#空想の街 西区、ウィア・アクア駅から徒歩五分圏内。マルケーより内側のそこには、知る人ぞ知るダーツバー #ヴェンディッタ がある。店主はディターナ。赤い髪と赤い瞳、そして透明な白い肌を持つ彼女は、今夜ものんびりと、店を開けていた。
2014-12-12 00:21:10「お嬢、じゃなかった、マスター。店ん中には『灯りの樹』置かないのか?」常連客だったはずの、彼ことジンは、最近 #ヴェンディッタ で働き始めた。それ以来、私のことをマスターと呼ぶようにしているらしい。#空想の街
2014-12-12 00:31:04そんなに沢山の給料を出している訳じゃないのだから、かしこまらなくて良いといっても、ジンはきかないのだ。 「ああ、そんなのもあったね。そろそろだっけ?」「おう、そろそろだな。なんだったら、明日の日中『灯りの樹』の鉢植えでも探しに行くか?」 #ヴェンディッタ #空想の街
2014-12-12 00:33:49「たまにも、悪くないかもね」「よし、じゃあ明日の日中、まー、昼前には迎えに来るぞ?」「わかったよ」 そんな会話を出来る程度には、店は空いていたし、だから私は、ジンに新作のカクテルを飲ませることにした。 #ヴェンディッタ #空想の街
2014-12-12 00:36:19「熱いから気を付けて。のんでみて?」差し出したのは、真っ赤な液体。そして、それは、湯気を立てている。「中身は?」ジンが訝しげに問うのを、良いから、とジェスチャーで促した。「……ん?ワインか?けど、にしては、甘いな」 #ヴェンディッタ #空想の街
2014-12-12 00:39:41「あたり。流石ジンね。赤ワインをあっためて、砂糖とレモンを少し。お手軽だし、あったまるし、これからにぴったりかな?って、どう?」ジンは良いねぇ、と呟いて、ダーツの方へ、ふらりと足をのばした。 ドアベルが鳴る。 『いらっしゃいませ。ようこそ #ヴェンディッタ へ』 #空想の街
2014-12-12 00:45:40物語はいつだって、唐突に始まる。
ぱちり。目覚めたのは、11時を過ぎたころだった。適当に着替えて待っていればいいだろう。12時の少し前、店に降りてジンを待つ。準備中の札がかかったドアが開いてドアベルが鳴った。「おはよーさん、お嬢」「おはよ」「んじゃま、行きますか」「うん」 #ヴェンディッタ #空想の街
2014-12-12 14:32:46「お嬢、メシは?」「食べてると思う?」「いや、思わねーな。どっかで食べるか」「どっちでもいーよ」店以外では、こいつは、私のことをまだお嬢と、呼ぶんだなぁと思った。「とりあえず、中央区まで出るか」「任せるよ?」 #ヴェンディッタ #空想の街
2014-12-12 14:37:11そういえば、街の中を散策したことなんて、なかったなぁ、と。それ程までに、彼のことしか考えていなかった自分に気付いて、けれど、そこから抜け出しつつあることにも気付いて、なんとも言えない気持ちになった。きっと、悪くないんだろう。 #ヴェンディッタ #空想の街
2014-12-12 14:39:30「そうだ、お嬢に見せたいものがあるんだ」そういったジンに連れられて、ウィア・アクア駅内に連れて行かれる。そこには、“タウン誌 あおいとり”が置いてあった。「ほら、みてみ?」「……なに?」と。めくったページには #ヴェンディッタ の紹介とクーポンがあった。 #空想の街
2014-12-12 14:49:51驚きのあまり声が出ない。「勝手にやったことは、謝るが、まあ、悪くねぇだろ?」ニヤニヤと笑うジン。そういえば、こんな明るい中で彼のこんな顔を見たこともなかったなぁ、なんて頭の端で思う。 #ヴェンディッタ #空想の街
2014-12-12 14:52:29「クーポンに関しては、俺の給料から天引きしといてくれや」相変わらずのニヤニヤ笑いに、呆れれば良いのか、笑えば良いのか、はたまた、怒ればいいのかわからなくなって、頷いた。「……嫌、だったか?」 #ヴェンディッタ #空想の街
2014-12-12 14:54:11そこでようやくジンはニヤニヤ笑いを引っ込めて、真剣で不安そうな顔をした。まるで、雇ってくれ、と言ったあの夜みたいな顔で。私は思わず破顔してしまう。「おい、笑ってちゃわかんねぇって」困った顔のまま、ジンは言葉を紡ぐ。 #ヴェンディッタ #空想の街
2014-12-12 14:56:05「ごめ、だってさ、あんたってば本当。あはは」いよいよ可笑しくなって笑いが止まらない。なんとか笑いを引っ込める間、私はタウン誌を抱えていた。「ふぅ。ごめんね。凄く嬉しいよ。ありがと、ジン。あんたのおかげで私はちゃんとこの街の住人になれてる気がするよ」 #ヴェンディッタ #空想の街
2014-12-12 14:59:01「お、おう」ディターナの素直な言葉にたじろいだジンは、行くぞ、と。少しぶっきらぼうに、歩き出した。少しの迷いもないジンは、流石 #空想の街 生粋の住人である。ディターナは彼について行くので精一杯のようである。 #ヴェンディッタ
2014-12-12 16:08:18初デート(?!)のお食事は #オトトイ食堂 で
「こんちは、今大丈夫かい?」 ふと、顔をあげると、お店があった。 「……ジン。ちょっと」 私が制止するより早く、彼は店に入っていった。 @tibikorotika #オトトイ食堂 #ヴェンディッタ #空想の街
2014-12-12 16:10:28@catnap_7 はい、いらっしゃいな。お二人様ね?はいったはいった、まだ誰もいないから火鉢の側にお座り #オトトイ食堂 #ヴェンディッタ #空想の街 ついてるねお二方、お昼にやってるの珍しいのよ。さて、ご注文は?
2014-12-12 16:15:17「さ、お嬢、何にする?俺はもう、決まってんだ」「え、っと。じゃあ、オススメをお願いします」「俺は、初デートにぴったりのランチ、でお願いします」そんな注文ありなの?とジンを見ても、彼は楽しそうに笑うばかり。@tibikorotika #オトトイ食堂 #ヴェンディッタ #空想の街
2014-12-12 16:21:44@catnap_7 あらあらやだよぅ、初デートにこんな場末なんてあんた!折角祭りだのに、ねぇお嬢ちゃん? #オトトイ食堂 #ヴェンディッタ #空想の街 ま、するっとそんなん頼んぢまう所は流石そうね。お嬢ちゃんもそれでいい?
2014-12-12 16:27:23「気取ってないとこが好きなんですよ」ジンはニヤッと笑う。「あ、はい」ドギマギしながら頷いて、ジンに視線を向ける。「初デート、ってあんたねぇ」「いいだろ?」私は肩を竦めて返事のかわりにした。 @tibikorotika #オトトイ食堂 #ヴェンディッタ #空想の街
2014-12-12 16:44:12@catnap_7 (はぁ、独り身にこういう注文がくるたァ…この祭だねぇ) #オトトイ食堂 #ヴェンディッタ #空想の街 大根、人参、練り物にちくわぶ、匙でくりぬいて真ん丸にコロコロさせたおでんに茶飯。大小の丸大根で恋人雪だるまを乗っけてやろう。…デェトらしいってこうかしら…
2014-12-12 16:36:10@catnap_7 はい、お待ちどおさま! #オトトイ食堂 #ヴェンディッタ #空想の街 お代わりは自由だよ、たーんと食べて暖まってって頂戴。
2014-12-12 16:51:29「ありがとうございます」「あ、雪だるま。……可愛い」『いただきます』@tibikorotika #オトトイ食堂 #ヴェンディッタ #空想の街 と言ったところで、ナイフとフォークがないことに気付く。ジンを見ると“ハシ”を器用に操っていた。
2014-12-12 17:03:59