ほしおさなえさん(@hoshio_s)の140字小説41
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【お知らせ】 2015/2/4(水)~8(日) ほしおさんがグループ展に参加されます。
[今週展示] 手仕事本展「トオイオト」◎2月4日→8日 ◎西荻FALL ◎12時→20時 ◎ほしおさなえ×annas、trois、山羊の木、door220、クルミド出版、九ポ堂による。 falldays.exblog.jp/22748078/ pic.twitter.com/0tzKcsngDM
2015-02-04 13:47:271)2/4(水)〜2/8(日)12時〜20時、西荻窪のFALLさんで開催される第一回手仕事本展「トオイオト」に参加します。きっかけは去年春の文学フリマで、製本や紙にこだわった本の作者たちでグループ展をすることになりました。続く→ pic.twitter.com/LC3oYRmXhL
2015-02-03 23:35:203)2月7日(土)20時~21時頃「トオイオト 第一回手仕事本展」開催中のFALL西荻窪で、グループ展参加者によるオルゴール演奏&朗読の無料ライブを開きます。クルミドコーヒー提供のコーヒー、またはワイン付。ほぼ立ち見の小さなライブですが遊びにいらして下さい(予約不要30名程度)→
2015-02-03 23:43:274)出演:ほしおさなえ/九ポ堂(酒井草平×葵日向子)/山羊の木(石川美南)/door220(saki)/紙巻オルゴールtrois(杉山三)/クルミド出版※コーヒー。お店は通常20時までの営業ですが、特別にライブ後のお買い物もOKです! te45to.tumblr.com
2015-02-03 23:44:34ほしおさんの在廊日は5日(木)12時から16時、6日(金)時間未定、7日(土)18時以降、8日(日)時間未定、とのことです。なお、7日(土)は、20時からオルゴール演奏・朗読ライブがあるそうです。
ほしおさんのサイトはこちら⇒http://hoshiosanae.jimdo.com/
ほしおさんの朗読サイトはこちら⇒http://hoshiosanae.tumblr.com/
ほしおさんの連歌サイトはこちら⇒http://tsuranaru.jugem.jp/
親子三人、手をつないで歩く。影が三つ並んでいる。真ん中の娘は去年と同じ毛糸の帽子で、影の頭が去年と同じ形になっている。でも大きくなった。頭の高さがどんどん近づいてくる。真ん中の影がぴょんぴょん跳ねる。わたしたちの影のあいだで。なにを考えているのかわからない影が、並んで歩いている。
2014-12-24 22:42:20その人は海の近くの町で生まれた。海の向こうに憧れ、日々浜辺に流れ着いたものを拾った。だが結局町を一歩も出ることなく老いた。ある朝、波に足を入れた。生まれてから今までずっと海を見てきた。だけどなんにもわからなかった。泣いていた。それまで拾ったものがすべて流れ出し、波間に光っていた。
2014-12-25 21:04:47陽を浴びて畳に座っている。むかし、人が死ぬとわずかに重さが減る、それが魂の重さだという話を聞いた。そんなことは起こらない。ふと、僕が死ぬ前と死んだあとで世界の総重量は変わらないのだと気づく。影を撫でる。畳の感触しかない。僕はいるのかいないのか。ひっそりと、魂の重さ、と呟いている。
2014-12-27 19:31:02夜明け前、光が舞い散るのを見た。風景や人々が入り混じった映像が目の前に広がり、崩れて光になっていく。あの映像はわたしの夢なのだろう。夢は少しずつ崩れ、光の粉になる。身体の細胞が入れ替わるように心も入れ替わるのだ。夜が明け、粉は消える。陽を浴びたわたしの肉体が寂しく横たわっている。
2014-12-30 22:36:13こたつに座り目を閉じる。どこからか土の匂いがして、いっせいに草の芽が出てくる音がする。あたりがあっというまに草原になり、ざあっと草の揺れる音がする。花が咲き、草が枯れる。人生なんてほんの一瞬のことなんだな、としみじみした悲しみが満ちてくる。目を開く。畳にひなたの匂いが残っている。
2015-01-09 19:29:18亡くなった祖父母と写った写真が出てきた。幼いわたしを守るように背を丸めた祖父母。まだ若い。わたしもこんなふうに守られていた。若いころ、孤独とはだれからも愛されないことだと思っていた。今は、愛するものがなにもなくなることだと思う。写真の中から、三人の瞳がじっとこちらを見つめている。
2015-01-10 19:26:35近所の家が取り壊されて空き地になり、向こうの風景が見えた。もちろんその場所だってよく通るところなのだが、こうして空き地越しに見ると妙に広く見える。心の中にもぽっかり空き地ができる。どこだってむかしは全部空き地だったのだと思う。なにもない平原が広がって、日が当たっていたのだと思う。
2015-01-15 22:46:05晴れた日に、枯野で目を閉じる。わたしは野原に小さな食卓を出していて、もう会えない人たちが次々にやってくる。飲み物をふるまう。みんな笑って、身体がないからもう痛みもないのだな、とほっとする。生き物はみんな悲しい。生きるのは理不尽なことだから。目を開く。陽の光が糸のように降っている。
2015-01-16 18:56:44