「キルゾーン・スモトリ」 #2

B・ボンド&P・モーゼズ作。ネオサイタマを舞台としたサイバーパンク・ニンジャ活劇「ニンジャスレイヤー」の私家翻訳物 詳細はこちら http://togetter.com/li/73867
ニンジャスレイヤー
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Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
第1巻「ネオサイタマ炎上」より。「キルゾーン・スモトリ 2」
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
(前回までのあらすじ)廃商業地区に作られた危険な殺戮遊戯施設、キルゾーン・スモトリ。そこで週末の余暇を過していたカチグミ・サラリマンのナガム=サンとサトウ=サンは、思いがけずコケシマートの地下十三階へと足を踏み入れてしまうのだった・・・・。
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
エレベータが地下13階に向かってまっしぐらに下降してゆこうなどとは夢にも思わぬまま、2人は今日の戦果をサイバネティックIRCで賞賛し合っていた。
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#KOKESI:SATOU :今日狩った耳を売れば200万円くらいですかね? /// #KOKESI:NAGAMU:そうですね。インプラントしたCPUのクロックをさらに上げられますね。 ///
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#KOKESI:SATOU :スモトリを殺すのには大分慣れましたね? /// #KOKESI:NAGAMU:そうですね。慈悲はありません。バイオ・スモトリは増えすぎてしまった害獣ですからね。 ///
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
コケシ第七商業地区は、かつて中産階級の市民たちで賑わっていたが、ヨロシサン製薬とオムラ・インダストリが共同開発したバイオ・スモトリの育成プラントが爆発事故を起こしてから、政府の命令により無人地区に指定された。市民は新たな集合住宅をあてがわれ、強制退去させられた。
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プラントを脱走し野生化した大量のバイオ・スモトリがコケシ第七商業地区全域に放たれ、コメというコメを食い尽くしてしまったからだ。その後、ヨロシサンとオムラ・インダストリは、この地区を富裕層のための巨大殺戮遊戯施設に変えるという斬新なアイディアを思いつき、実行に移した。
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もちろん、これらの計画はすべて秘密裏に実行されたものだ。いくらインターネットを検索しても、ヨロシサンとオムラ・インダストリ、そしてバイオ・スモトリを結びつけるような情報はヒットしない。爆発事故に興味を持ったジャーナリストもいたが、皆ソウカイヤのエージェントに始末されている。
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
あまつさえ、現在のコケシ第七地区は「バイオ・スモトリ駆除のボランティアを募り、狩ったスモトリの耳と引き換えに政府から報奨金が支払われる」という名目で運営されているのだ。殺人快楽だけでなく、自らの行動が社会貢献とエコに役立っているという自尊心をも同時に満たせるのである。
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そんなエコロジカル・ヒーロー2人を載せたエレベーターは、コケシマート最深部である地下13階へと、叩きつけられるように到着した。ロープが老朽化していたのだろうか。鋼鉄の箱が激しく揺れると同時に、ボタン部分と階数を示す緑色のディスプレイから火花が散った。
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#KOKESI:SATOU :ウープス! 地下13階? 1階を押したのでは? /// #KOKESI:NAGAMU:エレベーターが壊れていたのかもしれません。ベースに救援メッセージをIRCで送りましょうか? ///
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#KOKESI:SATOU :しかし救援メッセージのペナルティは大きいですよ? /// #KOKESI:NAGAMU:では、途中まで自力でなんとかしてみましょう。///
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エレベーターは完全に故障し、ボタンを押しても動こうとしない。半開きの状態で開閉を繰り返している。エレベーターに閉じ込められるのだけは御免だ。そこでナガム=サンとサトウ=サンは、今まで一度も足を踏み入れたことのないスモトリ汚染レベル5地区、地下13階を探索してみることにした。
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
ブーンブンブン。ブーンブブ。ブーンブンブン。「安い、安い、実際安い」のフレーズで御馴染み、コケシマートのテーマである単調なベース音が、地下13階にも不気味に鳴り響いていた。スリルは感じても、恐怖はない。いざとなれば救援メッセージを送りさえすればよいのだ。
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
ケンドー型装甲服を着た2人がエレベーターから出ると、ひんやりとした冷気の触手が彼らの体を絡め取った。床からはチーズのような黴臭い匂いがした。銃器に備わったマグライトで周囲を照らすと、どうやらこの階はかつて、コケシマートの食肉保存エリアとして使われていたらしい。
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
銀色の巨大な冷蔵庫が、さながら整列したハカイシのように際限なく並び、天井からは「国産バイオ和牛100%」「美味しい」などの垂れ幕が下がっている。天井には黄色と黒のストライプが斜めに入った肉吊りウィンチのレールが、ショウギ盤の目のように走る。
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
少し進むと、それらの冷蔵庫の間に赤い漆塗りの柵が現れて2人の行く手を遮る。黄ばんだ紙に毛筆で警告文が書かれ、柵に貼られていた。 #KOKESI:SATOU :見てください、これ。 /// #KOKESI:NAGAMU:関係者以外、立ち入り禁止? ///
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
#KOKESI:SATOU :どう思いますか? /// #KOKESI:NAGAMU:コケシマート営業時代の名残でしょう /// 2人のヒーローは柵を蹴り飛ばし、非常階段を探すべく冷蔵庫の迷宮へと足を踏み入れた。
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
人一人しか通れない狭苦しい冷蔵庫の迷路を、互いの背を守りながら、じりじりと歩く。火炎放射器のサトウ=サンが前、ショットガンのナガム=サンが後ろ。2人のユウジョウは完璧だ。どこから敵が襲い掛かってきても対処できる。…その時。
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
「ARRGH!」突如、後方の冷蔵庫のひとつが開き、顔を紙袋で隠した真っ白い肉の塊が姿を現した。バイオ・スモトリだ。癲癇を起こしたイアン・カーティスのように手をぐるぐると動かし、自らを頬に平手打ちを入れる。「ARRGH!」知性の低いバイオ・スモトリは、言葉を話すことができないのだ。
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
#KOKESI:NAGAMU:pop sumotori 1  (訳注:スモトリ1体出現)/// #KOKESI:SATOU :rgr (訳注:了解)///
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
後ろを守るナガム=サンがしゃがみ、ショットガンのトリガーを引く。続けざま、背後を振り向いたサトウ=サンが、ナガム=サンの頭越しに火炎放射器で火炎を発射する。「ユウジョウ!」2人はサイバネティックIRCチャットの中で同時に発言した。
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
「アイエエエエエ!」散弾と火炎を畳み掛けるように喰らったスモトリは、情けない悲鳴をあげ、その場にうずくまる。容赦なく、さらなる散弾と火炎が叩き込まれ、バイオ・スモトリの身体を国産バイオ和牛100%ハンバーグのように変えていった。地下13階を再び単調なベース音が支配した。
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
こんがりと焼けた耳を切り取りながら、2人のカチグミ・サラリマンはほとんど同じことを考えていた。もしかしてここは、噂に聞いたバイオ・スモトリのネスト(巣)なのではないか、と。ナガム=サンのサポートを受けながら、サトウ=サンが試みに「牛コマ」と書かれた隣の冷蔵庫のロックを外してみる。
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
おお、ナムアミダブツ……! 何たる背徳的な光景だろう。そこには、通勤電車のようにスシ詰めになった何体ものバイオ・スモトリが、皆同じ方向を向いて、背中と腹を合わせながら立っていたのだ。ひんやりとした冷気の中で、スモトリたちは心地良さそうに寝息を立てていた。
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コメント

炭酸@プロ忍者 @tansan0613 2012年3月22日
RT @NJSLYR: 「「「力に力で対抗してはならぬ……速さで行くと決めたならば、あくまでも速さを貫き通すべし。百発のスリケンで倒せぬ相手には、千発のスリケンを投げるのだ……」」」師匠ドラゴン・ゲンドーソーから授かったファースト・インストラクションが、ニンジャスレイヤーの脳裏に響いた。
炭酸@プロ忍者 @tansan0613 2012年3月22日
RT @NJSLYR: 「「「力に力で対抗してはならぬ……速さで行くと決めたならば、あくまでも速さを貫き通すべし。百発のスリケンで倒せぬ相手には、千発のスリケンを投げるのだ……」」」師匠ドラゴン・ゲンドーソーから授かったファースト・インストラクションが、ニンジャスレイヤーの脳裏に響いた。
炭酸@プロ忍者 @tansan0613 2012年3月22日
RT @NJSLYR: 「「「力に力で対抗してはならぬ……速さで行くと決めたならば、あくまでも速さを貫き通すべし。百発のスリケンで倒せぬ相手には、千発のスリケンを投げるのだ……」」」師匠ドラゴン・ゲンドーソーから授かったファースト・インストラクションが、ニンジャスレイヤーの脳裏に響いた。
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