もう一人の 堀越二郎 (飛行機設計論)

山名正夫/武谷三男 対談「事故調査と安全性の哲学」(雑誌「展望」1971年 2月号) から。 (参考) 全日空ボーイング 727 羽田沖事故 調査報告書 山名正夫著『最後の 30秒』(1972年 朝日新聞社刊)
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seki_yo @seki_yo

「風立ちぬ」なんだか 不評ですね (女性から 見れば そうなのかな、それとも そこに 込められてる メッセージの 問題なのかな ... )。

2015-02-21 00:16:20
seki_yo @seki_yo

私は 飛行機しか 知りませんけれども、飛行機の 設計でも、たとえば、スピードを 増すために 後退角だけを 大きくする。 翼型は どうでもよろしい。 これでは 一歩まちがうと、ダッチロールという 酔っぱらいの 千鳥足のような 運動が 起こりまして 大変なことになる。(山名正夫)

2015-02-21 11:09:59
seki_yo @seki_yo

それを 止めるために ヨーダンバーという 安全装置を つける。時には 1個で 足りなくて、故障したときの 用意のために 2個 つける。 これでは 飛行機のように 思えないんです。 しかも それが 近代的な 上等な 飛行機だという 考え方が かなり 多いんです。(山名正夫)

2015-02-21 11:14:57
seki_yo @seki_yo

私は まったく それには 反対で、最も 簡単素朴なもので 悠々と 飛べるもの、それが 飛行機である、設計も 鳥に 習って そうするべきである、そういう 方向に われわれの 研究は 向かなければいかんと 思うんです。(山名正夫)

2015-02-21 11:17:34
seki_yo @seki_yo

私は 若いころ 学校で、いい 飛行機は 美しいんだということを 教えられたんです。 なぜ 美しいんだろうか、美しいというのは どういうことか。 それと 力学的な 合目的性との 関係ですね。 (山名正夫)

2015-02-21 11:20:52
seki_yo @seki_yo

性能が よくて しかも 飛びやすいということは 力学的な 合目的性を 備えていると いうことなんですね。 それと 美しいと いうこととの 間には どんな 関連が あるのかと いうことなんですね。(山名正夫)

2015-02-21 11:24:29
seki_yo @seki_yo

私は 卒業後も そればっかり ずっと 追いかけてきたんです。 勉強も 全部 そういう 傾向の 勉強なんです。 飛行機が 好きで、よく 自分でも 操縦の 稽古を させてもらったり、複座機だと 飛行実験に 同乗していくんです。(山名正夫)

2015-02-21 11:27:09
seki_yo @seki_yo

私は 艦上急降下爆撃機を 長らく 担当したんですが、それ以外の 機種でも 工合の わるいことが あると、私は 好きですから 同乗していって じかに みるわけですね。(山名正夫)

2015-02-21 11:31:47
seki_yo @seki_yo

たとえば 失速性質が わるい 飛行機なら、翼一面に 毛糸を 張っていって、飛行機が きりきり舞い してるとき、毛糸の 状況を よくみて、それを スケッチしてくるんです。 どんな 翼型だと 翼の どういうところから 気流で はがれだすとか。(山名正夫)

2015-02-21 11:34:56
seki_yo @seki_yo

それを くわしく 観察して、十分に 吟味して、それを 全部 カンにしてしまうんです。 そして、ふだんは すっかり 忘れているんですが、どこかに 残っています。 私は それを 美的感覚と いってるんです、ほかに 表現の しようがありませんから。(山名正夫)

2015-02-21 11:38:12
seki_yo @seki_yo

私のは 論理が あとです。 形が 先にあって 論理は あとからなんです。 しかしですね、形が 先であろうが 何であろうが、導かれた 結果、これは 純粋に 客観的な 論理で きちんと 貫かれていなければならない。(山名正夫)

2015-02-21 11:59:49
seki_yo @seki_yo

普遍妥当性が なければならない。 でないと ほかのものには アプライできませんですね。 あとは 純粋に 客観的な 学としての 論理が 必要だけれども、それが でてくるもとは 何かというと、私は 論理じゃないと 思うんです。(山名正夫)

2015-02-21 12:02:47
seki_yo @seki_yo

絵かきが 絵をかくのと 同じことだと 私は 思っております。 それが 私には 素朴な もんなんです。 素朴な、ある一つの 実感なんです。(山名正夫)

2015-02-21 12:06:41
seki_yo @seki_yo

そうして、ふだんは すっかり 忘れていても、物を 見たり 折に ふれて、急に ポッと でてきますよ。 いっぺんに でてきますよ。 考える 時間なしに 瞬間的に。(山名正夫)

2015-02-21 12:08:56
seki_yo @seki_yo

飛行機の 運動性とか 舵の 具合などは ずいぶん デリケートでしてね、また 操縦者は われわれが わかるように 力学的に 表現しないんですよ。 また できない 面が 多い。「大舵が スカスカ」とか、こういう 表現をします。(山名正夫)

2015-02-21 12:12:57
seki_yo @seki_yo

判じものみたいで、スカスカを 直そうと 思っても 直しようが ないんですよ。 ここに お茶が あるとしますね。 これを のんで、その 味を くわしく 表現しようとすると むずかしいでしょう。(山名正夫)

2015-02-21 12:16:32
seki_yo @seki_yo

りんごの すっぱいのと みかんの すっぱいのを どう 表現すればいいか、これは むずかしいですよ。(山名正夫)

2015-02-21 12:18:12
seki_yo @seki_yo

飛行機の 舵にも そういうところが ある。 それなら 自分で ひと口 食ってみれば わかるというので 私は 練習を 始めたんですよ。 やってみれば なんということなしに わかるわけです。(山名正夫)

2015-02-21 12:20:34
seki_yo @seki_yo

そうすると、今度は 舵の 形と 操縦した 感じと 空気の 流れとを 結びつけるわけですね、どんな 感じのときは どんなふうに 空気が 流れているとか、そこで すべてが わかるわけです。(山名正夫)

2015-02-21 12:22:39
seki_yo @seki_yo

理論が ないと 普遍妥当化が できません。 それから 自分の みた 現象を 力学的に 考えるのにも 理論が 要るのです。(山名正夫)

2015-02-21 12:24:30