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ピッピの話 我らの地の移ろい (お話のみ)

"The Fading of the land" 『我らの地の移ろい』というゲームのプレイ記録です。 お話として読めるようになっています。 ゲーム的な数値処理のツイートなどは外しています。ゲーム上の処理やメタ発言を読みたい方は(雑談入り)の方をお読みください。 なお、メタ発言を外したら、二戦目、三戦目、エンディングあたりの時間の区切りがわかりにくくなりました。ごめんなさい。m(__)m
ログ LAND ピッピ rpp fading 我らの地の移ろい ゲームポエム
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剛田剛子(齋藤 路恵) @saitom11
ピッピは首筋の産毛の量が多い。でも、ピッピはそれを切ろうと思ったことがない。アニネがそれを気にいっているからだ。 #TFotL
剛田剛子(齋藤 路恵) @saitom11
アニネはピッピの首をタテガミのようだと言って笑う。そうしてピッピの首筋には触らず、産毛だけに触れる。ピッピは産毛を触ってもらうのが好きだったし、 アニネのことはもっと好きだった。アニネの手も、指も、爪も、全部。 #TFotL
剛田剛子(齋藤 路恵) @saitom11
「そろそろ行こうか」入口の幕を押し上げて、アニネがやってきた。アニネの左耳にはキラキラした長い耳飾りがついている。 #TFotL
剛田剛子(齋藤 路恵) @saitom11
アニネは先日まで伸ばしていた髪をバッサリと切っていた。自分で剣で断ち切ったらしく、切り口がボサボサになっている。ピッピは座ったままアニネを見上げて唾を呑んだ。 #TFotL
剛田剛子(齋藤 路恵) @saitom11
入口に立つアニネは逆光で顔が見えづらい。でもシルエットだけのアニネはいつもよりかえって美しく感じられた。「うん」とピッピは答えて立ち上がった。母親が家を出る前に最後の詠唱をした。どうか無事に帰ってきますように。 #TFotL
剛田剛子(齋藤 路恵) @saitom11
月の明るい夜だった。密林は蒸し暑かったが、かすかな風が吹いていた。頬や首や腕を生ぬるい風が優しくなでる。アニネの耳飾りがシャラシャラと小さな音を立てた。 #TFotL
剛田剛子(齋藤 路恵) @saitom11
せめてアニネと二人だったら!どうせ密林に死にに行くのなら、アニネと二人で行きたかった。アニネと二人だけなら死の恐怖も少しは和らいだかもしれない。 #TFotL
剛田剛子(齋藤 路恵) @saitom11
ピッピは子供の頃からスターラ(成人の儀式)が怖かった。出かけた者の何人かは確実に帰ってこない。なぜわざわざ闘いに行くのだろう⁈ 「聖獣に勝てないものはいずれ死ぬ」「神は勇気ある者を好む」と聞いても納得いかなかった。 #TFotL
剛田剛子(齋藤 路恵) @saitom11
こどものころ、ピッピはどうせ死ぬのなら、わざわざ闘いに行かなくてもいいのではないかと思った。母は「勇気あるものは精霊になれるが、勇気なきものは悲惨な死に方をし、長い間地をさまよう」と教えた。「勇気なきものは神に愛されない」と。 #TFotL
剛田剛子(齋藤 路恵) @saitom11
ピッピは自分に勇気がないと思った。腕のもげた死体も、泣き叫ぶ近所のおばさんも怖かった。でも、怖がったら神様に余計に嫌われる。神様はいつか勇気のない自分をもっとひどいやり方で殺すかもしれない。#TFotL
剛田剛子(齋藤 路恵) @saitom11
ピッピは勇気ある死体がスターラから帰る度逃げて、その晩は家族に背を向けて寝た。 背中を丸めて泣きながら、死んだ魂はどうなったのだろう、自分自分は地をさまようのだろうかと思った。 #TFotL
剛田剛子(齋藤 路恵) @saitom11
アニネの長い耳飾りにつけた青い石がシャラシャラとなった。まるで会場に着いたという合図のようだった。 #TFotL
剛田剛子(齋藤 路恵) @saitom11
驚くほど草の生えていない丸い広場だった。土は踏み固められてとても固かったし、傾きやでこぼこもなかった。踏み固められた円の端から端まではピッピの身長の10倍かもう少しありそうだった。 #TFotL
剛田剛子(齋藤 路恵) @saitom11
ピッピはこのように不思議な土地を見たことがなかった。土地は人がまめに手入れしない限り、草が生え、蔓が伸び、木が育つものだ。それなのにここには植物さえも入って来れない! #TFotL
剛田剛子(齋藤 路恵) @saitom11
ピッピは自分は本当に生死の境にいるのだと思った。ここは特別な場所だ。 #TFotL
剛田剛子(齋藤 路恵) @saitom11
月もなぜだかとても明るい。普段の月はジャングル全体を照らす。だが、今日の月は、今、この場所だけを照らしているように見えた。 #TFotL
剛田剛子(齋藤 路恵) @saitom11
ピッピはアニネを見る。今度はアニネの顔が見えた。アニネは真剣な面持ちだ。眉根が寄り、口は引き締められて、両端が外側に下がっている。 #TFotL
剛田剛子(齋藤 路恵) @saitom11
幅の狭くて厚いアニネの唇は少し震えているように見えた。でも、それはピッピの見間違いだったかもしれない。 #TFotL
剛田剛子(齋藤 路恵) @saitom11
年の高いものから順に戦う。ピッピが最初だ。ピッピは戦うことのないままこの年まで来てしまった。 #TFotL
剛田剛子(齋藤 路恵) @saitom11
ピッピは立ち上がってちらりとアニネの方を見る。ピッピがアニネを好きだと気づかれてしまうかもしれない。でも、アニネをまったく見ないなんて不可能だ! #TFotL
剛田剛子(齋藤 路恵) @saitom11
ピッピはアニネに背を向けて、不毛の闘技場の中央に進む。まだ、敵は見えない。ピッピは真ん中より少し手前で立ち止まった。そうして準備運動代わりにその場で大きくジャンプした。一回、二回、三回。 #TFotL
剛田剛子(齋藤 路恵) @saitom11
「あんたはすごいわ。もしかしたら村の誰よりもすごいかも」アニネはそう言ってピッピを褒めてくれた。アニネもひょろ長かったが、ピッピはもっとひょろ長い。力自慢のものと比べなくても、ピッピは普通以上に力がなさそうに見えた。 #TFotL
剛田剛子(齋藤 路恵) @saitom11
「そうね。あんたは力はそれほどでもないわ。でもすごく足が速い。反応も速い。ジャンプなら村の誰よりも高く跳べる。あたしも高く跳べるけど、あんたにはかなわないよ。憎たらしい!」そう言ってアニネはピッピの背中を強く叩いた。ピッピの胸は震えた。 #TFotL
剛田剛子(齋藤 路恵) @saitom11
森の茂みのずっと奥、ピッピの真正面から獣が現れた。 #TFotL
剛田剛子(齋藤 路恵) @saitom11
ピッピの見たことのない獣だった。ピッピは見るなり獣に向かって駆け出した。 #TFotL
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コメント

剛田剛子(齋藤 路恵) @saitom11 2015年2月11日
まとめを更新しました。時間の区切りをほんの少しわかりやすくしました。
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