山本七平botまとめ/【唯一神と血縁/「陸軍共同体」と天皇①】天皇に不忠だった陸軍”共同体”/相互の話し合い結果を承認する「天地神明」に過ぎなかった天皇

山本七平・岸田秀の対談集『日本人と「日本病」について』/唯一神と血縁/「陸軍共同体」と天皇/37頁以降より抜粋引用。
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山本七平bot @yamamoto7hei

①【「陸軍共同体」と天皇】【山本】昔、陸軍には三巨頭がいた訳です。まず参謀総長、これは軍令系。そして軍政系の陸軍大臣、それから教育総監がいて、これは…教育、典範令の編纂とか教育方針とかの全てを司る。この三つは相互無関係にそれぞれ天皇に直属している。<『日本人と「日本病」について』

2015-01-27 19:39:02
山本七平bot @yamamoto7hei

②【山本】だからこの組織からすれば、天皇は絶大な権限を持っているはずなんですよ。 ところが、陸軍部内に「陸軍共同体」ができてしまいますと、内部で話し合いをするわけです。 三長官会議というのがいつの間にかできちゃう。

2015-01-27 20:09:00
山本七平bot @yamamoto7hei

③【山本】そしてこの会議で、内閣の次の陸軍大臣に誰を出すかということが話し合われるわけです。 話し合うのは構わんとしても、陸軍大臣に出す人聞がおりませんと言いますと、奇妙なことになってくる。 【岸田】新内閣はそれだけで潰れちゃいますね、当時のならいでは…。

2015-01-27 20:38:58
山本七平bot @yamamoto7hei

④【山本】そうなんです。宇垣内閣をそれで流産させちゃった。 戦前の憲法では内閣総理大臣の任命権は天皇にあるわけですね。 その天皇の任命に対して、三長官は結果的に拒否権が使えるわけです。 ところが、この三人とも、それが陛下に対する不忠であるとは、つゆ思ってないんですね。

2015-01-27 21:08:57
山本七平bot @yamamoto7hei

⑤【山本】共同体の話し合いの結果を天皇に承認を求めるだけだと思っている。 いわば相互の話し合いがまずあって、そこへ証人として天地神明である天皇を引き出すという日本的な形になっている。

2015-01-27 21:39:01
山本七平bot @yamamoto7hei

⑥【山本】こうなると話し合いは無原則だから、大変恐い面もあるんですよ。 日本の新聞の主張はいつも話し合い絶対ですけどね。

2015-01-27 22:09:03
山本七平bot @yamamoto7hei

⑦【岸田】また、機能集団として、機能的に最大の効力を発揮しなきゃいけないという事態に至ると、中で話し合って和を重視するという形には、非常なマイナスが出てくるわけですね。 【山本】そうです。

2015-01-27 22:39:01
山本七平bot @yamamoto7hei

⑧【山本】ただ、うまくいくときにはものすごくうまくいく。 共同体としての結束と、機能集団としての機能とを併せ持ちうる場合、プラスに転化して「無敵皇軍」の勢いになる。 戦後の経済成長だってそうです。 これがどこかでうまくいかなくなったときが危険なんですよね。

2015-01-27 23:08:59