて存在を知る。

2015-01-11 01:19:10
ウィータスラーウァ @VitaslavaCC

思わずシアの背中に隠れてしまう。シアから声をかけたんだから、その正面にいると思って。ちゃんと隠れられたかは知らないけど、よく考えれば同じくらいの背丈の人の影に隠れるのは無理だし、銀髪と眼帯で、左頬に血がこびりついた人間なんて誰だか一目瞭然だろしにたい……。 「お、おは、よ……ぅ」

2015-01-11 01:19:13
プレリ @Conces_prairie

朝起きたら私の服が無かった。 代わりに凄くいい笑顔のフェヌスが、別の服を持って待機していた。 ようやくそこで昨日のご機嫌だった彼女の様子の意味を知り、なんとか抵抗しようとしたものの。 負けた。 フェヌス、強いな。

2015-01-11 02:42:13
プレリ @Conces_prairie

可愛いと言われて狼狽える。 質のいい服も、ふわふわと広がるスカートも、柔らかそうなリボンも。全部私にとっては未知の産物だった。 どう考えても目の前の彼女の方が似合う気がする。 広間に着く前に、最後の抵抗を試みる。 「フェヌス、やっぱり私、自分の服を着た方がいいんじゃないだろうか」

2015-01-11 02:42:37
プレリ @Conces_prairie

――奇しくも、同じ境遇になっているウィータと同じような事を言っているとは私の知らないところである。

2015-01-11 02:42:51
コロル @Conces_color

一番乗り、と言ったソテルの目の前には、真っ黒な巨大毛玉が鎮座しているだろう。もしかしたら見たことがあるかもしれない。――のそり、と起き上がったそれは、鼻先をそちらに向けてコロルと同じく晴れ空をまたたかせる。 「……わふっ」 耳の間には、ミニハットがちょこんと鎮座している。

2015-01-11 04:55:06
コロル @Conces_color

ミニハットに飾られた装飾の中に煌めく青い宝石は正しく、吸血鬼に与えられるそれである。 「――あ、ああ? あれ、もう朝?」 くあ、と大きな欠伸ひとつ。広間に荒れた様子は無く、食事に毛も入ってはいない。――ただ、『コロル(それ)』をよく知る者なら、或いは噂を小耳に挟んだりしたなら。

2015-01-11 04:57:39
コロル @Conces_color

――感情が極限まで昂ぶったリベルタースの吸血鬼が、獣となるのを知っているだろう。 後脚で耳の後ろを掻きながら、また欠伸。またたく双眸は晴れ空のまま大狼は首を傾けるような仕草をして。 「で、昨日の夜のこと、面白おかしく話してくれるんだよね?」 表情の読み取りづらい獣の姿であるのに。

2015-01-11 05:01:17
コロル @Conces_color

いや、寧ろ獣の姿であるからこその威圧感だろうか。 「おっかしいよねぇ、いつもだったらストレス発散すればすぐに戻れるんだけどさぁ……ふふふ……戻れなくてさぁ……」 『何』でストレスを発散したのだろうか。獣の目がどこか遠くを眺めた。

2015-01-11 05:03:12
コロル @Conces_color

――決して、昨日の夜、シアやアルカ、ウィータスラーウァたちと過ごした時間がどうというわけではなく。 ――ヴァエクがフェヌスを誘った時、そしてその後の流れから積もりに積もったストレス……のような何か。 コロルは意外と繊細なのであった。短気な癖に。

2015-01-11 05:04:53
ソテル @Conces_lanatus

「おはよう、シアと……ウィータスラーウァか。見違えるぐらい、可愛くなってるね。」 寒くなさそうな格好で何より。 「ヴァエクから、こっそり逃げて来たからねー。まだ彼は僕の部屋にいるのかなぁ?」 なんせ、お風呂場から真っ直ぐここに来たもので。首を傾け、そういった。

2015-01-11 08:43:05
ソテル @Conces_lanatus

一番じゃなかったのは、少し残念だけど。 「コロルがもふもふしてる……っ!」 勿論、その性質は知ってる。この姿を見るために、その手の仕事をする人間の女を彼が泊まった寝室に放り込んでみたこともあるぐらいだもの。 「えーとねー、昨日はねーー。」 思い出すように、目をつむって。

2015-01-11 08:45:12
ソテル @Conces_lanatus

「昨日はー……皆で話して、ヴァエクが誘惑して、服が駄目になったから、お風呂に入りにいってーー。あとは、僕は酒盛りしてた。」 流石に穴抜けすぎだなー。引っ掛かんないだろうなー なんて思いながら、もふもふとした尻尾を見つめて。 「そっちは、どうだった?」

2015-01-11 08:46:23
コロル @Conces_color

「シアとウィータスラーウァもおはようー、よく眠れたみたいでよかったよ。服、似合ってるよー」 うんうんと頷く。獣の双眸が柔らかく弧を描き。 「はっはっはーどうだーもふもふしてるだろー」 棒読みである。――思い出したのは何時だかソテルを訪ねた時のこと。いやあ、大変だったなあ。

2015-01-11 10:04:46
コロル @Conces_color

「――なんか色々、抜けてない?」 不満げに、わふっと一鳴き。晴れ空がじとりとした雰囲気を醸し出す。 「ヴァエクが誘惑して何で服が駄目になるのさ……ってまさか、ヴァエク、水差し投げたの!? フェヌスは大丈夫だったの?!」 わふわふっ わうん。

2015-01-11 10:06:41
コロル @Conces_color

「――へ、ああ、こっちは……」 ぱたぱた。尻尾が右へ左へゆらゆらと。 「普通にお話しして、普通に解散したよ」 わふり。 「それよりも! ちょっと、ねえ、詳しく!」 わん! わんわんお!

2015-01-11 10:07:39
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