鋼鉄の咆哮×艦隊これくしょんSS「超兵器の金剛 2」

さのすけ @_SANOSUKE_SAN_

#超兵器の金剛2 　第二部「海魔」　(1)

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「異世界、か。冗談を言っているようには見えないな」 「当然ネ。提督も分かってて言ってるデショ？」 横須賀鎮守府の執務室。 提督と金剛が向かい合って話をしていた。 ほかには、秘書艦の榛名と姉妹艦である比叡、霧島の三人。 そして工作艦の明石が同席していた。(2) #超兵器の金剛2

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「提督、金剛さんの艤装が一部解析できました。ですがまだブラックボックスが多く、未だ八割が解析不能です」 「それも当然ネ。私が"そういう風にしてるから"」 「……君が自らの意志で力を隠している、と判断して良いのだな？」 「Yes」(3) #超兵器の金剛2

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「この世界は何もかも違いすぎるノ。私のいた世界とネ。私はあっちの世界では世界最強の軍艦だったノ。そうやすやすと全部は晒せないヨ」 「ふむ……」 不敵に笑みを浮かべる金剛を見つめながら、提督は考えを巡らせる。 #超兵器の金剛2　(4)

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拡散荷電粒子砲。 正体不明の超高速艦を一撃のもとに葬った、金剛の主砲。 この世界の軍事バランスを大きく崩すことになるその兵器の、いやもっと言えばそれを持つ金剛の存在を、彼は扱い兼ねていた。 #超兵器の金剛2　(5)

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「解体スル？」 「っ……それは……」 金剛からの提案は彼の心を見透かしたかのようなものだった。 彼女を艦娘ではない存在にしてしまえば、一応のかたがつく。 榛名たちにも見たものを忘れろと言えば、問題はない。 #超兵器の金剛2　(6)

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「アナタは優しいネ。優しすぎる。問題が全部なくなるのニ」 「……確かに君の言うとおりだ。だが、またあのような艦が出てきたとき、我々では対処しきれないかもしれない」 その言葉に最初に疑問を投げかけたのは、霧島だった。 「どういう、ことです？」 #超兵器の金剛2　(7)

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「金剛の話が確かなら、あの所属不明艦は"超兵器"なる存在だ。金剛と同等、それ以上の科学力を持った恐ろしい艦。またそんなものが現れないとも限らん。そうだろう？」 「Yes. 超兵器はあいつだけと思わないほうがいいネー」 #超兵器の金剛2　(8)

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「ワタシがここにいて、あのヴィント級が出てきた以上、ほかにも超兵器がこの世界に来てると思ったほうがいいネ」 「……あまり考えたくはないが、最悪の事態は常に想定しておかねばならん。金剛、君にはその超兵器の調査および撃滅を命ずる。それでいいか？」 ##超兵器の金剛2 (9)

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「ワタシはいいんだけドー、どうもその命令が気に入らないヤツが一人いるみたいデース」 提督が首をかしげた。 少なくともこの部屋の中に、そんな様子の艦娘は見受けられない。 金剛が、すっと目を細めて扉に視線を送る。 「盗み聞きはやめなサイ。それでも戦艦カ？」 #超兵器の金剛2　(10)

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ギィ、とドアが開く。 そこにいたのは、長門型戦艦一番艦の長門だった。 「な、長門さん！」 榛名が金剛をかばう様に前に出る。 食堂での一件を思い出したからだ。 「やめろ、榛名。少なくとも今はソイツと争う気はない」 #超兵器の金剛2　(11)

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「あら長門さん、今は、ということは後々争うかもしれないということでしょうか？　それに、お姉さまをソイツ呼ばわりするのはやめていただきたいですね」 眼鏡をくいっと上げながら霧島が睨みつけた。 「まだ私はソイツを味方と思っていないからな」 #超兵器の金剛2 (12)

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「長門さん、また……！」 「は、榛名姉さま落ち着いて」 今にも飛び出しそうな榛名の体を、比叡が腕を引いて押さえつける。 「話を聞いていたようだな、長門。で、部屋に入ってきたということは言いたいことがあるのだろう？」 提督の問いかけに彼女は大きく頷いた。 #超兵器の金剛2 (13)

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「私にソイツの監視役をさせてほしい。何かあった時に私ならすぐに対処できる」 「長門さんッ！」 「三番艦は黙っていろ。どうだ提督、悪い提案ではないはずだ」 ふむ、と彼は顎に手を当てた。 「監視はつける予定だったからいい。が、食堂の一件は私も聞いているぞ」 #超兵器の金剛2 (14)

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ここで初めて、長門の顔が曇った。 「君がこの鎮守府の最高戦力の一人であることは認めよう。だが、だからこそ冷静に対処してもらわなければならない。そこで、だ」 提督は金剛へ視線を向けた。 「金剛を中心とする、超兵器調査および撃滅のための艦隊を特別に編成する」 #超兵器の金剛2(15)

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その場にいた、金剛を除く全員が驚いた。 「ど、どういうことですか提督！？」 「榛名、どっちにしろ超兵器の調査を彼女ひとりにさせることはできないし、こちらは監視ができて同時に協力も行えるんだ。一石二鳥じゃないか」 「よくわかってるネー。私はそれでいいヨ」 #超兵器の金剛2 (16)

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「長門もそれでいいな？」 「うっ……わ、わかった」 たじろぐ長門に金剛が近づいて、手を差し伸べる。 「ジャ、これからヨロシクねー。ナガト、さん？」 「……ふんっ」 その手を取ることなく腕組みして、長門はそっぽを向いた。 #超兵器の金剛2 (17)

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超兵器調査艦隊……通称「第零遊撃艦隊」には、横須賀鎮守府ではそれぞれの分野で精鋭と呼ばれる面々が集められた。 旗艦を金剛が務め、監視及びサポート役として戦艦長門が付く。 情報収集及び分析は主に軽巡洋艦の大淀が担当し、航空戦力として正規空母赤城が所属。 #超兵器の金剛2 (18)

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残りの二隻はそれぞれ軽巡洋艦と駆逐艦が招集された。 軽巡五十鈴は対潜水艦戦闘のエキスパートであり、また彼女自身が志願したことも要因の一つだった。 そして、駆逐艦の吹雪はその熱意と機動力を買われての配属である。 #超兵器の金剛2 (19)

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第零遊撃艦隊には横須賀の片隅にある古びた宿舎が与えられた。 そこに無線機やそのほか必要な機材を持ち込んで、いよいよ調査を開始しようとした、矢先のことだった。 #超兵器の金剛2 (20)

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鎮守府近海海域に、ノイズ発生。 その知らせを聞いた零艦隊の面々は、まだダンボールの散らばる作戦室に集まった。 古びた机の上に海図を広げ、大淀が説明を始める。 #超兵器の金剛2 (21)

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「南方海域の遠征から帰還中の艦隊が、微弱ながらノイズを確認しました。場所は、ここです」 指刺された海域に、五十鈴は覚えがあった。 「ここって、前に私が深海どもの潜水艦を一掃したところじゃない。こんなところに？」 #超兵器の金剛2 (22)

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「反応が小さく詳しい位置までは特定できなかったそうです」 「フム……。金剛、心当たりはあるのか？」 長門が聞く。 「潜水艦型の超兵器かもしれないヨ。海の底にいるから反応が小さいんダナ」 「そ、そんなのもいるんですか？」 吹雪は小さく悲鳴を上げた。 #超兵器の金剛2 (23)

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「潜水艦といえば私の出番ね！　対潜戦闘は任せなさい！」 五十鈴の自信は確かだった。 彼女はその爆雷でこれまでに数百もの潜水艦を沈めている。 「慢心してはダメよ。超兵器にも全力で挑まなければ」 赤城は逆に表情を険しくし、気を引き締めている様子だった。 #超兵器の金剛2 (24)

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「分かったヨ。今回は五十鈴中心の陣形で行くネ。ただ、出撃の前に長門さんに渡すものがあるヨ」 金剛が背中に手を回し、艤装から小さな機械を外して差し出した。 「これは？」 「音波探信儀の七式ネ。対潜用のソナーとでもいえばいいのカナ」 「これを、私に？」 #超兵器の金剛2 (25)