プロローグ
雨の降る木曜日の午後。夏の暑さが過ぎて、梅雨入りを告げる天気予報が、6月だよと教えてくれる。元気にしていますか。世界は雨に沈んで、水中で泳ぐ魚の、群れの中を泳ぐ。ぶくぶくと聞こえるのは、息継ぎの音だ。酸素を求めている。光が、届いて、私は目を開けた。星を、探したんだ。 #星座物語
2014-06-06 00:30:336月の雨は止む気配がない。
雲が隔てた夜空の光。哀しみの重い雲、憂いの空気、もしくは、優しいベール。見る人の心をうつす夜の雨。雨粒は、街の光を受けてキラキラと輝く。まるで水滴が星々からしたたっているようだ。優しい気持ちになれたのは、誰のおかげ、何のおかげ?ね、あの子は泣いているだろうか。この星水の降る夜に。
2014-06-06 00:35:15夜の音、雨の香り、街灯の温度。
雨の降る夜を泳いだ。傘を差して。公園は木々の隙間で、雨宿りに丁度いい。池に波紋が広がる。ちゃぽんと蛙が跳ねて、ざあぁと鳴る世界の気配を、イヤホン越しに感じている。アコースティックなギターの音だ。唄を唄おう。雨の傘は踊る。水溜まりに覗いた街灯の光に、夜空の星をたとえた。 #星座物語
2014-06-06 00:59:24水たまりは地面を冷やしている。
日常の気配をたどる。雨が降って、窓を開けて、外の空気を取り込む。湿った空気が、肺を満たして、ねえ、朝だよ。日常の小さな星を、探しながら歩く。小さくて見えないんだ、それは。歩く、歩くよ。日々は変わらずに回るんだけど、実は少しずつ上に進んでるんだ。水溜まりの、星をたどる。 #星座物語
2014-06-06 09:03:54ちゃぷちゃぷとかえるが遊んだら、
6月の物語がはじまる。
第一章 雨の夜でした
雨の夜でした。静かな雨が降っているのです。雷は鳴っていません。雨は斜めに降っていて、少し風が冷たいです。コンビニで印刷をするために外に出ました。傘を持ち近くを歩きます。信号機は赤です。印刷機にはエラーと出ます。もう一度傘を差しました。真っ暗な夜です。街灯は濡れた道路を照らします。
2014-06-08 01:00:28雨の夜です。雷は鳴っていません。風で斜めに降っているのか、時折窓に雨があたります。バイクが通る音が聞こえました。コップに水を入れて少し飲みました。真っ暗な夜です。小さな箱の液晶の光が指先を照らします。
2014-06-08 01:11:34雨の夜でした。雷は鳴っていません。しばらく雨の音を聞いていると「眠れないの?」と声がしました。何も答えずにいると隣で服の擦れる音がしました。「早く寝なよ」「……うん」それからどのくらいの間か分かりませんが、二人で雨の音を聞いていました。
2014-06-08 02:08:19街はかつての温度を取り戻している。
いつからか、空から砂が降るようになった。緑のあった地面は過去の話で、廃墟になり、人の住める場所も減った。水を求めて争いが起こった。時折降る雨に人々は歓喜した。それでも大半は砂漠となって、砂嵐から、空には砂が舞っていた。それでも星は綺麗に見えた。夜の闇を、照らしていた。 #書き出し
2014-06-08 01:43:39雨が降りかえるが鳴くのだ。