『愛国主義の札を切る』——津田正太郎氏によるA.Ellinas(2010)The Media and the Far Right in Western Europeの紹介

極右政党を規定する構造が、選挙でのブレーク前後で大きく変わってくる、という主張が興味深かったので、備忘としてまとめました。
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Shotaro TSUDA @brighthelmer

先日からA. Ellinas (2010) The Media and the Far Right in Western Europeという本を読んでいる。極右政党が選挙でブレークする以前と以後とでは分析アプローチを変えたほうが良いと主張している。一部を紹介。

2015-02-27 19:31:08

Ellinas, Antonis A., 2014, The Media and the Far Right in Western Europe: Playing the Nationalist Card, Cambridge University Press.

"This book examines the fascinating interplay of party and media behavior to explain one of the most important phenomena in Western Europe: the rise of far-right parties."

Shotaro TSUDA @brighthelmer

極右政党が選挙でブレークスルーを果たす以前には、政党の組織はそれほど重要ではない。マスメディアはたとえ否定的にではあっても、その主張を取り上げることで、彼らが多くの人の目に触れる機会を増やし、その主張が正当なものだという認識を広める。

2015-02-27 19:31:39
Shotaro TSUDA @brighthelmer

しかし、ブレークスルーを果たした後では、メディアの影響はそれほど重要ではなくなり、むしろ政党が適切に組織化されていることのほうが重要になる。それができていない政党は、当初は成功を収めたとしても、すぐに勢いを失う。

2015-02-27 19:32:07
Shotaro TSUDA @brighthelmer

極右政党がブレークスルーを果たすと、他の主要政党は移民の取り締まりを強化する政策などを打ち出して対抗しようとするが、そうした試みはしばしば失敗する。ブレークスルー以後には、極右政党の成否は他の政党の対応ではなく、極右政党自体の組織とアピール力に依存するようになるからだという。

2015-02-27 19:33:05