ケースレス・ガンよもやま話

ケースレス・ガンについてつらつらと
軍事 ケースレス弾薬
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ケースレス・ガンことはじめ
HK15 @hardboiledski45
ケースレス弾の歴史は、実は19世紀にまでさかのぼることができます。発明家ウォルター・ハントが開発した《ロケット・ボール》がそれです。これは弾丸の内部に発射薬をつめたものでした
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ロケット・ボールを使用する試作連発銃がつくられたのは1848年。それを改良し、実用性を高めたヴォルカニック連発銃がリリースされたのは1851年です。世界初の金属薬莢式弾薬・22BBが登場したのは1845年でしたが、これは遊戯用銃にしか使えない非力なものでした
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とはいえ、ロケット・ボールは暴発の危険性が高く、決して使い勝手のいいものではありませんでした。金属薬莢式弾薬が普及すると、ロケット・ボールはたちまち忘れ去られます。こうして世界初のケースレス弾薬は歴史の墓場に葬られたわけです
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なお、事実上の「ケースレス」弾薬としては、ドライゼ・ライフルに用いられたペーパー・カートリッジ(紙薬莢)や、シャープス・ライフルに用いられた可燃リンネル製カートリッジが挙げられます。これは使用後にはケースが燃えてしまいますから、たしかに「ケースレス」ではありました
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ただ、これらの可燃性カートリッジは、耐水性や安全性で金属薬莢に大きく劣っていました。金属薬莢が普及すると、こうした可燃性カートリッジはあっさり姿を消します
アメリカ生まれの変なやつ、デイジーV/L
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さて、1968年のこと。アメリカの空気銃メーカーであるデイジー・アウトドア・プロダクツは、とても奇妙な銃を開発しました。《デイジーV/L》と名づけられたその銃は、メカニズムこそ平凡なスプリング式空気銃とかわらないものでしたが、使うタマに風変わりな特徴があったのです
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V/Lライフル専用のそのタマは、22口径の小さな弾頭のおしりに、成型されたごく少量の発射薬が貼り付けられただけのものでした。薬莢はなく、雷管もありませんでした(現物の写真はこちら→ picturearchive.gunauction.com/4894134305/956… )
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この奇妙な弾丸を、V/Lライフルはどのように撃発させるのか? そのタネは、デイジー社が《Obturator》と名づけた小さな装置にあります。この装置は空気を高圧圧縮し、その空気を小さな穴を通して薬室内に伝えます。このとき、高圧空気はきわめて高温であり、火薬を燃焼させるわけです
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このきわめて独特の仕組みをもったライフルは、当時のアメリカの銃規制の枠組みの埒外にある存在でした。当然のようにBATFが動き、V/Lライフルは「銃器」として認定されてしまいます。それでもデイジー社は、この銃を23000丁生産しました
軍用ケースレス・ガン
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ケースレス弾を使用する銃器は非常に少ないですが、これは金属式薬莢を置き換えるほどの優位性が今のところないからです。よく知られているのは耐熱性の低さですが、薬室の確実な閉鎖(=発射ガスの閉じ込め)、弾薬の物理的強度においてもケースレス弾は問題を抱えています
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H&K G11のエピソードは有名ですが、実はケースレス弾を使う銃器の研究は他国の軍隊も行っていました。イタリアのベネリ社は、専用設計の《9mm AUPO》を使用する短機関銃、CB-M2を試作しています world.guns.ru/smg/it/benelli…
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9mm AUPOは、近代化されたロケット・ボールとでもいうべき代物です。標準的なフルメタルジャケット弾の被甲部を後方に引き伸ばし、その中に発射薬を装填してあるのです。発射薬は可燃性のフタにおおわれており、点火薬が発射薬を取り囲むように配置されています
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CB-M2は撃発システムも独特で、撃針は薬室に対し垂直に動きます。薬室側面にもうけられた小さな孔から撃針は点火薬を打撃し、撃発を行うわけです
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また、CB-M2は不発弾を迅速に排出するために、マガジンのすぐうしろに排出孔をもうけていました。タマが不発の場合は、ボルト先端がタマを引っかけて薬室から引きずり出し、孔まで引っ張って落とすのです
HK15 @hardboiledski45
さて、ドイツ、イタリアときて、他にケースレス弾を使う銃を作っていた国はあるのか? 答えはもちろんイエス。かの赤い超大国も、ご他聞にもれずケースレス・ガン開発に手を染めていました
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それではごらんいただきましょう。ソ連生まれのすごいやつ、VAG-73ピストルです upload.wikimedia.org/wikipedia/comm…
HK15 @hardboiledski45
まるで007に出てきそうなルックスのVAG-73ですが、そのスペックもQディビジョンの秘密兵器めいています。全長235ミリ、重量1.2キロと大柄ですが、マガジンには専用の7.62ミリ・ケースレス弾が、なんと48発も入ります。しかも射撃モードはフル・セミ切り替え可能
HK15 @hardboiledski45
専用の7.62ミリ弾はフルスチール製で、弾頭後部に発射薬を装填したキャップをねじこむようになっていました。弾倉は前後二列に分割されており、まず前方の弾倉から給弾し、それから後方の弾倉で給弾するようになっていたようです
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このように、意欲的な発想を多く取り入れたVAG-73でしたが、不幸にしてソ連の公的機関からお声がかかることはなく、歴史の墓場に葬り去られてしまったのでありました
HK15 @hardboiledski45
(G11がたどったつらい道のりについては、ここでは割愛いたします。もうじゅうぶんに各方面でネタにされていますので……)
オーストラリアのケースレス・ガン
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コメント

HK15 @hardboiledski45 2015年2月17日
まとめを更新しました。
HK15 @hardboiledski45 2015年2月17日
まとめを更新しました。
HK15 @hardboiledski45 2015年2月17日
まとめを更新しました。
じー・ぼくしーず@uɐdɐɯıs @G_boxes 2015年2月17日
そういえばFNがやってたケースレス化5.56mm、結局コケたっぽいけど銃のデザインとしてはどんなのだったんだろう
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