特別講義「ガンダムが開拓したアニメサントラビジネス —スターチャイルド誕生前後のアニメ音楽業界史—」（講師：藤田純二（元・キングレコード）／司会：氷川竜介）受講レポート

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逆に言えば、大ヒットした『宇宙戦艦ヤマト』でさえも、コロムビアは当時「オリジナルBGM集」を制作するには至らなかったわけで、そこにこそキングレコードとしての光明があった！と、藤田さんはまさに"隙間産業"を発見されたというわけなのでした。 #ガンダムが開拓したアニメサントラビジネス

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もちろん劇伴が再演奏・新録音された「交響組曲」形式のアルバムにも「BGMに価値がある」という認識を形成したという点で意味はある、確かにあるけれど何故オリジナルではないのか…といった想いが氷川さんを始め当時のファンにはあったということで。 #ガンダムが開拓したアニメサントラビジネス

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ここでもう一つ見えてくるのが、オリジナルBGM集を欲している熱心なファンの意見を取り入れた（それが可能だった）当時のキングと、自分たちが培ってきたレコードの作り方に強い自負を抱いていたコロムビアという対比。 #ガンダムが開拓したアニメサントラビジネス

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実際、当時キングの藤田さんの元には「コロムビアさんにはもう何を言ってもダメみたいです…（オリジナルBGM集は出してくれない）」という、アニメファンからの嘆きの手紙が届いたり電話がかかってきたりしていたそうです(^_^;) #ガンダムが開拓したアニメサントラビジネス

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竹内博さんや安井尚志さん、池田憲章さん、中島紳介さん、今回の司会の氷川竜介さんなど、当時の「怪獣倶楽部」の熱心な特撮・アニメファンと藤田さんに繋がりがあって、彼らの意見に耳を傾けたことが、キングレコードにとっても大きかったみたいですね。 #ガンダムが開拓したアニメサントラビジネス

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日本サンライズ自社制作第1作目『無敵超人ザンボット3』はキングが担当したのに、2作目の『無敵鋼人ダイターン3』は何故コロムビアだったのか？という問題について。藤田さん曰く、そもそも『ダイターン3』はキングに依頼がなかったんだそうで… #ガンダムが開拓したアニメサントラビジネス

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ザンボット3の時に、「これは富野監督によるロボットアニメ3部作の1本目なのでこれからもよろしく」と（おそらく代理店から）言われていたのにも関わらず、2本目のダイターン3がいつの間にかコロムビアに決まっていたので藤田さんは大層驚かれたと。 #ガンダムが開拓したアニメサントラビジネス

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「ザンボットの時に「富野監督3部作よろしく」と言ってたのに2本目のオファーが全くないのはどういうことか？」と藤田さんが苦情を入れたところ、代理店側からは「3本目（＝ガンダム）は必ずキングに！」と言うことで藤田さんは渋々引いたという（笑） #ガンダムが開拓したアニメサントラビジネス

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もしここで藤田さんが何のアクションも起こさずに放っておいたら、もしかしたら3本目のガンダムもコロムビアの制作になっていたかもしれず、引いてはその後のアニメの歴史も大きく変わっていたのかもしれないことを思うと…面白い話ですねー（笑） #ガンダムが開拓したアニメサントラビジネス

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この一件をうかがって、今回の講義には全く登場していない話題ですが、『超時空要塞マクロス』がもしかしたらキングレコードでやるかもしれなかった、という話を私は思い出しました（笑）余談失礼。 #ガンダムが開拓したアニメサントラビジネス

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氷川さんが仰るに、もしそこでガンダムがキングではなくてコロムビア制作になっていたとしたら、今の深夜アニメなどのハイターゲット作品さえも生まれなかったかもしれない、と（笑）いやでも本当に歴史のifってそういうことですよね。 #ガンダムが開拓したアニメサントラビジネス

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劇伴音楽の作り方にしても当時のキングとコロムビアには大きな違いがあったそうで、作曲家と話し合って決めるキングに対してコロムビアはある程度決めたものを作曲家にオーダーする形だったそうです。 #ガンダムが開拓したアニメサントラビジネス

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そしてキングがガンダムの音楽制作をしている間にも、ダイターン3のファンからは「コロムビアはBGM集出してくれないからキングで出してください」という声が多く寄せられたそうで、そこでキングがダイターン3のアルバム制作に乗り出すと。 #ガンダムが開拓したアニメサントラビジネス

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ここでキングがダイターン3の音楽制作をすることで例の「白ジャケット事件」へと繋がるという（笑）要するに創通がダイターン3に関してコロムビアとの契約を切らずにキングとも二重契約してしまったのが一番の原因だったそうです(^_^;) #ガンダムが開拓したアニメサントラビジネス

氷川竜介 新書「アニメの革新」発売中 @Ryu_Hikawa

@zetial 講義録ありがとうございます。ダイターン話は流れでガンダムの前になりましたが、白ジャケットで出したのは「アムロよ・・・」の後のはず。キングに実績ができたことも大きかったはずです。状況が変化した後なので念のためです。

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キングから発売した白ジャケットのダイターン3のBGM集、それをコロムビアとの権利関係に気を遣いつつ如何にして発売させるに至ったか、その四苦八苦ぶりを藤田さんから直々に聴くことが出来て、本当に面白…良かったです！(^_^;) #ガンダムが開拓したアニメサントラビジネス

氷川竜介 新書「アニメの革新」発売中 @Ryu_Hikawa

@zetial キングvsコロムビアは当時の話です。90年代中盤以後、レコード会社は「出せるところが出せばいい」と音源の貸し借りで協調路線となり、それでダイターンCD化の総音楽集のときには、コロムビアオリジナルとキングカバーの両方を同時収録できて、めでたしめでたしの完結でした。

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ザンボット3はキングが担当したものの、次のダイターン3はコロムビアになってしまったので、そこで藤田さんがウルトラシリーズに目をつけてBGM集の制作というスタイルを発見、そしていよいよそれらが次のガンダムへと繋がるというわけです。 #ガンダムが開拓したアニメサントラビジネス

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ガンダムの音楽制作の直前にキングはザンボット3のBGM集を発売（1979年）するのですが、このアルバム制作に参加された岸川靖さんについても藤田さんは披露されました。曰く、岸川さんがほとんど「こうした方がいいですよ」と指示されたんだとか。 #ガンダムが開拓したアニメサントラビジネス

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ザンボット3のBGM集を制作する際に藤田さんが岸川靖さんに特に言われたことが「富野喜幸をなしに物を作ってはいけません」という、徹底した"富野監督押し"だったそうです（笑）とにかく富野監督という存在をフィーチャーすべきだと。 #ガンダムが開拓したアニメサントラビジネス

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ちなみに、話題に登場する方々を基本的に「さん付け」で呼ばれていた藤田さんが、この岸川靖さんに関してだけは、呼び捨てで「変なヤツ！（笑）」とまで仰っていたのが印象的でした（笑）もちろん愛情を込めて仰ってましたが(^_^) #ガンダムが開拓したアニメサントラビジネス

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どれぐらいの仲だったのかというと、当時夜遅くなって帰宅できなくなった岸川さんを藤田さんが泊めてあげたくらい、だそうです（笑）「面白いヤツだよ～！」と藤田さんは笑って仰ってました。ちょっと余談ですかね(^_^;) #ガンダムが開拓したアニメサントラビジネス

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そんな岸川靖さんからの教えもあってかヒットしたザンボット3のBGM集を受けて、藤田さんはガンダムのレコード制作ではとにかく如何にして富野監督の協力を仰ぐか、ということだったそうです。アニメ監督が音楽制作にも強く関与するという新システム。 #ガンダムが開拓したアニメサントラビジネス

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富野監督に積極的にアルバム制作に協力して頂くのと同様に、藤田さんが拘られたのが、劇伴自体をステレオで録音するということ。これも当時としては異例だったそうです。主題歌などと同じクオリティで劇伴を収録するということはまず有り得なかった、と。 #ガンダムが開拓したアニメサントラビジネス

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今とは違い当時はテレビの放送もモノラルであり、もちろんステレオで録音するにはお金も時間もかかる。そんな作り方を劇伴でやるというのは、社内の他の人たちからすれば「馬鹿じゃないのか？」と言われるくらいに、当時はありえなかったんだそうです。 #ガンダムが開拓したアニメサントラビジネス