「戦争」を受け入れる社会の変化について 《山崎雅弘》

関連するツイートをまとめてみました。 ふだんの生活では気づきにくい、緩やかではあるものの重要な「社会の変化」とその方向性・スピードについて、考える材料にしていただければ幸いです。
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山崎 雅弘 @mas__yamazaki

多くの犠牲をもたらした昭和の戦争の歴史が教えているように、戦争は「戦争」という具体的な形になってしまったら、もう誰もそれを止めることはできない。そうなる前の段階で対処しなくては回避できない。「戦争」という形が出来上がる頃には、国民は表面上、それに賛同する意思表明しかできなくなる。

2015-02-12 13:35:11
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

最初の段階は、外国と自国の間で摩擦や紛糾が生じた際に人間を「敵と味方」に二分する思考の蔓延で、自国政府の方針に味方しない人間を「敵」と決めつけ、心理的圧力を加える人間が社会に増加する。次に「敵」である相手側との対話や交渉を拒絶し、その必要を説く人間を「敵の同調者」として攻撃する。

2015-02-12 13:36:16
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

そして最終段階では、「敵と味方」の戦いで自国が勝利するためには、国民は持てる全てを差し出すのが当然で、必要ならば犠牲となることも厭わない姿勢が「名誉」だという思考が、社会の隅々まで浸透する。国への奉仕を競って行う風潮が「日常」となり、それに同調しない人間は社会的制裁の対象となる。

2015-02-12 13:37:28
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

こうして、社会全体が「戦争」を受け入れる形状に変化するまでには、一定の時間を要し、日々の変化はごくわずかなものでしかない。1日の変化が小さければ、誰もそれを「変化」だとは認識しない。1年2年と経過して、社会が以前と違う風景になっていることに気づくが、いつ変化したのかはわからない。

2015-02-12 13:38:50
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

「戦争」を受け入れる形状に社会全体を変化させたいと考える人間は、前回それと同じことが起きた時の「負の記憶」を、社会から消し去ろうとする。前回の「戦争」を経験した世代が社会に占める割合が減るほど、その作業はやりやすくなる。「負の記憶」を消すのを邪魔する人間も「敵」として攻撃される。

2015-02-12 13:40:30
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

日本を破滅の瀬戸際に導いた前回の「戦争」は、独立した形で唐突に起きたのではなく、社会全体が「それ」を受け入れる形状に変化した結果として発生した。里程標のような出来事はいくつか存在したが、それらの出来事を巨大な「戦争」へと収斂させたのは、日々少しずつ積み重ねられた社会の変化だった。

2015-02-12 13:41:49
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

社会全体が「戦争」を受け入れる形状に変化するのを防ぐには、日々の些細な変化にも目を向け、人間を「敵と味方」に分ける思考に疑いを差し挟み、自国政府が「形式」でなく「実質」として何をしているかを注視しなくてはならない。政府の動向に疑問を感じたら、口に出して意志表示しなくてはならない。

2015-02-12 13:43:18
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

前回の「戦争」が終わった後、幸運にも生き延びた当事者の軍人や官僚は、メディアの取材や反省会の席で「自分は本心では反対だった」「本心では負けると思っていた」「本心では間違っていると感じていた」と弁明した。しかし、死んだ軍人や市民には、そんな自己正当化の弁明を行う機会も与えられない。

2015-02-12 13:44:30
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

政府の動向に疑問を感じた時、市民やメディアが疑問を口に出して意志表示しなければ、その疑問は存在しないことになる。疑問を口に出して意志表示し、小さな点を太い線として繋げなければ、社会全体の形状を変えようとする流れに抗えない。ゼロはいくら足してもゼロだが、1を足していけば数字になる。

2015-02-12 13:45:48
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

「今はまだそこまで悪くない」「今はまだ大丈夫」という、現状を「点」で捉えて安心する態度には意味がない。社会が大きく動いている過程では、変化の方向性とスピード(モメンタム)を認識して「今のままの方向性とスピードで進めば、次はどの領域に入るのか」を想定し、先に対応しなくてはならない。

2015-02-12 13:46:54
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

昨年12月に書いた『ポリタス』の記事「【総選挙2014】首相が『どの論点を避けているか』にも目を向けてみる」bit.ly/1zi8G5G 2か月が経過したが、社会の変化の「方向性」は変わらず、「スピード」はやや加速していると思う。大手メディアは変化に光を当てない。

2015-02-15 13:22:35