「ツー・シップス・オブ・ムーンライト・ナイト」

Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

◆与太話◇ ◆予告◇

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「春雨？」「エッ」声を掛けられ、春雨はビクッと体を震わせた。「どうしたの？ぼぅっとして」白露は気遣うように声を掛けた。「いえ、何でもないですよ白露姉さん」春雨は取り繕い、笑顔を見せた。「そう？ならいいんだけど」疑わしげな視線を向けながらも、白露は隊列に戻る。

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その姿を見送り、春雨は再び、ある方角を見つけた。声、或いは思念だろうか？春雨は、何かを感じていた。自分を惹きつけ、呼ぶ何かを。

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時は先の大規模作戦「渾作戦」発動初期。第1次作戦も終わりが見え、いよいよ第2次作戦がが始まろうとしていた頃。ここはトラック泊地に臨時に作られた大規模作戦臨時作戦本部。護衛任務の達人春雨は、ここで本土からの輸送物資の護衛に従事していた。

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やがて、春雨は走りだした。「行かなきゃ」訳もわからぬ焦燥感が春雨を苛む。目指す場所は判らない。だが、会うべき人は判った。

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第2次渾作戦、作戦指揮官リカルド・ベレンゲル大将。それが、春雨が会うべきとした人物。「行かなきゃ」春雨の目から、青みがかった黒い光が漏れる。「…会わなきゃ！」だが、それも一瞬。瞬きの間に赤き光が満ちる。覚悟と、戦士の決意の光が。

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…同時刻、ビアク島周辺海域。「来ルカ」青みがかった黒と紫の光をたたえる半機の少女が、洋上で呟く。その太腿から下は無く、浮遊用と思われるユニットが腰を覆っていた。そしてその顔は･･･おお、ゴウランガ。その顔は春雨と双子めいて瓜二つではないか！

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「忌々シイ艦娘ドモ…」彼女の周辺に駆逐艦級深海棲艦が群がる。…彼女は駆逐棲姫。軍艦「春雨」そのものを深海棲艦化させた規格外存在。…そして、駆逐艦娘春雨と、ソウルを同じくする者。「来ルガイイ」駆逐棲姫は、朧げな瞳をトラック泊地の臨時基地へと向け呟いた。「ソシテ、堕チロ」

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「イヤーッ！」「イヤーッ！」同刻、大規模作戦臨時基地内道場。リカルドと川内は組み手をしていた。第2次渾作戦へと向けたウォーミングアップである。「イヤーッ！」「イヤーッ！」リカルドの唐竹チョップが川内へ向け放たれ、川内はそのチョップを電撃的に回避する。

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「イヤーッ！」「グワーッ！」回避と同時にリカルドの眼前まで潜り込んだ川内の掌打が、リカルドの胸を打つ。リカルドはたたらを踏む。「そこまで！」審判を務めていた神通の凛とした声が道場に響いた。「一本！」川内の勝ちを意味する宣告。「やりぃ」「痛つつ、負けたか」その時、道場の門が開く！

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道場内にいる全員が、闖入者へと視線を向けた。水色のグラデーションの桃色の髪、白帽子と黒服。「あなたは」神通が不思議そうに闖入者を、春雨を見た。「ハァー…ハァー…」息を切らせ、俯きがちになりながらも、春雨は道場内のリカルドを見つけた。「あの！リカルド提督！」「俺に用、か？」「はい」

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「あの」春雨は少し言いよどんだ。やがて意を決し、叫んだ。「私を、第2次渾作戦に参加させてください！」

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第2次渾作戦SS 「ツー・シップス・オブ・ムーンライト・ナイト」 近日投稿予定

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◇カラテだ！カラテあるのみ！◆

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◇寝なさい◆

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◆K@R@TE ENTERTAINMENT◆

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……深海棲艦。 1

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それは10数年前、突如として海の中から現れし正体の知れぬ異形の者たち。彼らは群れを成し、さながら伝説に在りしエジプトの十の災いめいて、海を往く船全てに害を為した。 2

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彼らは物理的攻撃では完全に滅びず、短時間で蘇る。人類全体がその脅威に気が付いたころには、流行病めいて世界各地の海に害を為し、やがて海は深海棲艦のテリトリーとなった。 3

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人類は制海権を失ったのだ。 4

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だが、人類にはまだ希望があった。艦娘。科学と魔術の最先端技術のハイブリット申し子にして、嘗て海で鮮烈に戦った軍艦の船魂をその身に憑依させた超人的存在。 5

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そして艦娘を擁する再編された軍事組織、鎮守府。彼らは深海棲艦を根本的に浄化する大規模作戦を幾度となく実行し、遂に人類と深海棲艦は同じ土俵において制海権を争うまでに、戦力を拮抗させたのだ。 6

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そして時は先の大規模作戦「渾作戦」発動初期。第1次作戦も終わりが見え、いよいよ第2次作戦がが始まろうとしていた。 7