黒バスプラスまとめ ~2015-02-28 23:54:38

黒バスプラスのまとめ
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【緑間】肩を撫でるぬるい風が、続く夏の日を示していた。「べたべたするねえ」「ああ、そうだな」短い言葉を掛け合って、それでも詰めた距離は動かない。「緑間くん」今日はね、特別な日なんだよ。「知っている」人事を尽くす男は少し屈んで、額にひとつ、柔らかくない唇を落とした。 #黒バスプラス

2014-07-30 20:02:22
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【木吉】きみの右手がゆらりゆらり、心許ない動きをする。それはきみのどうにもわかりにくい感情を、一番ダイレクトに伝える手だ。「ねえ、木吉くん」「…どうか、したか」平静、装ってるって一見わからないくらい穏やかな顔、に、わたしは騙されてあげないんだから。「手、繋ごうよ」 #黒バスプラス

2014-08-02 23:35:41
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【木吉】抱きしめた腕の中で砕けたのは、きみの本当を覆う薄い膜。「…無理するのがきみだから、それを止める気はないけれど」時々は休んでね。独り言みたいに呟いて、剥き出しのきみが低く唸るのを遠くで聞いた。「そばに、いるからさ」柔らかい髪に滲む汗は、きっと今しか流せない。 #黒バスプラス

2014-08-09 18:19:21
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【原】少なくともこの前髪男よりは、ずっと常識人だと思っていた。「あんたさ、簡単だね」皮肉だね、こちらからは見えない眼の方が、物事を正しく見つめてるなんて。「好きだよね、オレのこと?」そんで、非常識を求めてる。わかってるなら、早く。つまらない常識から、連れ出してよ。 #黒バスプラス

2014-08-11 11:41:23
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【古橋】例えばくっついた背中の広さ、閉じた瞼を縁取る睫毛。あなたの肉眼が捉えない、あなたを捉えられることが嬉しい。「随分な趣味だな」「そうかもしれない」傾げた首の付け根の黒子を、知るのがわたしだけでありますように。暗い喜びの中身なんて、あなたはわからなくていいよ。 #黒バスプラス

2014-08-11 11:41:42
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【木吉】無力だから口を噤んだ。きみにしてあげられることなんて、なにひとつなかった。「わたしに、なにか望んでよ」ワガママだってわかってる、けど。「…おれのかわりに、ないてくれるか」しんどいつらい、くるしい。だから、ときみが願うから、白い病室で、わたしは涙を拭わない。 #黒バスプラス

2014-08-12 02:44:34
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【黒子】はくはくと酸素を求めみっともなくばたつく私を、きみは白い手でそっと抱き上げた。「どこからきたんですか」、「今度は、もっと深いところを泳ぐんですよ」。違うの、あなたに会いにきたの。言葉を紡がぬ口を開いて、ああ、魚は人魚姫になれないから、王子と恋は叶わない。 #黒バスマイナス

2014-08-12 12:58:12
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【笠松】彼女バイト、オレ予備校。年の差は残酷で、彼女の背後のガラスに映った、追いつけない背中に歯噛みする。「笠松くん、調子は?」「…まあ」どこにも連れてってやれないし、遊びに行くの、すこし控えているのも知ってる。…来年こそはを飲み込んで、オレはただやるべきことを。 #黒バスプラス

2014-08-16 01:16:41
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【花宮】銀のバケツに手を伸ばしかけ、きっと喜ばないだろうなあと思ってやめた。私がその可憐な佇まいをつい心に留めてしまう理由が、あなたの名前だから笑えてくる。「なにしてんだよ」花を、と紡ぎかけて手に汗が滲む。「…買えばいいだろ」ああ、きみはその儚さを、きっと誰より、 #黒バスプラス

2014-08-20 22:03:13
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【黄瀬】「いい加減失礼じゃない!?」丈の短い浴衣から逞しい脚を覗かせ、きみは頬を膨らませた。「ごめ、でもさあ、っ」だめ堪えきれないと、また吹き出すとより怒る。「…ねえ、どきどきしてるのはオレだけなの?」二人きりの温泉旅行、つつと指が指を撫でて、多分緊張は伝染する。 #黒バスプラス

2014-08-25 23:53:47
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【黛】持ち込んだラノベに絶句、二人きりの旅行なのにそれはない。抗議のちむくれたわたしの隣で頁を捲る音が残酷に響く。「ねー、なんで読むの」折角、とぼやくときみはちらりと此方を見る。「…伝わってないならいいけど」緊張してる、と開き直った割に、赤い耳が可愛くて頬が緩む。 #黒バスプラス

2014-08-25 23:53:56
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【古橋】いつもより体温が高いのは、入浴のせいなのか、それとも。「…あついね、古橋くん」「お前も、熱い」そうなのかな、自分ではもうわからないよ。手繰り寄せた手段が解か?思索は既にタイムアウト。「さわってよ、わたしに」ねえ多分きみならいいと、わたしの身体が叫んでいる。 #黒バスプラス

2014-08-25 23:53:59
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【緑間】がしがしとタオルで水気を取る姿とか、なんかだめだなって思ってしまう。どきどき、きゅん、どちらも少し違っていて、「お前、興奮しているのか」生真面目な唇がすこしめくれ上がるのだって、すごく、もう、「…してる」湯上りの肌に爪を立てて、きみをわたしに全部見せてよ。 #黒バスプラス

2014-08-25 23:54:02
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【森山】畳の跡の赤色が、抜ける白さに映えている。視線の右隅にごろんと転がった無防備は、なにもわかってないのか。「…行儀が、悪いぞ」「だって、気持ちいい」やめてくれオレを紳士でいさせて、「ねえ、おいでよ」の確信に満ちた眼に、浮かされたように手が動く、浅はかという心。 #黒バスプラス

2014-08-26 12:54:31
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【宮地】玄関にへたりこみ、0時に間に合わなかったと気落ちするきみ。別に気にしてないというのに。「この先も祝ってくれたら、それでいいよ」「…一回一回、大事にしてえの」わかれ、わかってる。「…これからも、よろしく」手から零れ落ちた幸せを、拾える二人でいられますように。 #黒バスプラス

2014-08-27 00:09:57
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【黄瀬】なんてったって、生まれて初めてこの手の後悔をしたのだ。「勉強、しとけばよかった」、だって、ちっとも語彙が足らないから。「好きだけじゃ足りないけど、他に思いつかない」「…ばか」質より量とか、怒るかもだけど。「誕生日、おめでとう」今日は照れずに、全部聞いて。 #黒バスプラス

2014-08-29 00:02:30
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【青峰】かつて高校最速の男は、息を決して切らさなかった。急な呼び出しに扉を開けると、派手な二つ名をおろしたきみが笑った。「…衰えた?」「なわけねーだろ」お互いさまな憎まれ口は相変わらず、「で、言うことがあんじゃねえの?」愛で滲んだ不遜さと、あの頃の笑みが懐かしく、 #黒バスプラス

2014-08-31 00:13:23
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【木吉】「お前は、オレと結婚するもんだとばかり思ってたよ」きみの表情を知るのが怖くて、薬指の靴擦ればかり睨みつける。「…そんなに好きだったの、わたしのこと」揶揄のつもりで作った笑顔、「まさか」好きだよ、今でも。もう随分前にしまいこんだ旧姓を、きみの声が甘く呼んだ。 #黒バスプラス

2014-09-01 03:37:57
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【木吉】永遠なんてどこにもないと知りながら、きみとだけはと思っていた。「お前が、知っててくれるだけでいいんだ」好きだ、そう告げたときと同じ色の目を、真っ直ぐ見ることができない。強く握られた指先は赤黒く染まり、それはなんだか澱むきみの気持ちみたいだと身勝手に思った。 #黒バスプラス

2014-09-01 08:55:17
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【木吉】「桃色というより、ドブ色だよな」片想いらしい片想い、口ずさんだ能天気をお前は笑い飛ばさない。「苦しいからって、やめられないところが辛いよな」オレと添い遂げてはくれないくせにオレを見捨てることもできず、身勝手に沈むお前を傷つけたいよ。オレは、酷い男だから。 #黒バスマイナス

2014-09-01 10:37:06
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【木吉】あの日、どうしたって叶わない恋があった。オレには家庭があったし、きみには未来があった。だからどうだって立ち向かえるほど真っ直ぐではいられなかったから、「さよなら、鉄平さん」きみの後ろ姿を泣かせてしまったこの腕は、その温もり以外、もうなにも抱けなくなった。 #黒バスマイナス

2014-09-08 02:47:11
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【木吉】これは人を不幸にする恋だ。そして誰も幸せにはならない恋だ。女子高生にだってわかる理屈が、いい年した大人を止められない。「恋って、怖いな」オレはあの子が好きだ、口に出すだけで左手の薬指が痛む気がした。「…ダアホ、やめとけよ」やめられるくらいなら、最初から。 #黒バスマイナス

2014-09-08 02:56:07
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【木吉】雨に濡れた帰り道。陰鬱な天気も晴れやかな気持ちにさせる、その笑顔の価値を計れない。「それ、鬱陶しくないんですか」自分の額を指差す仕草、濡れた指先の細さと白さを、忌々しいほど愛おしく感じた。「はは、すごく鬱陶しい」濁った感情は、きみに抱くのに相応しくない。 #黒バスマイナス

2014-09-08 03:16:55
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【緑間】ロマンチック連れて走り出し、わたしはかつて恋をしていた。『お前に、見せたかったのだよ』とはにかむ表情に、息が止まりそうになった日もあった。ありがちなレストラン、陳腐な夜景。どちらもあなただから嬉しかったのだと、「きみに見せたくて!」今更思い出す、手遅れ。 #黒バスマイナス

2014-09-08 03:31:48
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【赤司】基礎代謝のような恋であったと、きみは最後の夜に告げた。「…じゃあ、やめたら死んじゃうじゃんか」「お前の赤司征十郎は、今晩限りで死ぬ」僕は永遠にお前のものだときみは笑った。「さようなら、愛している」最後の言葉をそっと零した、きっときみはわたしの永遠になる。 #黒バスマイナス

2014-09-08 12:08:56
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