霧島組放浪記2

時をかける梁山泊
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日記をつけるフラタ提督@放浪中 @Adm_FS_TaClass

「父上!これから通るバミューダ海域では不思議なことが起こると聞いたのですが、ほんとうですか!?」これから寝ようというタイミングで、ものすごく目を輝かせたやまとにそう尋ねられました。めっちゃかわいい。いや、それはいい。どこでそんなことを聞いたの?「妖精さんです!」 #霧島組放浪記

2014-09-30 23:13:08
日記をつけるフラタ提督@放浪中 @Adm_FS_TaClass

そういえば平成の初め頃、怪奇現象特集のテレビ番組って流行ってたなあ……バミューダ海域のは、もう全部デマだってわかってたけど、噂は無くならなかったな……「嘘なのですか!?」え、ああ。「そうなのですか……」目に見えて落ち込むやまと。かわいい。だがフォローせねば #霧島組放浪記

2014-09-30 23:26:32
日記をつけるフラタ提督@放浪中 @Adm_FS_TaClass

やまとは間宮さんのアイスで一発でキラキラした目に戻りました。復帰の仕方が親子でほぼ同じです。いや、同一人物(?)と言われればそれで終わりですが。大和の場合はこれがお酒や私でもキラキラします。そして私が疲労困憊になります。 #霧島組放浪記

2014-09-30 23:40:10
日記をつけるフラタ提督@放浪中 @Adm_FS_TaClass

パナマを離れてしばらく、私達はあのバミューダ海域に入りました。「何かあるかも」という噂は、やはり無くならなかったようで、霧島などの一部を除いた艦娘たちは、皆どことなくそわそわしているようでした。斯く言う私も、この穏やかな海に何か不吉なものを感じていました。 #霧島組放浪記

2014-10-03 20:47:31
日記をつけるフラタ提督@放浪中 @Adm_FS_TaClass

バミューダ海域に入って数時間、いつものように甲板で遊ぶ駆逐艦娘達の声をBGMに、ぼーっと空を眺めていると、ふとした瞬間に、ほんの些細な違和感のようなものを覚えました。具体的な説明は出来ませんが、ともかく、「なにかおかしいな」という感覚です。 #霧島組放浪記

2014-10-03 20:57:15
日記をつけるフラタ提督@放浪中 @Adm_FS_TaClass

その時はその違和感はそのままに、特に何かをしたわけでは無かったのですが、航路を進むに連れてそれは徐々に強まっていきました。正体に気付くには、そう時間がかかりませんでした。見上げた空に浮かぶ雲の群れが、いつまでも同じ形を保ったままこの船を追いかけているのです。 #霧島組放浪記

2014-10-03 21:13:29
日記をつけるフラタ提督@放浪中 @Adm_FS_TaClass

このことに気が付いたのは私だけではなく、空母艦娘や戦艦娘の中には空の異変を察知している者もいました。やまともその一人です。「父上!なんだかお空が変です!」遊んでいた艦娘たちの輪から駆けて来たやまとが私にそう言った時、今度は誰もがわかるレベルで異常なことが起きました #霧島組放浪記

2014-10-03 21:34:24
日記をつけるフラタ提督@放浪中 @Adm_FS_TaClass

さっきまでは雲の動きがおかしかっただけでスッキリと晴れ渡っていた青空が、みるみるうちに端から紫とも黒ともつかない色に染まり始め、浮かぶ雲の隙間を稲光が走り、グラグラと神鳴が轟く。「何ですか!?どうしたんですか!?」やまとがパニックを起こしたように私に縋り付きました #霧島組放浪記

2014-10-03 21:55:17
日記をつけるフラタ提督@放浪中 @Adm_FS_TaClass

他の艦娘たちも同様にこの異常事態に混乱していました。いつの間にか波も荒立ち、しきしまを揺らしています。私は、やまとを抱きしめて揺れに耐えるのが精一杯でした。『総員艦内退避!総員艦内退避!』霧島のアナウンスが聞こえたのと同時に、一際強い閃光に、私達は包まれました #霧島組放浪記

2014-10-03 22:04:58
日記をつけるフラタ提督@放浪中 @Adm_FS_TaClass

閃光とほぼ同時に、上空から大型獣が低く唸るような、錆びた鉄の扉を無理やりこじ開けるような、艦娘の戦列が一斉射しているような、腹に響く大音量の神鳴りがやって来ました。世界全てを揺さぶらんばかりのそれは、私達を竦ませるのに十分すぎるエネルギーを持っていました #霧島組放浪記

2014-10-03 22:49:47
日記をつけるフラタ提督@放浪中 @Adm_FS_TaClass

間髪を開けず、また大きな雷が落ちました。私は腕の中で怯えるやまとを抱きしめることしかできません。稲光に反射で目をつむり、船体の揺れに耐えるために身を低くしました。そして、どれほどの時間が経過したかはわかりません、目を開けるとそこは、再び穏やかな海でした #霧島組放浪記

2014-10-03 23:09:09
日記をつけるフラタ提督@放浪中 @Adm_FS_TaClass

さっきまでの天変地異が嘘のように晴れ渡った空と凪いだ海。少しの間呆気にとられていましたが、すぐに甲板に横たわる艦娘たちの姿で気を取り戻しました。抱えたやまとも気を失ったようにぐったりしています。名前を呼びかけても反応はありません。『司令!すぐに艦橋まで!』 #霧島組放浪記

2014-10-04 21:44:20
日記をつけるフラタ提督@放浪中 @Adm_FS_TaClass

『意識のあるものは気絶した艦娘たちを医務室に運んで!まずは状況確認を再優先にする!』霧島の放送を聴いて、私はやまとを抱き上げて歩き始めました。立ち上がった身体はまだ揺れているような気がします。 #霧島組放浪記

2014-10-04 21:48:10
日記をつけるフラタ提督@放浪中 @Adm_FS_TaClass

艦橋に到着すると、霧島大和以下いつもの高練度艦隊の面々が揃っていました。ただ、戦艦娘と空母艦娘だけで、時雨と夕立、神通といった水雷戦隊の姿がありません。「先ほどの突然の雷の後、一部の艦娘は気を失ったまま目を覚まさないんです。原因は不明です」そう言ったのは大和でした #霧島組放浪記

2014-10-04 22:03:25
日記をつけるフラタ提督@放浪中 @Adm_FS_TaClass

他の艦娘と比べて精神的にも成熟している大型艦娘たちとはいえ、今回の事態にはまいっているようで、金剛は空になったカップに何度も口をつけ、武蔵は何度も眼鏡の位置を直し、飛龍は蒼龍の乳を揉み、榛名は霧島の指を咥え、長門はニーソを嗅ぎ、赤城と加賀は…… #霧島組放浪記

2014-10-04 22:30:45
日記をつけるフラタ提督@放浪中 @Adm_FS_TaClass

各々に心を落ち着かせるための行動をしてるんだろうが、今はそんなことをしてる場合じゃない。まずは現状の報告を「提督」どうした大和。「いえ、その……大和の髪に埋まりながらそう仰られても、説得力は薄いかと……」ん?おお。なんかさっきからいい匂いがすると思ったら。すまない #霧島組放浪記

2014-10-04 22:36:27
日記をつけるフラタ提督@放浪中 @Adm_FS_TaClass

完全に無意識だった。「そうですか……」それじゃあ、現状報告を頼みたい。「あれ、あの、離れないんですか?」無論だ。問題ないだろ?「あっ、はい」「いちゃついてる所失礼します。司令」赤城と加賀の嬌声をバックに、霧島の声に振り返りました。「まず知らせたいことがあります」 #霧島組放浪記

2014-10-04 22:43:53
日記をつけるフラタ提督@放浪中 @Adm_FS_TaClass

「どうやらこの船、バミューダ海域ではなく、北太平洋にいるみたいですよ」 #霧島組放浪記

2014-10-04 22:45:41
日記をつけるフラタ提督@放浪中 @Adm_FS_TaClass

霧島は呑気さすら漂う表情であるモニタを指さしました。それはこの船の地球上での位置を示しているものです。つい先程までは中米の西沖にあったであろう点滅する点は、カムチャツカ半島の南、千島列島近くにあります。ほぼ地球の裏側です。一体どういうことなんでしょうか #霧島組放浪記

2014-10-05 00:52:01
日記をつけるフラタ提督@放浪中 @Adm_FS_TaClass

「どういうことかさっぱり分からんが、私達は瞬間移動したとでもいうのか?」冷や汗を拭いながら発せられた武蔵の言葉に、霧島の顔が陰ります。「瞬間移動だけなら、まだいいんだけどね」「……どういうことだ」「何か嫌な予感がする、ってだけのことよ。気にしない方がいいわ」 #霧島組放浪記

2014-10-05 01:00:53
日記をつけるフラタ提督@放浪中 @Adm_FS_TaClass

霧島の嫌な予感、というのはさておき、現状の整理と対応にとりかかりました……私達は今なぜか太平洋上にいて、駆逐艦・軽巡洋艦娘の多くと一部の大型艦娘が意識不明の状態にある。こちらも原因は不明。正直言ってどうしようもありません。 #霧島組放浪記

2014-10-06 01:17:52
日記をつけるフラタ提督@放浪中 @Adm_FS_TaClass

一応私を含めた全員の意見は、「どこかの泊地に寄港するか、近くを通りがかった船に『助けてもらう』」というところで一致していたので、そのままにすることとなりました。今は前者を実現するために単冠に向かうべきでしょう。色提督からなら簡単に援助が受けられそうです。 #霧島組放浪記

2014-10-06 01:21:37
日記をつけるフラタ提督@放浪中 @Adm_FS_TaClass

暫定的な措置ではありますが、単冠に向かう私達。向かう先には、まるで予め用意されていたように海路を塞ぐ濃い霧がかかっています。「いかにも何か出てきそうですね」霧の艦隊か?それならまだ大丈夫だ。勝てたから。幽霊船なんかの方がよっぽど怖いわ。「ふふ。そうですね」 #霧島組放浪記

2014-10-07 00:58:44
日記をつけるフラタ提督@放浪中 @Adm_FS_TaClass

大和と並んで艦橋から見据えた白い壁は、波乱の幕開けとしか受け取りようがなく、乾いた笑いを交わし合う間も手を握り合って放すことが出来ませんでした。 #霧島組放浪記

2014-10-07 01:05:16
日記をつけるフラタ提督@放浪中 @Adm_FS_TaClass

霧島のことです。もう1海里と離れていないあの壁にも、臆することなく突っ込んでいくことでしょう。そう思って前方を眺めていると、霧の中に僅かに輝くものが見えました。目を凝らせば、影のようなものも見えてきます。「あれは……」大和もその存在に気付いたようでした。 #霧島組放浪記

2014-10-07 01:17:53
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