根っこを食べるその2 ~いも類・ほくほく、ねばねば~

荒れ地でも、季候が悪くてもそれなりに育ってくれるいも類。昔の人々の命をたびたび救いました。
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がんちゃん(💉FFMMFF) @gan_jiro

それでは少し遅くなりましたが、野菜解説シリーズ「いも類」お送りします。

2015-02-19 22:19:38
がんちゃん(💉FFMMFF) @gan_jiro

さて、それではイモ類について取り上げてみよう。イモの種類名でいうとサトイモ、ナガイモ、サツマイモ、ジャガイモになる。なお、ナガイモとヤマノイモ(自然薯)は植物学的には別種であるが、ここでは野菜のイモ類としては同項目で扱うことにしたい。

2015-02-19 22:21:08
がんちゃん(💉FFMMFF) @gan_jiro

まずサトイモから。原産地については諸説あるが、インド近辺というところについては一致した見方である。そうでなくともセイロン、スマトラ、マレー半島などが上げられており、アジアの熱帯地方一帯であることは間違いなさそうである。分類はサトイモ科サトイモ属サトイモである。

2015-02-19 22:21:32
がんちゃん(💉FFMMFF) @gan_jiro

各国への伝搬も歴史が古く、中国では紀元前から栽培の記録があり、現在の日本にも存在する八つ頭など様々な品種が記録されている。スペインでも栽培の歴史は古いが、それはエジプトから伝えられたものと考えられている。

2015-02-19 22:22:09
がんちゃん(💉FFMMFF) @gan_jiro

わが国への渡来も古いと考えられており、南方民族の移動に伴い、また中国などからも伝播したと考えられている。「延喜式」や「万葉集」にもその名前が見られることから弥生時代、さらにさかのぼって縄文時代からあったとも考えられる。

2015-02-19 22:22:30
がんちゃん(💉FFMMFF) @gan_jiro

その後、各地で様々な地方品種が栽培されていたが、昭和10年代に近隣諸国から多数の品種を収集し、国内地方品種と合わせて整理を行って、それぞれの気候や作型に適合した品種が明らかにされた。

2015-02-19 22:22:53
がんちゃん(💉FFMMFF) @gan_jiro

サトイモは、イモを食用とするだけでなく葉柄(ずいき)も食用となる。有名な肥後ずいきは白芋(蓮芋)の葉柄が原料であるが、これは加藤清正が有事の際の食料として備えたものと言われている。

2015-02-19 22:23:35
がんちゃん(💉FFMMFF) @gan_jiro

サトイモの品種には、用途別に親芋用、親子兼用、子芋用、葉柄用などに分類されている。子芋用品種の親芋は一般にまずく、食用に適さないものが多いが、一部例外もある。現在の日本で栽培されているものは子芋用の石川早生が最も多く、これは3倍体であるが、他の栽培品種も3倍体が多い。

2015-02-19 22:23:59
がんちゃん(💉FFMMFF) @gan_jiro

サトイモの栽培種は3倍体が多いため、通常種子は作らない。種子ができる場合もあるが、種子繁殖の株は植物体が小さいことが多く、収穫まで時間がかかることもあって、育種(品種改良)を行う場合を除き、ほとんど芋を利用した栄養繁殖である。

2015-02-19 22:24:47
がんちゃん(💉FFMMFF) @gan_jiro

なお、サトイモ科には観葉植物として知られているものが多く、スパティフィラム、アンスリウム、カラー、ディフェンバキア、変わったところではポトスがサトイモ科である。

2015-02-19 22:25:13
がんちゃん(💉FFMMFF) @gan_jiro

ナガイモ、ヤマノイモはどちらもヤマノイモ科ヤマノイモ属である。形態や用途などからも混乱が見られ、植物学の分類と野菜としての利用形態によって呼称も変わり、非常にややこしい。栽培種のナガイモにも長形種(いわゆるながいも)、扁形種(いちょういも)、塊茎種(つくねいも)などがある。

2015-02-19 22:26:10
がんちゃん(💉FFMMFF) @gan_jiro

長形種のなかにも「とっくりいも」、扁形種には「仏掌薯」、塊茎種には「大和いも」「伊勢いも」「丹波やまのいも」など様々な地方品種があり、また関東で「やまといも」というと塊茎種ではなく、いちょう型であったりすることも混乱に拍車をかけている。仏掌薯を「つくねいも」と読むことも多い。

2015-02-19 22:26:48
がんちゃん(💉FFMMFF) @gan_jiro

ヤマノイモ属には経済的に有用な品種が世界各地にも多く、それらを総称してyam(ヤム)と呼んでいる。世界的にはヤマノイモ属は50種ほどが食用とされ、熱帯原産のものが多いが、ナガイモ、ヤマノイモは温帯が起源であり、かなり珍しい。

2015-02-19 22:27:14
がんちゃん(💉FFMMFF) @gan_jiro

ナガイモは中国では紀元前2000年ごろから薬用として使用されていたとの記録がある。原産地は南部の雲南地方とみられ、これが次第に北上し、朝鮮半島を経由して日本に伝播したものと考えられている。

2015-02-19 22:27:54
がんちゃん(💉FFMMFF) @gan_jiro

日本で栽培が始まったのはこれもまた古く、縄文時代後期、陸稲の栽培より以前であったとも言われている。その後各地方品種に分化しながら各地に広がっていくが、日本からの移民によりハワイに持ち込まれ、当地での栽培もみられるようである。

2015-02-19 22:28:20
がんちゃん(💉FFMMFF) @gan_jiro

ナガイモによく似た自然薯は日本原産のつる性植物で、古来から山の幸として利用されてきたものである。先ほどから述べているように、ヤマノイモ属は呼び名で混乱が見られるが、自然薯と呼ばれるものは日本原産のものを指し、外国から導入されたナガイモとは別種である。

2015-02-19 22:29:11
がんちゃん(💉FFMMFF) @gan_jiro

一般的に自然薯はナガイモ(種類にもよるが)にくらべて粘度が高く、風味もよいとされている。しかし、細長く育つ性質があるため掘り取りが難しく、土壌病害虫や土壌の性質によっていもの品質が大きく左右され、栽培はかなり難しかった。

2015-02-19 22:29:31
がんちゃん(💉FFMMFF) @gan_jiro

そこで、養分や土質をコントロールし、栽培ほ場の土壌の影響を受けにくくするためにパイプ栽培が開発された。パイプ内に自然薯の栽培に適した土壌を入れ、その中に新生いもを誘導することで周囲の環境から隔離して栽培することが可能になり、収穫も容易になったことから商業栽培が盛んになった。

2015-02-19 22:30:16
がんちゃん(💉FFMMFF) @gan_jiro

サツマイモはヒルガオ科サツマイモ属で中南米が原産と言われる。特に南米の熱帯あたりと言われるが、祖先にあたると思われる野生種を昭和30年に西山市三がメキシコで発見している。ヒルガオ科はメキシコに多種存在するが、その中で花が咲きにくい性質のためイモで繁殖するように進化したと思われる。

2015-02-19 22:31:47
がんちゃん(💉FFMMFF) @gan_jiro

メキシコ近辺で発生したサツマイモの原種が変異や交雑しながら様々な環境に適応し、中南米全域に広がったとする考え方がある。それがコロンブスなどの新大陸発見に伴ってヨーロッパに持ち帰られ、アジア、オセアニアに伝播し、広がったといわれている。

2015-02-19 22:32:09
がんちゃん(💉FFMMFF) @gan_jiro

日本への伝搬は16世紀にヨーロッパから中国を経てのものと考えられている。まずは琉球へ導入され、鹿児島へ渡ってきた。このため、中国由来で唐芋、琉球芋などとも呼ばれている。ただし、これらは一本道で伝播してきたものではなく、複数回にわたっていくつかの経路でと考えられている。

2015-02-19 22:32:44
がんちゃん(💉FFMMFF) @gan_jiro

江戸時代、幕藩制度確率当初はサツマイモは薩摩藩からの持ち出しは厳禁されていた。これが、18世紀の蘭学者、青木昆陽が幕府に進言して薩摩藩から献上させたことから救荒作物として全国に広がった。その時点では食味より環境適応性があるか、収量が多いかが重視して品種が選抜されていた。

2015-02-19 22:33:05
がんちゃん(💉FFMMFF) @gan_jiro

現在西日本で広く栽培されている高系14号は高知県農業試験場で育成された品種であるが、現在それが日本各地で少しずつ選抜・改変され徳島県の鳴門金時、鹿児島県のべにさつま、石川県の五郎島金時など様々なブランド芋が作り出されている。

2015-02-19 22:33:46