【坂口恭平躁鬱講座】

坂口恭平 @zhtsss

【坂口恭平躁鬱講座】（基礎編） 躁鬱の人はいわゆる健常者の人たちとは成り立ちが違いますので、同じように生きようとしてはいけません。普通になろうとすればするほど退屈で鬱鬱とした気分がどんどん深まってしまいます。ここではそんな躁鬱生たちのための基礎講座をはじめたいと思います。

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躁鬱講座基礎編① 躁鬱人はまず一つのことに集中することができません。この道一筋が全く性に合いません。基本的にいくつもの仕事を持つようにしましょう。仕事といっても金が稼げなくても実は全く構いません。大事なことは注意散漫にすることです。ながら仕事が大事なのです。複数思考が得意なのです

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躁鬱講座基礎編② 躁と鬱の大きなギャップについ嘆いてしまいますが、実はそんなに違いはありません。エネルギー量は同じです。だから躁状態だと飛ばしすぎているので駄目だとか、鬱だと落ち込みすぎていて駄目だとか言わないでいいです。どちらもとても重要な思考の過程です。どちらも差別しないでね

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躁鬱講座基礎編③ 躁のとき。何でもできると思えて来ます。そして実のところなんでもできます。だからなんでもやればいいのです。躁のときに気をつけるのはいくつか条件をつけることです。躁のあなたはそんな条件くらい簡単にアイデアで乗り越えます。負荷をかけたほうが実現性は高まります。

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躁鬱講座基礎編④ 僕の躁のときの条件はまず①お金を一銭も使わない。②どんなことでも企画していいが、その企画をすべて実現していると疲れるので、その全ての企画を実現するまでの過程を小説にする。架空の実現を書物の中で達成する。③夜１２時までに寝る。④法律を犯さなければ何してもいい。

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躁鬱講座基礎編⑤ 躁鬱の人は、何も作家じゃなくてもいいです。僕の場合まず工事現場で働きはじめましたがこれは退屈すぎて駄目でした。でも次に行った築地市場では持前の他者への親和性がうまく作用し、結構うまくいきました。でも表現したかったのと同僚との対話で退屈なときが時々あり結局リタイア

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躁鬱講座基礎編⑥ 次に行ったのが築地市場で卸していたホテルです。ホスピタリティが高い職業はとても合ってます。はじめワシントンホテルに行きましたが、ここではホテル感が弱かった。やっぱりちょっと特別な雰囲気が好きなのです。そこでヒルトンホテルに乗り換えたら、ここがかなり肌に合った。

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ヒルトンホテルはうまく仕事をこなすよりもゲストを喜ばせることのほうが求められていたんです。勿論ラウンジのマネージャにはいつも怒られてましたがヒルトンホテルの支配人からは僕はやたらと気に入られていた。ゲストが誕生日だと知ると高級メロンを勝手に切り、一人で唄ってあげていたからです

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築地市場ではほどほど喜ばれ、ワシントンホテルでは結構喜ばれ、でもヒルトンホテルでは一番喜ばれた。ゲストにだけ対応がよいのでマネージャーからはふざけるなと言われてましたが、毎月給料とは別にチップを３０万円くらいもらっていたので何も気にしませんでした。躁鬱人はサービス業が向いてます

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躁鬱講座基礎編⑦ 僕の仕事も今、twitterをかきまくり、いのちの電話をしまくり、新政府をつくり、音楽祭を催し、絵を描きそれを振る舞い、本を書き電話番号を掲載し読書感想電話を求めたり、と基本的に作家業というよりも、サービス業といったほうがいいかもしれません。新概念のサービス業。

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躁鬱講座基礎編⑧ 躁鬱人は退屈だと思ったらその瞬間に立ち上がって全然違うことに向かうようなことができないことが続くと鬱になる。鬱は無意識の棄権です。やりたくないことを窮屈なことをしていたから嫌がっているわけです。躁鬱人は体さえ動けば嫌なことでもやっちゃいますから体が棄権するのです

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躁鬱講座基礎編⑨ それを避けるためには、とにかく嫌だと退屈だと思った瞬間に席を立つことです。回りから変な目で見られても一時の恥だと思ってぐっと無視して外の空気を吸いにいけばいい。そして次に興味を抱いたものへ罪悪感を持たずに突っ込んで行く。これを繰り返していればとても心地がよいです

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躁鬱講座基礎編⑩ 躁鬱人は長所を伸ばすことができたらそれだけでうれしくなってお金のことなど求めません。得意なことをやって、それで人が喜んでくれたり、称賛してくれたりしたら、それで全てが丸く収まります。才能の上下はないです。自分が得意だと思っているかどうかが重要です。苦手なこと禁止

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躁鬱講座基礎編⑪ 躁鬱人は基本的に反省することができない。自省もできない。自分にできないことをああすればよかったとか、なんて駄目な人間なんだろうかとか自省しても何の意味もないし、成長の可能性は皆無です。すぐにやめましょう。回りから文句言われても反省してはいけません。凹むだけです。

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躁鬱講座基礎編⑫ 躁鬱人はよく仕事がうまくいかないとか言うけど、調べると大抵その仕事を好きじゃないし、得意だとも思っていない。うまくいかないの当たり前だし鬱が治らないの当たり前。小学生とか中学生のときを思い出すこと。回りの人から褒められた経験をちっぽけなものでもいいから思い出せ

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さて、今日の講座はこれにて終了。躁鬱生のみなさん、宿題です。躁鬱野郎ならどんな人にでも一つだけ体内にセットされている「得意なもの」「好きなもの」「回りから褒められること」。一つだけでいいですから、見つけてきてメモっといてくださいね。明日はそれを使って一つの作業に取り組んでみます。

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躁鬱大学閉校！おやすみ！