虎Iの8.8cm戦車砲って案外大人しい気がするお話

虎戦車の8.8cm砲というとすごく強い大砲というイメージを持つ人もあるかも知れませんが、でも落ち着いて眺めてみると長砲身な割にちょっと大人しくない? なんで? というお話
軍事 大砲 対空砲 火砲 戦車砲 独軍
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えすだぶ@C97火曜日西2つ13a @FHSWman
8.8cm砲と聞いてまずL/71が浮かんだあとで、そういえばL/56もあったね、と思考が流れる。どうも脳が火力の方向にスリップしているようです
えすだぶ@C97火曜日西2つ13a @FHSWman
8.8cm KwK36戦車砲と言えば凄く強力な砲てなイメージの方も多いやも知れませんが、でも落ち着いて眺めてみましょ。砲身長56口径です。71口径砲程じゃないですが、でも結構長いですよね。それなのに初速800m/sくらい……あれっ? 長い割に遅い? てなりますよね。なりません?
えすだぶ@C97火曜日西2つ13a @FHSWman
赤軍の100mm戦車砲は56口径。17ポンド砲は55口径(とは言え砲身長の数え方が独軍とは違うので、独軍式では58口径相当程度かも)。これらは900m/s級の初速を得られている。その一方で8.8cm KwK36は砲身長56口径で800m/sに過ぎず……これは一体? となりませんか
えすだぶ@C97火曜日西2つ13a @FHSWman
とは言え、実はこれはそんなに驚くような話じゃありません。虎Iの砲は砲身長こそ長いんですが、実は薬莢容積がそんなに無くて、そう大した量の装薬を入れられないのです。2.8だか2.9kgって所で、これは7.5cm PaK40対戦車砲が2.7kgだったことを思うと、口径の割に大人しい
えすだぶ@C97火曜日西2つ13a @FHSWman
装薬を薬莢に詰められる密度には限度がありまして、大戦頃の赤軍の基準ではだいたい薬莢容積1リットルあたり装薬0.7kgくらいというのが上限のだいたいの目安でした。ドイツの基準はわからんですが、さほど遠くない数字であったろうなあと想像します
えすだぶ@C97火曜日西2つ13a @FHSWman
そしてKwK36用の88x571R薬莢の容積はと言うと……実物を計った訳でもなし、資料になかなか出てくる数字でもなし。私にゃわかりません。ただ、長さとリム径とかから推測するに4リットルは超えない程度、たぶん3.7リットルとかそのへんくらいに思えるのですね
えすだぶ@C97火曜日西2つ13a @FHSWman
推定容積3.7リットルの88x571R薬莢に2.8kgの装薬を入れると……装薬密度は容積1リットルあたり0.76kg。赤軍基準をそう大きく上回るでもないですが、でもこれ以上増やすのは怖い感じなのですね
えすだぶ@C97火曜日西2つ13a @FHSWman
他方17ポンド砲はと言うと、装薬量は3.6kg。砲身長の口径比は同等ながら装薬が虎のそれより多いので、そりゃ高初速も当然よねという訳なのです。ちなみに装薬密度はと言うと、薬莢のボトルネックが激しいんで容積の推定が大分怪しいのですが、仮に5リットルくらいとして0.72kg/l程度?
えすだぶ@C97火曜日西2つ13a @FHSWman
さらに参考として、4号戦車なんかの7.5cm KwK40戦車砲では装薬量が2.43kg、薬莢容積は推定3リットルくらいで0.8kg/Lとかそのへん。装薬量は確かな数字ですが、薬莢容積は推定がだいぶ怪しいので、眉にはぺったり唾をつけてやってください
えすだぶ@C97火曜日西2つ13a @FHSWman
つまり何かと言いますと、虎の8.8cm KwK36は、より後に開発された7.5cm KwK40や英軍17ポンド砲、そして赤軍100mm戦車砲に比べると砲身の長さの割に装薬が相当に少ない。これら新世代の戦車砲とは少々違う方針に基づいて開発されておる事が見て取れる訳です
グデーリアン @guderian1954
@FHSWman 興味深いですね、当時の火薬性能と品質でギリギリの安定性とじゅん爆度がせめぎあってた事が良く分かります
えすだぶ@C97火曜日西2つ13a @FHSWman
@guderian1954 KwK40は既存火砲流用でなく新しく戦車砲専用として作り始めた火砲な訳ですから、このあたり結構キッチリ最適なところを探したのではないかなあと想像します
えすだぶ@C97火曜日西2つ13a @FHSWman
それもまあ全然目新しい話じゃありゃしません。8.8cm KwK36戦車砲はFlaK36高射砲を親に持つのですから。こいつらは発火方式が違うとかなんとかで弾薬共通性はないのですが、ともかく薬莢のサイズは同じで、弾量も装薬量もだいたい同じ。そして砲身長も同じ。つまりだいたい性質が同じ
えすだぶ@C97火曜日西2つ13a @FHSWman
さて、長めの砲身長に比して比較的少ない装薬でゆっくりじっくり加速させてやるというのは、砲身にとって優しい訳です。短い砲身で同じ初速を得ようとするよりは砲身寿命が長くなります。そしてFlaK36のような高射砲は、戦車砲の比じゃないくらい弾幕を張る物なので、寿命の要求がより厳しいはず
えすだぶ@C97火曜日西2つ13a @FHSWman
FlaK36は高射砲として、砲身寿命を長めに取ることを選んだ。そしてKwK36は単にその性質を受け継いだ。ところが戦車砲には高射砲程の砲身寿命は要求されないので、7.5cm KwK40や英17ポンド砲のような新世代の戦車砲はより割り切った設計に出来た筈、と。そんな気がするのです
えすだぶ@C97火曜日西2つ13a @FHSWman
(さっきからすごい適当な話をしてるので誰かに怒られないかしらと震えてます)
えすだぶ@C97火曜日西2つ13a @FHSWman
では8.8cm砲で56口径という長砲身の戦車砲を作るにあたり、高射砲との薬莢互換性を排して装薬量を増し、高射砲に比べて寿命をある程度割り切った上で初速を高めた砲とする事は出来たろうか……? 実はこれ、当時の人が実際に検討していたりします。素人の後知恵はだいたい考慮済みなんですね
えすだぶ@C97火曜日西2つ13a @FHSWman
この強装薬型8.8cm56口径戦車砲案では薬莢底部径を22mm増し、あわせて装薬量を増して初速920~940m/sを得る事となっていました。つまり56口径砲身で本気の戦車砲と作ると、17ポンド砲や赤軍100mm戦車砲さえも初速で上回っちゃうんですね
えすだぶ@C97火曜日西2つ13a @FHSWman
ただ、如何なる理由か、この計画が実行には移されませんでした。ドイツは弾薬互換性にはかなり無頓着な国でしたし、どのみち高射砲と戦車砲では爆管の違いから互換性が無くなるんですから、戦車砲と高射砲で薬莢変えちゃうのも有り得たと思うのですが……あるいは何か別の問題があったのかも知れません
えすだぶ@C97火曜日西2つ13a @FHSWman
ええと、つまり……虎Iの8.8cm KwK36戦車砲は一部のイメージに反して、実は56口径という長砲身の割にはちと大人し目の「アレッ?」てな所がある砲で、そして実際に当時の人ももうちょっと強くできる余地のある砲だと思ってたらしいと。そういうお話でした
えすだぶ@C97火曜日西2つ13a @FHSWman
その、数字を眺めてたらなんかそんな気がしたって話で、実際KwK36の開発経緯を洗ってみたらそう書いてあったとかいう話ではありませんので、どうか鵜呑みにはなさらぬよう……というか私にゃKwK36の開発経緯がサッパリわかりませんの
えすだぶ@C97火曜日西2つ13a @FHSWman
昨日の88話に関連して、では弾薬互換性切り捨てている8.8cm FlaK41高射砲と王虎のKwK43戦車砲ではどうなったんでしょうか? 実は高射砲のほうが微妙ながら砲身寿命重視してそう、というか後発の戦車砲のほうが寿命をある程度割り切ってそうなピーキーな感じの砲になってます
えすだぶ@C97火曜日西2つ13a @FHSWman
砲身長はFlak41が74口径くらいで、KwK43は71口径。誤差みたいなもんですが戦車砲のほうが微妙に短い。そして投射能力を見ると、前者が9.4kg弾を1000m/sつまり480tf·mであるのに対し、後者は10.2kg弾を1000m/sで520tf·m。案外違うのです
えすだぶ@C97火曜日西2つ13a @FHSWman
FlaK41でも徹甲弾なら10.2kg弾を980m/sで500tf·mじゃないの? ってツッコミが入るかもですが、FlaK41は砲の用途的に榴弾が主用弾薬であると考えて良いものと思います。もちろん時には徹甲弾も撃ちますが、戦車砲で徹甲弾を撃つ程には頻繁ではないでしょうし
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コメント

Hoehoe @baisetusai 2015年3月4日
みんなハルファヤ峠の高射砲の話から入ってくるからな
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