相田和弘氏、ISILの映像を分析するそして

相田氏のRTされた高橋源一郎氏のつぶやきとあわせて
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想田和弘 @KazuhiroSoda

ヨルダンのパイロットが焼き殺されたとのニュース。22分に及ぶ元映像はすでに削除?短く編集されたのを見たが、映画作家としては、これまでISILが公表してきた映像がどれもハリウッド映画的であることが気になる。今回のはそれが特に顕著。映画の文法を知らないとこういう映像は作れない。

2015-02-04 03:07:13
想田和弘 @KazuhiroSoda

例えばいきなり火をつけるのではなく、たいまつを持つISILメンバーとパイロットを交互に見せてから火をつける編集手法。これはサスペンス映画の常道で、いきなり火をつけるよりも見る者の感情を動かす。そういう手口を知っている人間が映像を作っている。これほど悲しい映像の悪用はない。

2015-02-04 03:11:36
想田和弘 @KazuhiroSoda

ISIL公表の映像では、犯行声明も英語で話される。これもハリウッド映画で英語圏以外の国の話なのに英語を話すパターンと似ている。要はISILが出す映像は「アメリカ人のイメージするテロリスト像」を自らわざわざ演出しているようにみえる。しかしそれが何を意味するのか。それは分からない。

2015-02-04 03:17:40
想田和弘 @KazuhiroSoda

ISILが作る一連の映像が演出するのは、ベタな「悪の組織」のイメージである。不思議なのは、なぜ彼らはわざわざ自らを「悪」として演出しているのかということ。自分たちを正義の味方のように描きたいなら、演出を180度変えるはず。暴走族やヤクザと同じメンタリティか?それとも別に理由が?

2015-02-04 07:20:11
想田和弘 @KazuhiroSoda

声明文について、各人に賛同できない部分があるのは至極当然だと思います。全面的に同意していただけることの方がむしろ奇跡的だとすら思います。だから一部誤解している方もいますけど、賛同できない方に対して「翼賛体制に寄与するのか」などと批判したりするつもりはまったくありません。

2015-02-05 05:58:12
想田和弘 @KazuhiroSoda

改めて申し上げたいのは、僕が望んでいるのは「意見の多様性の確保」だということです。声明文で申し上げているのは、その一点に尽きます。したがって、賛同しない人はダメだとかなんとか言ってしまったら、究極の自己矛盾です。

2015-02-05 05:58:37
想田和弘 @KazuhiroSoda

ヨルダン人パイロットを焼き殺した22分の完全版映像がアメリカのFoxチャンネルのサイトに全編アップされていたので観た。吐き気を催すので見ることはお勧めしない。しかしこれだけは言える。ドキュメンタリーと劇映画の製作に精通した映像技術のプロが何人もいないと絶対に作れない。

2015-02-05 08:41:03
想田和弘 @KazuhiroSoda

スタイルは通俗的でクリシェ(紋切り型)だが、ドキュメンタリー的(というよりアメリカのリアリティTV的?)な手法と劇映画的な手法を巧みにプロパガンダに利用している。「意志の勝利」を思わず連想してしまった。いずれにせよ、映像技術のこれほどおぞましい悪用の仕方はない。

2015-02-05 08:46:08
想田和弘 @KazuhiroSoda

ISILのこの映像を嬉々として作った人がいるのだと思うと、心底、恐ろしくなる。この映像の凝り方は異常だ。「作品」(と呼ぶのもおぞましいが)を愛していないとこんなには凝らないと思う。だから恐ろしい。

2015-02-05 08:57:20
想田和弘 @KazuhiroSoda

ISILによる焼き殺しの映像が頭にこびりついて離れない。一種のトラウマ?映像を分析的に見る習慣のある僕でもそうなのだから、一般の人には見るのをお勧めしない。映像とは疑似体験。理性よりも感情を動かす。映画はその力を利用して他者の心の中を共有しようと試みるわけだが、それが悪用された。

2015-02-06 00:46:43
高橋源一郎 @takagengen

「人質」問題について、頭から離れなかったことを少しツイートします。5つです。政府の方針や「自己責任」をめぐってではありません。ぼくは、いま、そのことにそれほど関心はありません。いわゆる「イスラム国」、ISILもしくはISISといわれる人たちのことについてです。

2015-02-07 21:29:16
高橋源一郎 @takagengen

①パイロット焼殺動画を(少しだけ)見た。ある映画監督は彼らの動画に「ハリウッド映画の文法がある」と思えると言った。ぼくにも、そこにある種の「審美眼」あるいは美意識さえあるように思えた。彼らを、人間の心を持たない獣だと非難できたら簡単だったろう。だが、美意識は人間だけがもてるのだ。

2015-02-07 21:31:18
高橋源一郎 @takagengen

②アウシュビッツで「死の天使」といわれた医師メンゲレは、クラシック音楽の愛好家で、到着したユダヤ人たちをガス室に送るか選別する時、それから人体実験をする時、オペラのアリアを口ずさんだ。彼にも美意識はあったのだろう。非人間的な残虐さは恐ろしい。だが、人間的な残虐さもっと恐ろしい。

2015-02-07 21:33:15
高橋源一郎 @takagengen

③彼らの動画や行動を見ながら、彼らは「死」そのものに惹かれているのではないかと思った。あらゆる宗教の奥底に、彼岸を憧れる余り死に強く惹かれる部分がある。彼らを否定し非難し憎んでも無駄なのかもしれない。それこそが喜びだから。彼らが嫌がる唯一の反撃は生の側から理解しようとすることだ。

2015-02-07 21:35:37
高橋源一郎 @takagengen

④彼らを理解することは「テロリズム」を理解することだ。「テロリズム」は絶望から生まれる。希望がないから破壊にすがるしかないのだ。だから、いくら滅ぼしても、希望がない場所では「テロリズム」は再生する。この世界が生きるに値する場所だと信じさせることしか、彼らを真に滅ぼす方法はないのだ

2015-02-07 21:37:20
高橋源一郎 @takagengen

⑤彼らの最大の特徴は「他者への人間的共感の完璧な欠如」だ。だが、これは「テロリズム」の形をとらずに、ぼくたちの周りにも広がっている。いちばん恐ろしいのはそのことだ。死を産み出す「深淵」は、実はぼくたちの近くにある。呑み込まれてはならない。その時、ぼくたちの未来はなくなるだろうから

2015-02-07 21:39:07

高橋氏のツィートはハフィントンポストにも掲載された

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