茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート第1411回「ゲーテの『ファウスト』第二部で描かれていたこと」

脳科学者・茂木健一郎さんの1月23日の連続ツイート。 本日は、きのうからきょうにかけて考えていたこと。
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茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート1411回をお届けします。文章は、その場で即興で書いています。きのうからきょうについて考えていたこと。

2015-01-23 07:15:21
茂木健一郎 @kenichiromogi

ゲーテの『ファウスト』第二部で、ファイストは、さまざまな時空を経巡ったあと、国の要職についている。海を干拓する事業を行う際に、小屋に住んでいる老夫婦の人生を破壊してしまう。政治家というものは、たとえよい事業でも、個人の生活に負の影響を与えかねない職業だということをゲーテは描いた。

2015-01-23 07:17:38
茂木健一郎 @kenichiromogi

養老孟司先生に、なぜ、医者でも、臨床に行かなかったのかという話をうかがったことがある。養老先生は、自分の決定で、他人の人生を左右してしまうことに耐えられなかったのだとおっしゃった。自分の未熟で、場合によっては死んでしまうこともある。それが嫌なのだ、と養老先生はおっしゃった。

2015-01-23 07:19:19
茂木健一郎 @kenichiromogi

権力というものは、責任をともなう。その人の選択で、他の多くの人の生活が左右されてしまう。もちろん、自分の行為が、周囲の人生に影響を与えることは、誰にでも起こることだが、とくに政治家は、一つの政策の決定、変更によって、時に何百万人もの人の人生が、左右されてしまうことがある。

2015-01-23 07:21:00
茂木健一郎 @kenichiromogi

権力というものが、潜在的におそろしいものであることは、普段は忘れられがちだが、時に、劇的なかたちで示されることがある。そのような時に、権力の立場にいること、責任を負わなければならないことは、あるいは、過酷なことかもしれない。

2015-01-23 07:22:43
茂木健一郎 @kenichiromogi

イスラム国による今回の事態に対して、政府の、交渉し、決定し、責任を負わなければならない方々のことを考えたとき、私の脳裏に浮かぶのは、以上のようなことであって、だからこそ、よき結果であれと祈りつつ、名前を挙げたり、特定の行為を取り上げたりして、非難する気持ちには、なれないのである。

2015-01-23 07:24:07
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート1411回「ゲーテの『ファウスト』第二部で描かれていたこと」をテーマに、5つのツイートをお届けしました。

2015-01-23 07:24:52