示準化石について
- gervillaria
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今日は中学生に「示準化石とか習ったろうけど、示準化石にならない化石ってこんなのだよ」ってクラドフレビスとか紹介した。三畳紀から白亜紀までいるんじゃ使いもんにならネェよ、ってなもんで。
2015-02-17 21:57:07@gervillaria 華々しく適応してすっと引き際のきれいな連中だけが示準化石の栄誉を得る…なんか夭折の天才みたいな話ですね。あ、そういや一発屋って昔思い起こすには便利w
2015-02-17 22:12:08ちょっと思い立って示準化石の話(1)地層の年代を決めることができる化石の事を示準化石という、という中学校理科の知識。これ、現実的には微妙に説明に困るものなんですよね。教科書にはアンモナイトや三葉虫や三角貝がーーとかあるけど、その程度の粗い分類じゃ一億年近いレンジでしか決まらない。
2015-02-17 22:15:54示準化石(2)もちろん、今じゃ放散虫や有孔虫や珪藻や渦鞭毛藻なんかの顕微鏡サイズの「微化石」が多用されてて、肉眼サイズの化石(微化石との対比の文脈では大型化石といいます)なんかは現場でのおおよその目星か、微化石の残りにくい地層なんかで使われるくらい。
2015-02-17 22:18:28示準化石(3)この示準化石、うまく使うと一億年前とかでも、±100万年前後の誤差で年代を特定できるケースが多々ある。アンモナイト一種でもそれくらいは決められて、そこに微化石データなんかを加えることで、条件さえ良好ならもう一桁誤差の小さい精度も狙える。
2015-02-17 22:23:26示準化石(4)しかし、そういった時代決定に使える化石ってのは、ある意味、種のわかる程度の保存状態であれば、新発見の種やどローカルな種でもない限り、まぁ、ある程度どれでも行ける。問題は「精度と応用範囲」なわけで。例えば例に出したクラドフレビス。
2015-02-17 22:27:17示準化石(5)この属名を持つシダの化石はほぼ中生代を通して見つかる。だから産出地層が中生界(中生代にできた地層)、ってことはわかるかもしれないけど、その程度の精度じゃ今時何の役にも立たない。それくらいならもうデータあるし。粗すぎる。
2015-02-17 22:33:18示準化石(6)シダは難しいんだ。葉っぱだけじゃ種レベルの分類ができないし、植物体全体が見つかることなんてそうそうない。細かく分類できる特徴を持つ種の同定がしやすい分類群で、しかも時代ごとの形態変化が大きい上、その分類群自体は長い生息期間を持っていることが肝要。
2015-02-17 22:37:00むう…エネルギー切れだあ…示準化石の話は面白いけど明日追っかけることにしてもう寝よう(=o=;) お休みなさい。
2015-02-17 22:39:47示準化石(7)例えば微化石、アンモナイト、三葉虫、二枚貝のイノセラムスなんかは、汎世界的に繁栄したし、生息期間も長いが、種類が多く、個々の種の見分けがしやすく、しかも数が見つかる。これらの条件を兼ね備えた種類が化石に使える分類群ということになる。
2015-02-17 22:40:46示準化石(8)一つの分類群でリストが作れるというのが実は示準化石では重要で、同じような環境に同じように適応している生物であれば、比較の際のノイズを軽減できるし、何より少人数のその分類群の専門家で広い(時間と空間の)範囲の情報が対比できる。
2015-02-17 22:48:51示準化石(9)もちろん、地層のできた環境によって使える分類群は絞られてしまう。例えば淡水環境の地層なんかは海の地層で使えるアンモナイトや三葉虫やイノセラムスは使えない。奴ら居ないし。だから新生代の淡水環境の地層年代決定には哺乳類の歯が使われるケースなんかもある。
2015-02-17 22:51:32示準化石(10)今時、地層の年代なんか放射性同位体の測定でも使えればいいじゃん、みたいな話になりそうだけど、これは結構難しい。一サンプルあたり分析にウン万円掛かったりするし、放射性同位体分析はそれに使える鉱物がなければ使えない。
2015-02-17 22:56:26示準化石(11)だから未だに化石による地層年代決定(生層序)は地層の年代論の基本の一つとして機能してる。大型化石の生層序の信頼できる使い手は分類群ごとに国内数人ってレベルになってるけど。
2015-02-17 22:58:18示準化石(12)そうそう、以前関わった仕事で、北海道の海の地層から見つかったテリジノサウルス類の化石があったんだけど、アレは海の地層に入り込んだ恐竜化石だったからこそ、重要な発見になった。年代がかなりの精度で語れるからね。
2015-02-17 23:00:50示準化石(13)そんなこんなでとりあえず今回は〆。化石から年代を決めるっていう仕事は、世界で最初の地質図が作られた、ウィリアム・スミスの時代から続く伝統ある古生物学のお家芸なんだけど、まぁこれも奥が深い世界なんだよね、ってことで。
2015-02-17 23:02:56ちなみに、人類史の時代だと火山灰の地層なんかが国内の遺跡・遺物の年代決定にかなり有用なツールになってる。九州で噴いた火山の火山灰がなんども西日本一帯くらいは軽く覆ってるから、火山灰の特徴でいつのどこの噴火の火山灰か特定できる。なお、灰といいつつ実は大部分が火山ガラスで灰はない。
2015-02-17 23:10:24シャミセンガイの化石なんて持ってこられても地層の年代なんかわからネェよ!とかそういう。古生代か中生代か新生代かすらわからん。
2015-02-17 23:12:36そうそう、忘れてた。この示準化石の話、文化にネタ的に利用できないかな、って思ったのが発想の嚆矢だったんだ。たとえば「たまごっち」みたいに特定の時期にばっと広がってぱっと消えた文化、って示準化石っぽいよね、って。
2015-02-17 23:31:48