ア・クルエル・ナイト・ウィズ・レイジング・フォース・フロム・ソー・サイレント・フィアフル・レルム #7

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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

【ア・クルエル・ナイト・ウィズ・レイジング・フォース・フロム・ソー・サイレント・フィアフル・レルム】 #7

2015-02-02 22:02:46
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」敵陣からひととびに跳びわたってきたニーズヘグに、ビッグニンジャのヴァストバルクがインターラプトを試みた。丸太めいた巨腕がオーカー色のニンジャを叩き潰さんとする。「イヤーッ!」ニーズヘグは空中で身をひねると、その腕にヘビめいた薙刀の穂先を突き刺した。「グワーッ!」1

2015-02-02 22:12:56
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」ニーズヘグは突き立ったヘビ・ナギナタの柄を支点に鉄棒選手めいて回転すると、勢いをつけて、燃える杭めがけて再跳躍した。「イヤーッ!」KRAAAAASH!「グワーッ!」破砕した杭ごと、スパルトイは紫の炎の中へ落下した。ナムサン!息はあるか?その時!「師、師匠ーッ!」 2

2015-02-02 22:19:44
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

悲鳴じみた声が紫の炎の中から聴こえ、着地したニーズヘグの足元に、傷ついたスパルトイが這い出してきた。「なんたるご面倒を……弟子の恥は師の恥、心得ております!」「誰じゃ?俺ではないことは確かよ」「師匠!お、俺はこのイクサ、死力をふり絞ってウカツを埋め合わせ、名誉を取り戻します!」3

2015-02-02 22:23:35
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」ヴァストバルクがニーズヘグに襲い掛かった。「イヤーッ!」「グワーッ!」ニーズヘグはスパルトイを蹴り飛ばし、ヴァストバルクの攻撃を跳んでかわすと、腕に突き刺さったままのナギナタの柄を掴み、引きはがした。「グワーッ!」「イヤーッ!」わき腹に斬りつける!「グワーッ!」 4

2015-02-02 22:26:36
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

しかし恐るべきはビッグニンジャ。通常の相手であれば致命傷になりえた傷も、その巨体をもってすれば多少のダメージでしかない。「ナメルナヨ!」ヴァストバルクが蒸気めいた息を吐いた。ボロ屑めいたスパルトイが悔し涙を流した。「師匠……」「礼ならディミヌエンド=サンに言っておけ」 5

2015-02-02 22:30:04
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ディ……」スパルトイの辮髪を後ろからグイと掴み上げた者あり。抗議せんとしたスパルトイの首筋にアンプルを注射したのは、ディミヌエンドであった。「グワーッ!」スパルトイは瞬時に襲い来た己のニンジャ回復力のブースト作用に苦悶の叫びをあげた。ディムライトの貴重なキノコ霊薬だ! 6

2015-02-02 22:35:39
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「か、貸しを作る気か」「貸し?命令も承認もなしに、誰がくれてやるもんか。有限の薬なのに」ディミヌエンドはスパルトイを睨んだ。「派手な火刑、ギルドの恥!士気をそぐから師は助けた。余計な手間をかけさせるな」「ク……クソーッ!」スパルトイは己の側頭部を激しく殴りつけると、地を蹴った。7

2015-02-02 22:43:32
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」ゲニン達をカラテで圧倒するスパルトイは、とても先程まで死の淵にあったとは思えぬ。これぞ秘薬の力!ギルドにとっても手痛い消費だ!「イヤーッ!」ディミヌエンドが投げつけた短刀を受け取ると、スパルトイは更に鬼人めいて戦い始めた。8

2015-02-02 22:47:53
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

先刻、崖の淵でメイルシュトロムの軍勢に包囲されたスパルトイとディミヌエンドは、ペイルシャークらと激しいイクサを繰り広げた。スパルトイとディミヌエンドは多勢に無勢の状況下で激しく戦ったが、最終的にスパルトイは敵の手に落ちた。ディミヌエンドは包囲を突破し斥候としての役目を果たした。9

2015-02-02 23:01:07
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

スパルトイの力なくばディミヌエンドが逃げおおせる事も無かったであろうし、磔となるニンジャが逆になっていた可能性も十分にあった。しかしスパルトイはそれを言い募りはしないし、ディミヌエンドもフォローはしない。それをすれば、、彼が感じる自責と恥は二重に上塗りされようから。 10

2015-02-02 23:03:21
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ディミヌエンドの持ち帰った敵軍の編成情報、ネクサスが触れたコトダマ波動、ギルド幹部だけが共有するキョート城深淵の秘密。それらが相互に補い合い、今この場にイクサの決戦場が築かれようとしていた。メイルシュトロムと対峙しながら、収束する意志の波をシルバーキーは感じていた。11

2015-02-02 23:12:24
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

それは頭上を流れる星々に仮託されたイメージだった。シルバーキーはキョート城のイクサを感じながら、己のローカルコトダマ空間の風景を見ていた。夜の暗い砂浜に彼は立ち、四方八方から迫りくる焼けつくような蔦植物の侵略に抗い続けた。メイルシュトロムの浸食を切り離さねば、未来はない! 12

2015-02-02 23:17:47
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(好き勝手はさせねえぞ。させるもんかよ)シルバーキーのコトダマ身体は内側から銀色の光を放つ。蔦植物達が苦しげに痙攣し、じわじわと引き下がり始める。チャドー・フーリンカザン。そしてチャドーだ。ユカノが与えた火を、己のニューロン内燃機関の中で、絶やさぬように燃やし続けるのだ。13

2015-02-02 23:23:05
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

AAAAAARGH……遠く、メイルシュトロムの叫びが木霊した。蔦植物が01ノイズ分解され、崩壊しながら、地平の果てに吸い込まれていく。シルバーキーは勢いづいた。このまま010001000100100101グワーッ!」「何ッ……」ドモボーイは宙に浮いたエンブレイスを振り返った。14

2015-02-02 23:28:46
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

エンブレイスは己の首を押さえ、呼吸を取り戻そうともがいていた。ドモボーイは息をのみ、ジツの遂行者を見やった。ナヤミだ。ナヤミは敵陣からこちらへ手を伸ばし、超自然の力でエンブレイスを捉えている!「どうなってやがる」ドモボーイは息をのんだ。彼の知る情報はあまりに限られている。15

2015-02-02 23:31:45
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「シルバーキー=サン!」ユカノが叫んだ。その瞬間の彼女はライノハイドの側頭部に蹴りを叩き込み、180度回転させたところだった。魔犬はゲニン達を牽制し、ユカノへの包囲網を逆に拡げにかかっていた。魔犬の主たるニンジャ、ランチハンドは、得物の鞭でサイズマスターの攻撃を封じていた。16

2015-02-02 23:36:23
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ニーズヘグはヴァストバルクの攻撃を引き付けては躱し、そのたびその巨体に傷を刻み付けていった。致命の一撃はそう遠くないであろう。スパルトイとディミヌエンドは互いを守りながら、次々にゲニンを殺し、更に上位のニンジャに刃を届かせた。「サヨナラ!」爆発四散したのはレッドオセロット。17

2015-02-02 23:41:13
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ギルドのスモトリ戦士はメイルシュトロム軍に負けじとタイコを乱打し、オレンジの炎は紫の炎とぶつかり合って、決して譲らぬ。こちらにゲニンのごとき数の力は無いが、ニンジャ達は精強だ。クエストによって鍛えられた精鋭の集まりだ。それなのに、なぜその瞬間のドモボーイは不安だったのだろう。18

2015-02-02 23:44:21
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ナヤミはエンブレイスを高く吊り上げ、苦しめている。エンブレイスの力など、ドモボーイはアテにはしていない。発見時から様子はおかしかったし、ドラゴン・ニンジャによってなんらかの錯乱を抑えられ、ようやく足手まといから脱した程度の状態だ。それなのに、なぜドモボーイは恐怖したのだろう。19

2015-02-02 23:47:59
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

それはドモボーイのニンジャ第六感が発した警告だったのだろう。ナヤミのすぐ傍で、神輿の上のメイルシュトロムが「でカした」と呟いた。「でカした」同時に、ドモボーイのすぐ傍で、ゲニンの一人が同じ言葉を発した。「サヨナラ!」爆発四散したライノハイドから自由になったユカノが振り返った。20

2015-02-02 23:52:15
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「グワーッ……」エンブレイスはもがき続ける。包囲網の中からゲニンの一人が進み出る。神輿の上のメイルシュトロムが爆発四散する。ナヤミは御大将の死にもなにひとつ動じることはない。進み出たゲニンに魔犬が襲い掛かる。「チと、邪マだ」ゲニンは爆発四散する。別のゲニンが進み出る。 21

2015-02-02 23:55:34
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ドラゴン・ニンジャはエンブレイスからナヤミに視線を移動させる。そこへペイルシャークが襲い掛かった。ドラゴン・ニンジャは身を守らねばならない。進み出たゲニンはなにをしたか。サイズマスターと対峙するランチハンドに向かったのだ。思いがけず素早い、しめやかな動きだった。 22

2015-02-03 00:00:05
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ランチハンド=サン!」ドモボーイは叫んだ。ゲニン数体がドモボーイに一斉に襲い掛かった。ドモボーイの警告は虚しかった。ランチハンドのもとへ進んだゲニンのチョップ突きが、後ろから心臓を貫いた。マスターニンジャは己の受けた攻撃を訝しんだ。サイズマスターの腕の拘束が解けた。23

2015-02-03 00:03:37
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」サイズマスターがすかさず振りぬいたカラテ粒子の大鎌は、そのゲニンもろとも、ランチハンドの肩から上を瞬時に切断していた。ランチハンドはあまりに唐突に訪れた死の瞬間、分離した己の身体を見下ろそうとした。「「サヨナラ!」」ゲニンとランチハンドは同時に爆発四散した。 24

2015-02-03 00:06:49
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