「試合稽古」形稽古と試合稽古から見る、日本の剣術剣道の歴史2

「形稽古と試合稽古から見る、日本の剣術剣道の歴史1」で袋竹刀の登場と普及について書いてみました。 今回は試合稽古について書いていきます。時代劇や漫画のイメージでは、竹刀登場以前の試合は素面素小手で木刀を使って激しく打ち合う危険なもの、という描かれ方をよく見ます。実際は江戸時代初期に袋シナイは広まっていたため、自由に打つ場合は袋シナイを使用していたようです。 また、試合というと互いに互角の条件で勝負する、というイメージですが、日本の剣術・武術の世界には多用な試合稽古の形式があったようです。 あまりWEB上にそういった古い剣術の話が見られないので、浅学ですが、色々な史料や書籍を元に、剣術の発展について自分の認識を書いてみました。 続きを読む
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みんみんぜみ @inuchochin

唐突に始まる形稽古と試合稽古から見る日本の剣術剣道の歴史 2.試合稽古

2015-02-14 13:42:48

第一回はこちら
「袋シナイ」形稽古と試合稽古から見る、日本の剣術剣道の歴史1

まとめ 「袋シナイ」形稽古と試合稽古から見る、日本の剣術剣道の歴史1 一般的に「竹刀が発明される前は木刀による形稽古のみだった」という話をよく見聞きします。時代劇でも、江戸時代の稽古風景は防具も付けず木刀同士で試合をしていたりします。 そういう話や稽古風景は本当にだったのか?というと、相当怪しいようです。 あまりWEB上にそういった古い剣術の話が見られないので、浅学ですが、色々な史料や書籍を元に、剣術の発展について自分の認識を書いてみました。 参考資料や勉強になりそうな本等は最後に紹介しようと思っています。 6395 pv 40 8 users 1

みんみんぜみ @inuchochin

現在、創作作品や一般のイメージにある、「木刀を使う形稽古しかしない剣術流派」というのは、江戸時代半ばの18世紀後半には既に珍しい存在になっていたようです。この時期に書かれた全国の諸流について書かれた「撃剣叢談」でもそういう流派はわざわざ「木刀しか使わない」と特に書かれています。

2015-02-14 13:45:54
みんみんぜみ @inuchochin

時代が戻りますが戦国時代の流派の新陰流の技法について、江戸初期に書かれた書に、形について「クダキ三づつあり」(変化技が三つある)や「よく砕けば変化は限りない」というような事が書かれています。また「積、身位、勝口、悪しければ則ち当る」(構や技が悪ければ敵の攻撃が当る)ともあります

2015-02-14 13:48:37
みんみんぜみ @inuchochin

形稽古は手順を追う踊りのようなもの、と思われている方が武道家の中にもいますが、本来形稽古はもっと自由なもので理にかなわない動きをすれば成立しない(勝つはずの側が負ける)ものです。また打太刀も、必ず同じ攻撃をするわけではなく、必然性があってその攻撃をするように組立てられています

2015-02-14 13:50:45
みんみんぜみ @inuchochin

たとえば、仕太刀(勝つ側)が構えに隙を見せるのでそこを打つ、とか、仕太刀に詰め寄られてどうしようもなくなり打つ、とか色々理由があってその攻撃をするように組み立てられています。

2015-02-14 13:51:24
みんみんぜみ @inuchochin

つまり、稽古における制限を大きければ形稽古になり、小さければ試合稽古になるというイメージです。制限大⇔制限小形  ⇔試合ですから、一言「試合」といっても色々な形式があり、剣道的格闘技的な試合をイメージすると剣術の稽古やその発展についてについて理解しがたいかもしれません

2015-02-14 13:52:55
みんみんぜみ @inuchochin

・まとめ形稽古と(剣道的な)試合稽古はデジタルに分けられる二つのものではなく、その間に数限りない稽古の形式がある。袋シナイを使用した、なんらかの試合稽古は江戸時代初期にはすでにほとんどの流派で行われていたと思われる。

2015-02-14 13:53:38