地球温暖化防止のCOP16会議(カンクン)に見る日本外交の成功と課題

メキシコのカンクンで行われた地球温暖化防止のCOP16会議で日本は京都議定書延長論を断固として拒否し、決着の先送りを勝ち取った。これは近年珍しい日本外交の成功例である。京都議定書は米中ほか途上国に削減義務を負わせず先進国のみに義務を負わせる不平等なもの。日本の延長反対は当然で、先送りは成果と見てよい。ただし、課題は残っている。
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fj197099 @fj197099

安全保障とはややずれるが近年珍しい外交上の成果と思うので一言。メキシコ・カンクンでのCOP16で日本は京都議定書延長論を跳ね除けることに成功し、問題の先送りを勝ち取った(http://bit.ly/dKgu8w)。これは日本が国際的孤立を恐れず国益の主張を貫いた近年珍しい例。

2010-12-12 12:57:27
fj197099 @fj197099

京都議定書で日本は90年比6%の温暖化ガス削減義務を背負ったがこれがそもそも誤りだったという認識は現在強い。6%という数字は米国の譲歩を引き出すためにさほどの根拠なく持ちだされたもの。結果的に米国は7%で合意したがその後ブッシュ政権期に「署名撤回」をしたので日本は梯子を外された。

2010-12-12 12:59:59
fj197099 @fj197099

元より交渉上の数字だから実現可能性も十分考慮されていなかった。結果的に6%削減は現在に至るまで達成されていない。90年に至るまでに省エネ化が進んでいた日本がこの目標を達成するのは「乾いた雑巾を絞る」ようなもの。やってみると排出権取引や技術移転等で国民の負担になる事ばかりであった。

2010-12-12 13:03:11
fj197099 @fj197099

それで温暖化が少しでも食い止められるならまだよい。しかし米中という最大の温暖化ガス排出国は規制対象の枠の外にいたまま。先進国が削減義務だけを背負わされる構造で実質的には意味のない枠組みに過ぎなかった。特にこれから大量のガスを排出する途上国を枠組みに取り込めなければ何の意味もない。

2010-12-12 13:06:40
fj197099 @fj197099

故にポスト京都議定書を目指した昨年のCOP15が中国の抵抗で挫折した後、日本が京都議定書延長論に断固として反対するのは余りにも当然のことであった。今回、日本外交の成功として特に評価できるのは、会議の序盤で「京都議定書延長なら日本は拒否権を行使する」と断固たる宣言をしたことである。

2010-12-12 13:07:30
fj197099 @fj197099

詳しいことは省くが京都議定書延長には日本の同意が不可欠になる(と日本政府は解釈)。故にこれは貴重な外交カードであった。エースを最初に切り出すことで日本はCOP16での存在感を際立たせた。当初は途上国等から国際協調を損なう国のような捉えられ方もしたが、やがて支持が増えていった。

2010-12-12 13:10:17
fj197099 @fj197099

京都議定書を延長しても米中ほか途上国を取り込めなければ実効性には何ら期待できない。「京都議定書を延長して何か温暖化対策を行ったつもり」になるのは絶対におかしいという日本の主張には説得力があった。そもそも日本から言えば問題の根源は米中ほか途上国が削減義務を負わないことにあるからだ。

2010-12-12 13:13:14
fj197099 @fj197099

そしてカンクンでの決議は最終的に京都議定書延長論を来年に先送りする内容で決着した。正当に評価してこれは日本外交の成功例である。日本は自国を含む先進国のみに削減義務を負わせる京都議定書という不平等な枠組みの延長を断固として拒否し、それが先送りとの形といえ国際社会に認められた。

2010-12-12 13:16:01
fj197099 @fj197099

日本外交もやればできるじゃないかと些か見直した訳だが、無論問題はこれで終わる訳ではない。先送りは成果とはいえ京都議定書延長論を粉砕できた訳ではない。来年は米中が枠組みに入ることを拒否し続ける中で、日本に対する圧力は更に強くなるであろう。それでも断固拒否を貫けるかという問題は残る。

2010-12-12 13:19:30
fj197099 @fj197099

更に問題なのがあの無能総理、鳩山由紀夫の時代の「90年比で25%削減」という中期目標である。真水分が確定していないとは言え、6%削減でさえ実現できていないのにこの目標が実現できる可能性はゼロである。麻生政権時代に90年比8%削減を打ち出したが、これも相当に野心的な数字であった。

2010-12-12 13:23:08
fj197099 @fj197099

つまりは25%は米中を枠組みに取り込むための実現可能性を無視した交渉上の数字に過ぎない。それさえCOP15で失敗している訳で、これは要するに再び京都議定書の失敗を繰り返そうとする数字なのである。しかし綸言汗の如しという訳で、一度口に出した言葉はなかなか撤回するのが難しい。

2010-12-12 13:25:17
fj197099 @fj197099

今回、日本が京都議定書延長論を跳ね除けるのに成功した背景には、米中など途上国が枠組みに入るならば日本は25%を含む大幅な削減を受け入れる用意があるという態度がある訳だが、現実的に考えてそれは実現不可能だ。日本は今や米中が枠組みに参加すれば窮地に陥る爆弾を抱えているという訳である。

2010-12-12 13:27:00
fj197099 @fj197099

日本は早晩この25%問題について何らかの決着をつけねばならないことになるだろう。25%を掲げるのは京都議定書延長を跳ね除けるカードとしては有効である。しかしポスト議定書の枠組みが本格的に動き出せば国民生活が破綻する。これは大変なジレンマだ。難しい選択が迫られることになるのである。

2010-12-12 13:29:30
fj197099 @fj197099

無能総理の置き土産は普天間の混乱だけではないのだ。日本はしばらくは京都議定書延長論の拒否の為に25%を掲げ続けなければならないだろうが、延長論を葬り去った後はこの数字をヨリ現実的なものに修正する必要があるだろう。決めるのは政治だが、その数字は6~8%程度ではないかと推測する。

2010-12-12 13:32:44