柑橘提督と不思議ディーラー

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「バルジ大作戦」のタイガーがM47で、M24の砲塔がありえない破損の仕方をしてもロバート・ショーやテリー・サバラスを罵らない程度の忍耐が紳士の紳士たる最低の資格だろう。＿＿＿＿＿＿＿ゆずこせう

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柑橘提督「筑摩さん、利根よんどいで。車取りに行くから。」 利根「何か用か。」 筑摩「姉さん珍しく早いわ。」 #柑橘鎮守府

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利根「あそこであろう？その連中面白いんじゃ。」 筑摩「姉さん、あんまり近づくと＿＿」 柑橘提督「いいだろ、お茶話くらい。筑摩が注意してやればいい。」 3人は軽トラに乗り込んだ。 #柑橘鎮守府

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しばらく走ったところの雑木林に囲まれたところにそれはあった。 プレハブのガレージや事務所、そして敷地のあちらこちらに転がる車両。 それがまた普通の乗用車やトラックなどまったくないのだ。 みんななにかしらいわくがありげだ。 #柑橘鎮守府 pic.twitter.com/XZ982r32TU

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「いらっしゃい。」プレハブから黒いロン毛のスレンダー美女と黒いパーカーをはおった愛嬌のある顔の少女が顔を出した。 「できてますよ、提督」 ガマゴートに見とれていた利根がびっくりして振り返った。 「ああ、元気であったか。」 #柑橘鎮守府 pic.twitter.com/pDhiPndnMB

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黒髪が三人を中に招いた。事務所の中は意外と整頓されている。 柑橘提督「姐さんはどうした？」 「ああ、今日は客周りの帰りに同窓会っす。」「同窓会？」 「戦車いじってたんス、昔は」＊参考　pixiv.net/novel/show.php…　#柑橘鎮守府

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「そうかあ、青春だよなあ。」「でしょ？あんまし強くないチームだったらしいすけどね。」 筑摩が少し落ち着かない顔をしている。 どうしてこんなにこの人たちは顔色が白いんだろう？それにどこかで見たような＿＿　#柑橘鎮守府

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一通りそのディーラーにある車両を見て回ることにした。 新旧いろいろだが、利根はうきうきした顔で飛びまわって見て回る。 きょうは消防関係が多めだ。#柑橘鎮守府 pic.twitter.com/qrkwR5fut6

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「おまっとさあん」黒パーカーがドリーにのせたそいつを引いて現れた。 「ジムニーのエンジンに替えといたから勾配でも粘りはあるはずだよ。」 メカニカル・ミュールの消防車。#柑橘鎮守府 pic.twitter.com/1VATVDZDzU

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「山で火が起こった時に狭い山道に入れるこいつが初期消火に役に立つな。」「うちでも結構出てるよ。」民用軍用問わずあらゆる車両をカスタム改造するディーラーさん。#柑橘鎮守府 pic.twitter.com/lQQ3LlX054

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「そいじゃ、利根、のってってくれ。」「了解じゃ。」利根はひらりと飛び乗るとミュールのエンジンをかけて走り出す。 「姐さんによろしく言っといてくれ。」「はい、はい。また御贔屓に」 入れ違いによそのミュールが入ってくるところ。 pic.twitter.com/KPael5U8Sl

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車中、筑摩は黙っている。 提督「わかったかい？」 筑摩「ええ＿＿あれって、リ級とレ級＿＿いいんですか？」 提督「いいよ。」怪訝な目で見られた。 #柑橘鎮守府

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「うちの鎮守府が立ち上げられた頃からあそこで商売している。」 「それって、スパイ？」 「かもしれん、かもしれんが実際手広くやっている。わかるか？ここにたどり着くまでには綺麗事では済まないこともあったのさ。」 「例えば？」 「南西哨戒＿＿」「なんですって！」#柑橘鎮守府

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「筑摩よ、お互い持ちつ持たれつなのだ。向こうは味方を犠牲にしてまでここでの商売を手放したくない事情があった＿＿とだけ今は言っとく。」 「納得できません。」 「だろうな。だがいまここで言い訳はしないよ。」 「仲間の安全を売るだなんて。」 「約束しておく。私は売らないよ」#柑橘鎮守府

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3人が帰った後、レ級は背伸びしてからガレージに入った。リ級に向いて 「私たちの任務は情報収集＿＿＿＿」 「それと、いざという時の為の艦娘側とのパイプの構築。」 「車や機械が売れるなら、他の何でも売れるし買える。」 「売り買いできないモノの方が少ないわ。」 #柑橘鎮守府

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レ級「人類側との通信網が寸断されている今、我々敵味方だけでは想定できぬ事態が起きたときに、なんとか話しの通じる相手を作らなくちゃ。」 リ級「そう、まずは意図や感情の伴わないモノの交換、それを通して会話の条件を一本ずつつなぐ。」 レ級「信用って言うらしいけどね彼らは。」#柑橘鎮守府

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軽トラの中で提督 「WW2の最中、英国である枢要な部品が不足した。思い切って交戦中のドイツに注文を出してみた。すると数カ月後にそれが中立国経由で届いた。」 「独逸も同じように注文したら礼状とともに配達された。」#柑橘鎮守府

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柑橘提督「鎮守府だってそうなんだ。」 筑摩「へ？」 提督「載ってる車が新しい古い、考証がどう、役回りがおかしい、そんなことよりも大事なのはなんだい、筑摩？」 筑摩「提督と＿＿艦娘＿」 提督「そう、提督がいて艦娘が要る。必ずいる。これが外せないんだよ」 #柑橘鎮守府

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レ級「我々深海棲艦がいて、普段は敵対する提督と艦娘がいて。この世界の必要条件は変わらない。だれもここに疑いをさしはさむことはできない。」 リ級「真実と事実に裏付けられた確固とした信用ね。」 レ級「外の世界があったとしても、そいつらは口をつっこめないよね。」 #柑橘鎮守府

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柑橘提督「だから、帝国海軍の重巡娘があのベイフィールド社1970年製のクルマを転がすのもこの理に反しない限りありなんだ。むしろその世界の中で汗を流し笑い泣き、楽しむのがいいんだよ。」#柑橘鎮守府