茂木健一郎@kenichiromogi氏の語る『関東と関西の笑いの違い』

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茂木健一郎 @kenichiromogi

東西(1)子どもの頃から、寄席好きの父や祖父に連れられて通ったのが、ずいぶんといい訓練になったように思う。寄席の段取りが、身体に自然に染みついている。大学生になって、なんばグランド花月に行って、東西の笑いの違いが面白かった。

2010-12-13 07:31:44
茂木健一郎 @kenichiromogi

東西(2)東京の寄席では、「落語」が本流で、「漫才」や「曲芸」、「手品」などは「色物」となる。ところが、なんばグランド花月では、逆に漫才が本流で、時々出てくる「落語」が「色物」のような感じになる。

2010-12-13 07:33:08
茂木健一郎 @kenichiromogi

東西(3)東京の寄席では、最後に出てくる落語の「真打ち」がその日の一番の呼び物で、本格的な噺を30分くらいたっぷりやる。一方、なんばグランド花月では、休憩の後にやる「新喜劇」がメインの演し物。こっちもたっぷりやる。

2010-12-13 07:34:49
茂木健一郎 @kenichiromogi

東西(4)東京の寄席で「外国人」が出てくることはまずないが、なんばグランド花月では、途中で必ずロシアや中国などの芸人が出てきて、パフォーマンスをやるコーナーがある。

2010-12-13 07:36:23
茂木健一郎 @kenichiromogi

東西(5)落語のやり方が違う。東京の寄席では、座布団を敷いて、その上に落語家が座るだけ。それに対して、なんばグランド花月では、落語家の前に台が置かれて、ときどきポンポンとそれを叩く。

2010-12-13 07:37:14
茂木健一郎 @kenichiromogi

東西(6)東京の寄席でしびれるのは「渋み」「いぶし銀」の芸かも知れぬ。林家彦六などは、本当に渋かった。弟子にアーモンドチョコレートをもらって、「なんだい、こりゃあ。中に、種があるじゃないかあ」

2010-12-13 07:39:44
茂木健一郎 @kenichiromogi

東西(7)なんばグランド花月でしびれるのは、芸人の凄みかもしれぬ。一度、西川きよしさんが舞台でやった噺にはしびれた。高齢になった自分の母親がお漏らしをする、というその素振りを捨て身でやっていた。生きざまを見た。

2010-12-13 07:41:04
茂木健一郎 @kenichiromogi

東西(8)なんばグランド花月のある「ミナミ」のあたりは、東京で言えば浅草に似ている。しかし、浅草が最近落ち着いてしまっているのに対して、爆発的活気では、「ミナミ」の方が上かもしれぬ。

2010-12-13 07:41:56
茂木健一郎 @kenichiromogi

東西(9)東京の寄席が、どちらかと言えば「伝統芸」の殿堂という感じになっているのに対して、なんばグランド花月の方は、その中に何でも入れ込める「幕の内弁当」のような印象。両者の特質が、これからますます輝くことを祈りたい。

2010-12-13 07:43:43
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、新聞休刊日に東西のお笑いについての連続ツイートでした。

2010-12-13 07:44:17