式を駆る者 -オカルト探偵あきつ丸-
はじめに
#落ちぬい二次 、始まります。本作は #不知火に落ち度はない のオフィシャルではありません。意見・ツッコミは #落ちぬい タグでお願いします。人造人間あきつ丸が落ちぬいワールドだそうなので、落ちぬいの登場人物は出ませんがまあ、落ちぬい二次という事で
2015-01-22 13:32:27本編
とある鎮守府。執務室で身長2メートルほどの男と黒づくめの少女が向かい合っている。この鎮守府の長と所属する艦娘、あきつ丸である。 この鎮守府は艦娘を運用しつつ陸軍の揚陸作戦も担うという中途半端なセクションである。#落ちぬい二次
2015-01-22 13:34:01原因はこの男だ。今は陸軍所属ではあるが、もとが海上保安官であり、その後海上自衛隊・海軍に転属したことで陸と海が半々のような、微妙な立場にいた。#落ちぬい二次
2015-01-22 13:37:12何の因果か夏目艦隊の生き残りでもあり、軍部に隠然たる影響力を持つ「海ぼうず」の一人として一目置かれる存在になっていた。彼自身はイルカが平和に暮らせる海を取り戻したい、というただそれだけを望んでいるのだが…… が、まあ今日はこの男の出番はないのである。#落ちぬい二次
2015-01-22 13:39:43「突然でありますが将校殿、明日から三日ばかり有給を頂戴したく」 「却下」 「そうでありますか。ではありがたく休暇をいただくであります」 「却下だって」 「行き先でありますか? ちょっとした温泉旅行ですな」 「聞いてない、却下だって」#落ちぬい二次
2015-01-22 13:41:34当然ながら一か月以上前に申請を出すのが原則で、それでも勤務の都合で却下されることはよくある。それを、突然明日からとは無理な話である。 「将校殿……」 「な、なんだよ」 「将校殿は自分の事がお嫌いでありますか?」#落ちぬい二次
2015-01-22 13:43:32見上げるあきつ丸の目は涙をたたえてうるんでいる。 あきつ丸は提督の手を取り、ゆっくりと引き寄せる。そしてそのまま、自分の胸にそっと押し当てた。#落ちぬい二次
2015-01-22 13:46:32提督は突然の事に対処が追い付かない。あきつ丸のくせにいい乳してるとか、こいつもしかして俺に気があったのかとか、いやいやそんなはずは……と頭がぐるぐるしていると、#落ちぬい二次
2015-01-22 13:48:29「ほれ、まるゆ。今であります」 「はいチーズ」 カシャッ 「あっ!?」 背後からシャッター音。 慌てて振り返るとスマホを横に構えたまるゆがいた。#落ちぬい二次
2015-01-22 13:51:21「てめ、何撮ってんだ!」 慌ててスマホを奪い取って画面を見ると、絶妙に嫌がっている表情のあきつ丸の乳を筋骨隆々の巨漢が無理やり揉みしだいている画像が映し出されていた。 「てめえ本当に何のつもりだよ……」#落ちぬい二次
2015-01-22 13:54:07提督はその画像を消去する操作をする。が、その目の前に別のスマホが差し出される。 「いやあ、将校殿に嫌がる娘を手籠めにする趣味がおありとは恐れ入りましたな」 「あっ!」 撮影即転送していたらしい。#落ちぬい二次
2015-01-22 13:56:03「これが上に流れたら将校殿はどうなってしまうのでありましょう。性犯罪を犯した提督はボルネオ送りという噂がありますが、陸軍としては餓島あたりもおすすめであります」 「……飲む。飲むから、それ消せ。今。なう」#落ちぬい二次
2015-01-22 13:57:12「消せ? はて、自分は耳が遠くなったのでありましょうか。この期に及んで将校殿が自分に命令するように聞こえたのでありますが」 「…………消してください、あきつ丸さん。休暇は承認させていただきます。なので、その画像を消してください」#落ちぬい二次
2015-01-22 13:58:41「おお、自分の耳は正常でありましたな。で、有給もいただけると。いやあ、物分かりの良い将校殿でありがたいのであります」 あきつ丸は勿体ぶる様にゆっくりと画像を削除した。#落ちぬい二次
2015-01-22 14:00:28「では行くでありますよまるゆ。明日はお出かけであります」 「まるゆも行くのかよ」 「そうなりますな。まるゆは自分の装備みたいなものでありますし」 「あっそ。行け行け、どうせいてもいなくても同じだ」 わーい、と大げさに喜ぶまるゆを連れてあきつ丸は執務室から出て行った。#落ちぬい二次
2015-01-22 14:02:39翌朝、鎮守府を出立したあきつ丸は普段とはまるで違う装いだった。 ただでさえ白い肌をさらに白くする白粉は塗らず、それでもやや不健康な色の肌にドーランを塗って健康的に見せている。#落ちぬい二次
2015-01-22 14:04:28服装はいつもの黒い詰襟ではなく、黒のタートルネックセーターとキャスケット帽という出で立ちだ。そこに大きなスポーツバッグを担いでいる。何ともちぐはぐな姿だった。 鎮守府の最寄り駅から電車に揺られ、数度の乗り換えをし、とある無人駅で降りたらタクシーで数分。#落ちぬい二次
2015-01-22 14:06:21到着した場所は海べりに建つ旅館だった。 規模はそこそこ、古さもそこそこ、値段は安め、そしてほかに客はいない。まあよほど有名な旅館でなければこの段階で当たり外れをどうこう言えるものでもない。#落ちぬい二次
2015-01-22 14:09:17中に入ると年かさの女将と二名の仲居が頭を下げて出迎えた。 「いらっしゃいませ」 「予約した岡野瑞穂であります」 偽名である。 岡野は「陸の」、瑞穂は日本の美称であり「秋津洲」と同義。つまり「陸軍所属のあきつ丸」という意味だ。#落ちぬい二次
2015-01-22 14:11:47「お待ちしておりました」 宿帳に名前を書きながら問う。 「今日は自分の他に客はいないのでありますか?」 「さようでございます」 「あちゃあ、もしかしてオフシーズンに来てしまったでありますか?」#落ちぬい二次
2015-01-22 14:14:52「確かに最盛期ではありませんが、本日は平日ですしたまたまキャンセルが重なっただけでございますよ」 仲居は少しむっとしたようだが、落ち着いて返答する。 「なんだ、そうでありましたか。安心したであります」 「ではお部屋までご案内します。お荷物お持ちいたしましょうか」#落ちぬい二次
2015-01-22 14:16:30「いや、荷物は自分が運ぶであります」 「承知しました」 仲居の後に続いて歩く。内装は外見よりはよく手入れされていて悪くない。#落ちぬい二次
2015-01-22 14:18:22案内された部屋は二階の真ん中あたりで、窓からは一面の海が見渡せた。右手側には砂浜が広がり、左手側には切り立った崖が見えた。さらに窓を出るとベランダに小さな風呂が据え付けられている。 「おお、これはすごいのであります」#落ちぬい二次
2015-01-22 14:20:15