ガラスバッジによる個人の線量測定
14) 校正規格で重要なのはコロコロ変えないことと,統一されていること.長年にわたって同じ基準で検査されているから値を比較できるし,後から得られた知見にあわせて補正をしたり,換算できるのも校正の方法が一つに定められているから.変えることのデメリットは極めて大きい.
2015-02-27 19:06:5015) さらに,校正規格(校正体系),ひいては単位体系は基本的に世界共通という基本を忘れてはいけない.ある個別事情にあわせて測定器の調整を変えてしまうことは大混乱のもと.将来禍根を残す.厳しく判定したいなら値をいじるのではなく基準を変えるように主張するのが筋.
2015-02-27 19:07:2816) 現行規格が完璧とは思わないし,変更のメリットがデメリットを上回るなら変更も行われることがあるにせよ,これまで見てきた校正規格の変更の主張でうなづけるものは無いというのが現在の私の見解.
2015-02-27 19:08:0417) 但し,現状で<個人線量計の示す値>(≠個人線量)は実効線量とほぼ同等であるという事実(安全マージン分は使い切っている)を無視して,もし「個人線量計の値は十二分に安全側だから」という前提での判断がされるなら間違いだし,それはしっかり監視していく必要がある.
2015-02-27 19:08:54まあ早い話が,ダイエットの目標を60kgから58kgにしたからといって,共用の体重計の調整をいじってはいかんのですよ.体重計はそのままに,各々の判断基準の方を変えて対応しないと.
2015-02-27 19:09:2718) あと,法令や規格はその性格上,(実現不可能なことを規定しても意味が無いので)実現可能なものについて記述される点もおさえておくべき重要なポイント.概念上のものであれば必ず代替手段として実現可能なものが記述されているはず.
2015-02-27 22:55:2819) 実効線量も実測不可能なものなので,その代替手段として規定の部位に装着した放射線測定器で測った1センチメートル(個人)線量当量(それが不可能なら1センチメートル(周辺)線量当量率からの算出,あるいは計算)と規定される. law.e-gov.go.jp/htmldata/S47/S…
2015-02-27 22:57:4720) ここで言う「1センチメートル線量当量」は,実測不可能な<概念上の1cm個人線量>ではなく,実測可能な<1cm個人線量を測定する目的で校正された測定器の示す値>(あくまでみなし値でしかないが)でなければ法令そのものが成立しない.
2015-02-27 22:58:2721) このような点から,その良否は別にして,現行法令は<個人線量計の示す値>=<個人線量当量>と想定しているのではないかというのが私の想像.そして,その解釈の上で個人線量計での管理がなされている状態と理解している.
2015-02-27 22:59:25@clear_wt あー、そこはちょっと気になったところで、「Hp(10)を測れ」と書いてあっても、そんなもんは測れないから、「Hp(10)で校正された測定器の表示値」のことだと思うんですよね
2015-02-27 22:57:05.@kikumaco はい.概念上の真の値と適正な運用のされた機器の実測値がずれる,という想定はされておらず(仮に想定していても実務ならずれる前提で関連部分も規定しないと意味を持たないので),<機器の示す値>=<規定された値そのもの>で法令は組み立てられていると思われます.
2015-02-27 23:09:46先日の連ツイ,話が複雑になるのを避けるため少し端折った部分が本当はいくつかある.現行でおおよそ問題なさそう,という点は変わらないのだけど.
2015-03-01 12:31:09・場の管理との値の整合/値の利用の仕方 ・(仮想の話でしかないのであまり重要ではないけれど)11)での安全マージンをどうとるか~周辺線量当量の考え方との比較 そこまで考えると,周辺線量の値より小さい,と主張する人のことも少しは理解できるんですよ.
2015-03-01 12:34:38現実問題として校正の方法を変えるというのはありえないにせよ,運用の方法でというのは完全に否定される話でもないような気がしていて.twitterで何か言っていても意味はなくて,それを決める立場の人がどう考えるかだし,実際にそういう方向にいく可能性は低いと思うけど.
2015-03-01 12:38:051cm周辺線量当量は, (1)入射方向がわからないという仮定で [1]全部の放射線が一番影響の大きい前方入射とみなして (2)影響を受ける器官は実際は体内の深いところにあるのを [2]体表から1cmの位置で評価する という2重の安全マージンをとったかなり防護よりの指標.
2015-03-01 13:22:43現在,そのような指標が存在しているのも事実だから,個人線量計の示す値もそれと同等にという主張は全く荒唐無稽というわけではなくて. ただ,入射条件を現実にあわせろという主張なら,(1)の仮定そのものが成立しなくなるのに,この2重の安全マージンを維持するのが妥当か,という話.
2015-03-01 13:26:37(実際は違うけど,もし仮に)確率的影響の度合いが1cm線量当量と関連付けられているなら当然そちらの数値にあわせなければならないけど,<実際には実効線量と関係付けられており>,実効線量をありうる範囲のさまざまな条件下で過小評価しないというのが重要.
2015-03-01 13:31:32@clear_wt ICRU球への前方照射時の正面から深さ1cm位置での吸収線量だから、身体の前面とか臓器の位置とか関係ない定義ではありませんか? それと実照射条件での実効線量を比較すると、かなり安全寄りの値になっているということであって
2015-03-01 13:31:28@clear_wt 「人体への前方照射」とは違うんですよね。ICRU球には前も後ろもなくて、どの方向から照射しても同じだから
2015-03-01 13:41:40.@kikumaco はい.定義ではそのとおりになります.ここは説明の問題で,ICRU球への入射方向が変わるとき,着目点を入射方向側の表面から1cmにするということを,ICRU球(仮想的に人体を丸めたもの)への様々な入射方向からの放射線を全部前方入射とみなすと表現しました.
2015-03-01 13:39:02線量概念についての関連資料集
特に個人線量計による測定や,他の測定値(周辺線量当量や空気カーマ等)との関係についてのもの
無料の講演資料3つ。原子力学会2014秋の保健物理セッションより。色々と重要かと aesj.or.jp/~hobkan/kikaku… 平山英夫(KEK)「シーベルトとは?」,大町康(放医研)「個人線量計と個人被ばく線量評価の経験」など。
2015-02-04 18:00:11あとは @tos1048 さんがツイートしてたこちらの連載解説が完結すれば一つの決定版になるかな.ただ,やはりちょっと難しい. twitter.com/tos_1048/statu… twitter.com/tos_1048/statu… twitter.com/tos_1048/statu…
2015-03-01 23:20:25RADIOISOTOPESよりJAEA斎藤先生や遠藤先生らによる測定関連の連載講座。最後のⅥは楽しみである。 福島周辺における空間線量率の測定と評価 Ⅰ連載講座のねらいと概要 jstage.jst.go.jp/article/radioi…
2014-12-31 17:51:51RADIOISTOPESより 福島周辺における空間線量率の測定と評価 II 放射線防護で用いられる線量の意味と特徴 jstage.jst.go.jp/article/radioi…
2014-12-31 17:53:59RADIOISTOPESより 福島周辺における空間線量率の測定と評価 III 環境γ線の特徴と被ばく線量との関係 jstage.jst.go.jp/article/radioi…
2014-12-31 17:55:31