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よく分かるチョコレートの結晶学

""チョコは油脂の結晶。結晶構造が味に大きく作用します…"" 山猫だぶさんがバレンタインデーに向けてチョコレートの結晶学をツイートしていらっしゃったので、メモさせていただきました。
科学
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山猫だぶ㌠ @fluor_doublet
チョコは油脂の結晶です。結晶構造が味に大きく作用します。
山猫だぶ㌠ @fluor_doublet
チョコレートは、カカオマス、カカオバターをはじめとする油脂類、ココア、糖、および粉乳から作られる菓子です。 油脂分(脂肪酸トリグリセリド)は、優良チョコレートではカカオバターのみより調製されるのですが、一般的なチョコレートは合成油脂を混ぜます。
山猫だぶ㌠ @fluor_doublet
トリグリセリドの結晶多形は古くから研究されています。液晶相までいるのですが。最近では品質管理の点から、ある程度の量は合成トリグリセリドを混ぜているんですが、普通はSUSといって、グリセリンの1位と3位に飽和脂肪酸を、2位に不飽和のものを入れた合成油脂が用いられます。
山猫だぶ㌠ @fluor_doublet
トリグリセリドの結晶構造では、βと呼ばれる室温よりちょっと上に安定領域がある準安定相が愛されます。このβ構造にも多くの亜種があります。一番大事なのがβ(V)と呼ばれる結晶相(1軸が異常に伸びた三斜晶P-1の相)で、 これがスナップ性と融点の両方を兼ね備えたおいしい結晶相なのです。
山猫だぶ㌠ @fluor_doublet
スナップ性というのは、パキッと割れる破壊特性で、チョコには大事な力学特性です。融点はもっと大事で、体温で融けないとおいしくないのです。このふたつの油脂結晶の性質を持っていて、結晶相が安定なのがいいチョコです。
山猫だぶ㌠ @fluor_doublet
ところが、これを満たすβ (V) という結晶相って安定ではなく、加熱融解してそのまま冷やしても出てきません。これは、熱処理と結晶化の処方が要ります。普通は種付けといって、既にこの結晶構造を持っている油脂を融点近傍で放り込んで、ムリヤリにここに結晶化させます。
山猫だぶ㌠ @fluor_doublet
この熱処理をテンパリングといいます。企業では、このβ(V) が一番安定になる条件を熱分析 (DTA, DSC) で見つけて、そのレシピに基づいて数種の油脂を混ぜ、2軸混練機で油脂を練って、ここに種付けして温度管理して、適当な結晶相品質を持つチョコレートを管理して作っています。
山猫だぶ㌠ @fluor_doublet
パティシエさんは、そういうのは勘でわかるのか、やっぱり湯煎でチョコ融かしたら、融点直上ぐらいで別の固体チョコ入れて種付けして、再結晶させる技を身に付けてるみたいですね。
山猫だぶ㌠ @fluor_doublet
最近ですと、合成油脂とココアバターに出るこのβ(V) の相を、放射光で分析してる論文が JPCB に出てますよ。 pubs.acs.org/doi/abs/10.102…
山猫だぶ㌠ @fluor_doublet
同じ成分でも異なる結晶構造の相が出ることがあります。これを多形 (polymorph) というのですが、ここに油脂の結晶をうまく制御してやらないと美味しくないし、この相の安定領域が狭い油脂配合だと、ファットブルームというもっと安定な相に転移してしまうよ、という話です。
山猫だぶ㌠ @fluor_doublet
さっきの JPCB の論文中の、油脂の分子構造と、ココアバターのβ(V)相のシンクロトロン光による結晶構造を紹介しますね。この構造が、美味いチョコには必須らしいんです。 pic.twitter.com/R5v7IiucHw
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山猫だぶ㌠ @fluor_doublet
これを、勘だけで制御してるパティシエさんって、すごいですよ。まさに名人芸。
山猫だぶ㌠ @fluor_doublet
というわけで、チョコの大部分は油脂の結晶で、この結晶の構造をどうやってコントロールするかでその味が決まる、といういつもの話なのでした。

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