- windycatter
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①先週から「マッサン」について、ゆっくり感想を書く時間がない。気軽に感想を書くには、辛く息苦しい展開が続いているせいでもあるのだが…。それにしても、今週の「マッサン」は、エマひとりがあまりに子どもすぎて、ちょっと辛い、という人もいるだろう。#マッサン
2015-03-05 00:37:39②だが、今週のエマは、まさにそういう役割を振られているのだと思う。登場人物の中で、「こんな戦争はおかしい!」と感情をあらわにして言えるのは、泣きながら笑う術を知らない〝子ども〟であるエマだけなのだから…。それにしてもエマは、「マッサン」の中でも一番の難役なんじゃないか。#マッサン
2015-03-05 00:38:06③エマのモデルとされる竹鶴夫妻の養女リマ(房子)は、若くして夫妻と絶縁状態になり、リタ夫人の晩年まで交流が途絶えていたという。竹鶴氏の伝記にも、その名がほとんど登場しないところからも、彼女と夫妻の間に単純ではない確執があったことがうかがい知れる。#マッサン
2015-03-05 00:38:30④リマをモデルとした亀山夫妻の養女エマに、どんな人物像を与えるか。これは、「マッサン」制作陣にとっても重い問題だったと察する。詳しい史実が知られていないのだから、自由に造形すればいいではないか――単純にそう考えてしまいがちだが、実際は逆だ。#マッサン
2015-03-05 00:38:59⑤知られた史実がほとんどないからこそ、造形が難しい。まったく架空の人物を一からつくるのとも違う。マッサンたちにとって、エマとはどういう娘だったのか。そこを考え抜かなければならない。描き方次第では、作品全体のバランスを狂わせてしまうかもしれない、そういう存在。#マッサン
2015-03-05 00:39:25⑥その結果、描かれることになったエマは、純粋すぎるほど純粋すぎる娘だった。その純粋さは、言うまでもなく、マッサンとエリーから受け継いだものだ。エマは、まちがいなくマッサン夫妻の娘なのである。だが、今のところその純粋さは、エマを苦しめる役目しか果たしていない。#マッサン
2015-03-05 00:40:52⑦マッサンやエリーには、大きな夢があり、信念がある。二人の純粋さは、試練に直面したとき、夢や信念を支え、壁を越える力となってきた。だが、エマにはそんな夢や信念はない。そのたよりなさは、心の奥底にある、自分が何者かわからないという不安と一つになって彼女を苦しめる。#マッサン
2015-03-05 00:41:09⑧どれほどマッサンとエリーを慕い、二人以外に自分の親はいない、と心から思っても、さらに深い心の底には、「私は本当は誰なの?」という、答えが返ることのない痛ましい問いが隠れていて、無意識のうちにも彼女を苦しめ続けているのだ。#マッサン
2015-03-05 00:41:35⑨ましてや、純粋な心を持った子どもたちにとって最も生きにくい、子どもが多感であることをゆるさない時代である。エマは、マッサンとエリーから受け継いだその純粋さによって、傷つき、苦しまなければならない子どもなのだ。#マッサン
2015-03-05 00:42:01⑩ところで、エマ役の優希美青は、「あまちゃん」の小野寺ちゃんのころと比べると、線が細くなったというか、溌剌さが影を潜めた感があって気になってはいた。そもそも、NHK朝ドラの主要キャストとなったのに、なんというか存在感が薄い(回りが濃すぎるだけとも言えるが)。#マッサン
2015-03-05 00:42:38⑪一方では、歌手デビューが告知されたり、事務所的な攻めは続いていて、かえってちぐはぐな印象を受けてはいた。そんな折りに、彼女が休養に入るという報せが入ってきた。もちろん、ぼくは詳細な事情は何一つ知らない。ただそこに、言葉にできない痛ましいものを感じるだけだ。#マッサン
2015-03-05 00:43:14⑫優希美青は、難役であるエマをよく演じている。だがそれは、演技がうまい云々とは違う。純粋さゆえに傷ついていく壊れ物のように痛ましい少女エマに、優希美青自身の痛ましさが憑依し、彼女しか演じられないエマのリアリティを生み出している、どうしてもそんな気がしてしまうのだ。#マッサン
2015-03-05 00:43:41