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内藤正典氏のツイートまとめ:イスラム国の背景と合わせて

内藤氏:イスラーム地域研究、同志社大学大学院グローバル・スタディーズ研究科 (歴史的な背景とムスリムたちの境遇や考え方を知ることができた一連のツイートを記録としてまとめさせていただきます。詳しい人、もっといいまとめを作ってください。) 個人的な感想… 続きを読む
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masanorinaito @masanorinaito
イスラム国は我々が知っている、あるいは了解している国家ではない。だが、現在のムスリム諸国が西欧近代国家の擬制としての国家を建てたものの、およそ公正とよべるものはできなかった。底流に渦巻く不満が、シリアとイラクの権力の空白域にイスラム国を生み出した。暴力を到底容認できないが、なぜ
masanorinaito @masanorinaito
ああいう形でしか、既存の領域国民国家とは異なるイスラムの国家をつくることができなかったのかを冷静に考えなければならない。問題はムスリムが多数を占める諸国のなかに、多数のムスリムが「公正」だと認識できるような国が一つとして存在しなかったことにある。そういう国を欧米諸国が秩序維持の
masanorinaito @masanorinaito
ために、延命させ続けた。そのなかで、トルコだけは自力で国家を樹立し、その原則にムスリムにはおよそ適合しない厳しい世俗主義を採用した。トルコ語で世俗主義をあらわすライクリッキはフランスのライシテからの借用。それを無理やり軍部の力を頼りに維持してきた
masanorinaito @masanorinaito
社会にイスラム復興の動きがでるたびに、軍は政治に介入してこれを潰した。苦労しながら、西欧化こそ近代化だと信じて国家を運営していたとき、ヨーロッパはトルコを民族主義の強烈なファシスト国家と罵っていた。特に、フランスでその論調は強かった。
masanorinaito @masanorinaito
傍で見ていても、トルコの世俗主義者たちは、フランスがなぜ自分たちを支援してくれないのかと思っていた。そして建国から80年、ついにトルコの世俗主義を支えた軍部は政治介入ができなくなり、イスラム主義政党の公正・発展党政権の時代になった。軍の介入がなくなったことで、トルコは民主化し、
masanorinaito @masanorinaito
同時に、再イスラム化が進んだ。だからこそ、トルコのイスラム主義の政治家は、民衆が何をイスラム的公正として評価するかを熟知して、貧困層への支援を重点的に行った。だからこそ、隣国の惨状に対して、スンナ派ムスリムの民衆がどういう思いでいるかもよく知っている。
masanorinaito @masanorinaito
だから、ムスリムが既存の国家に対する不満を爆発させたときに、何が起きるかをトルコ政府は知っているし、イスラム国がなぜ暴走したのかも理解している。現在のエルドアン体制は強権的になってしまったが、外のイスラム世界へのメッセージはイスラム的公正を強く意識したものになっている。
masanorinaito @masanorinaito
公正・発展党がのびていくとき、ネオ・オットマニズムという批判があった。あたかもかつてのオスマン帝国を再興しようというかのように、トルコ的な民主化+再イスラム化が周囲のアラブ諸国に蔓延することを批判的にとらえてのものだった。
masanorinaito @masanorinaito
政府はそんな野心はないと否定したが、公正・発展党の大会では、若者たちが「我々はオスマン人だ!」と叫んでいたのを私は覚えている。これも西欧近代国家としてのトルコ共和国ではなく、イスラムが軸になった新たな国をつくりたいという欲求があったことを示している。
masanorinaito @masanorinaito
むろん、国家の殻はおそろしく硬く、簡単にその殻を割って、これまでにないイスラム国家など簡単にできはしない。それが、血みどろの内戦下にあるシリアや、国家が分裂してスンナ派が利権を失ったイラクに出来てしまったことは、イスラム国の不幸でもある。平和な状態での国づくりという面はほとんど
masanorinaito @masanorinaito
見えず、殺戮、残虐行為ばかりが表出する、暴走したイスラム国家になってしまった。それでも、統治の実態がどのようなものなのか、私たちは現実を見るべきだと思う。見もせずに、聞きもせずに、アメリカが「がん細胞」と呼べば、世界中がこれを叩くという考え方を私は支持しない。
masanorinaito @masanorinaito
日本人が人質となり、日本という国家に身代金を要求するイスラム国は異様である。総理の中東歴訪の中身や援助の方法、事件への対処には問題があったにせよ、イスラム国が、ここで何の悪意もない二人の殺害を予告して法外な身代金を要求するというのは、イスラム的な公正観とかけ離れている。
masanorinaito @masanorinaito
中田先生のきのうの会見を見て、彼が人質解放のネゴシエーターになれるか、という声がある。話していないから断言はしないが、私は中田先生が、我々の世界でいう「交渉人」を買ってでたのではないと思う。
masanorinaito @masanorinaito
彼は、イスラムの法理をもってイスラム国の法学者と議論し、法外な身代金以外の方法で解決を図ることに僅かな望みをもっているはず。会見で、アラビア語で解放を訴えたのは、まず、日本にもイスラムの法理で話ができる人間がいることを、イスラム国とイスラム世界に知らせるためだったのだろう。
masanorinaito @masanorinaito
そういう彼の意図を無駄だとか邪魔だとか言う人もいるが、それは違うと思う。ムスリムというのは学識をもつ人に一定の敬意を払うものだ。博士号や大学教授の地位など、何の価値もない。語ることばの理路と、相手を得心させるだけの引き出し(イスラム法で参照すべき典拠)をどれだけもっているかによる
masanorinaito @masanorinaito
これまで、何人かムスリム民衆が徳の高いイスラムの先生として慕っているひとに会った。彼らに共通しているのは、権威をあらわすような服装や物腰が皆無であること。物静かであること。
masanorinaito @masanorinaito
そして、各国の政権は、こういうイスラムの先生を目の仇にして、弾圧したり、刑務所に入れたり、殺害したり、した。こういう先生を慕うムスリムは、こういう国家のやり方に憤慨し、いつしか、現在の国家の「殻」をぶち壊さないとムスリムに未来はないと考えるようになる。

(以下を追加@1/26)

masanorinaito @masanorinaito
イスラム国を最大級の言葉で非難する。もはやイスラム国は狂信的なカルト集団と化したかもしれない。しかし、それでも彼らを生み出した原因を追究しなければならない。
masanorinaito @masanorinaito
彼らは、4年に及ぶシリア内戦で無秩序に殺し合いが繰り返される中で闇の中に放置されたスンナ派にとって、僅かでも秩序が保たれるならとすがる存在だったのではないか。
masanorinaito @masanorinaito
イラクでも、イラク戦争の結果、国が分裂し多数を占めるシーア派の天下となり、スンナ派は利権から締め出されたまま十年が過ぎた。石油利権を握り、欧米だけでなくイランもバックについたシーア派、対米追随で利権を手にしたクルド地域政府。スンナ派には何も与えられなかった。
masanorinaito @masanorinaito
ルサンチマンと絶望的なカオスの中に権力の空白が生じ、一気にイスラム国が誕生した。そのことを考えずに、相変わらず武力行使で潰せると考えるなら大間違いである。まず、やるべきは最低限、人の心を安らかにするためにあらゆる手を尽くすこと。
masanorinaito @masanorinaito
だから、いま、シリア国境のキリスにいる日本の記者のみなさんには、あなたのすぐ隣にいるシリア難民に思いを寄せてほしい。前にも書いた通り、難民キャンプだけではない。家の軒先、倉庫、家畜小屋、至る所に彼らは息を潜めて暮らしている。その姿こそ、4年に及ぶ内戦の惨禍。
masanorinaito @masanorinaito
報道各社は、日本人人質の消息を案じるならば、キリスで活動するNGOに可能な限り喜捨をしてほしい。自国の人質を思うのと同じ思いを難民にも向けてほしい。それをしなければ、日本人は身勝手な人だという印象だけが残る。イスラム国とは何の関係もない人々にも、その思いが残る。
masanorinaito @masanorinaito
否応なく、巻き込まれることになった日本。せめて、日本人が困窮の只中にある人々を一顧だにしない無責任な連中だという印象を残さないでほしい。
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コメント

radio_hidetaro 緊縮財政ダメ、絶対 @Hidetaro_Tosj 2015年1月29日
新国家を建設すると言う『動機』はアメリカの成立を見ても分かるように、欧州への絶望から発した、相対的なものであった事が理解できてこそ、ISILの心根が理解でき、解決策も見いだせようと言うものだ。トルコの生暖かい見守り方がその象徴だろう。仲介の労を敢えて断った理由もそこにあるだろう。
ウミドリくん @umidori_kun 2015年2月12日
イスラム国の言動は完全にイスラムの教えに反していて、あんなものをイスラムと呼ぶことはできないんでしょ? イスラム国があたかもイスラム世界の一部であるかのように論じることは問題では?
ウミドリくん @umidori_kun 2015年2月12日
>「殺戮、残虐行為ばかりが表出する、暴走したイスラム国家になってしまった」 この中東研究者は、暴走したとしてもあくまでもイスラム国は「イスラム国家」であると主張するんだね。でも、twitterでは「そもそもイスラム国はイスラムでも国でもない!」と言われているけど、それについてはどう釈明するつもりなの?
ウミドリくん @umidori_kun 2015年2月12日
「イスラム国はもはやイスラムではないが、それでもムスリムの中から生まれてきたのは事実だ」とすれば、ムスリムとは「ルサンチマンと絶望的なカオス」に出くわせば神の戒律さえ勝手に捨ててしまう生き物なのですか?
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