救済ブラック本丸まとめ

タイトルの通り
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ふゆ@かたな @fuyu_tr

【本日のテーマ】 引き継ぎブラック本丸 ・ブラック本丸の単語でお察し ・キャラ崩壊含 ・救済もの ・書きたいシーンだけ ・男審神者 ・正直大丈夫かどきどきしてる

2015-03-10 20:21:21
ふゆ@かたな @fuyu_tr

(序) 42対の瞳が俺を見る。仄暗く薄汚れ、そこに光はなくただ底のない負の色が見える。本丸の空気は淀んでいる。「前任者は追放した。今日から俺がお前達の主だ」値踏みする奴はまだいい。期待も恐怖もいい。無関心が問題だ。だがどう足掻こうと今日からここが俺の城。さて、最底辺から始めよう。

2015-03-10 20:27:07
ふゆ@かたな @fuyu_tr

先ほどまでの騒動が嘘のように場は静まり返っていた。今まで自分たちを支配していた主が唐突に任を解かれたことや、それに至る一部始終を見ていた奴は特に動揺しているだろう。綺麗な引き継ぎではなかった。だが、前の主の破綻した人格を思えば、それも仕方のないことだ。だが少し面倒なのは、

2015-03-10 20:38:10
ふゆ@かたな @fuyu_tr

それが、戦や遠征に行ってた主力部隊がいない時を狙って行ったことである。どんな人間でも主ならば従わなければならない宿命の彼らが、前任者を守るために介入しないようにとの策だったが、帰ってきたら主が変わっていたなんてとても信じられることではないだろう。「夜は業務の引き継ぎや伝達を行う」

2015-03-10 20:44:30
ふゆ@かたな @fuyu_tr

それでもそろそろ日は暮れるし、やることはやらねばならない。彼らの動揺を沈めて牽引するのも俺の役目だった。「最初の連作事項だ。近侍は日替わりで全員に行ってもらう」ざわ、と空気が揺らめくのを気に留めずに続けた。「だが今日明日は前任者の近侍に引き続いてやってもらう。……申し出ろ」

2015-03-10 20:48:07
ふゆ@かたな @fuyu_tr

すると燭台切と長谷部、薬研が視線を交わし合うのが見えた。「俺が、」「僕だよ」長谷部の声に被せるように燭台切が口を開いた。その金色の隻眼が暗い色を湛えて俺を見つめる。「分かった。それでは頼む。燭台切」そう口にすると、彼は何に反応したのか驚いたように目を瞬いた。「食事当番は」

2015-03-10 20:50:59
ふゆ@かたな @fuyu_tr

恐る恐る手を挙げる薬研や乱、短刀勢を見やると、彼らの肩が強張る。「よろしく頼む。当番は今日は平常通りにしてくれ。……薬研」「なんだ」冷たい声音だった。「手が空いたら食事や掃除が持ち回り制なら、その票を書いて提出してくれ。問題があるなら改善する」そもそも改善する気しかないが。

2015-03-10 20:55:02
ふゆ@かたな @fuyu_tr

「質問はあるか」一同を見据える。誰も身じろぎひとつしなかった。「では、解散。俺は自室にいる。出来たら呼びに来てくれ」瞳たちに見送られてその場を立ち去って俺は溜息を堪えた。暫くは全く気が抜けない生活だ。まずは。襖を開け放ち1番穢れた前任者の部屋の惨状に眉を潜める。「ダメだなこれは」

2015-03-10 21:01:17
ふゆ@かたな @fuyu_tr

ナニが行われていたのかが一目瞭然だ。ヘドが出ると思いながら、片っ端から捨て始める。髪の毛ひとつ残さない。出来る限り早く、あの前任者を塗り替えてみせる。

2015-03-10 21:03:31
ふゆ@かたな @fuyu_tr

(長谷部) 襖の向こうで気配がした。戸惑ったような間にこちらから声をかける。「入れ」「…失礼します」入ってきたのは長谷部だった。「食事の用意が……」顔をあげて部屋をみた長谷部の声が一度途切れる。全部捨てて余計なものを外に出してしまった部屋は俺が持ってきていた文机だけになっていた。

2015-03-10 21:29:38
ふゆ@かたな @fuyu_tr

「悪いが持ってきてくれ」「はい」「長谷部」「……何か」呼びかけてもこいつは眉ひとつ動かさない。こいつが一番厄介そうだなと思いながら言った。「主と呼べないなら無理に呼ばなくていい」目を見開く長谷部に淡々と言う。「呼ばれ方は問題じゃない」「では」動揺した声音で彼は言う。

2015-03-10 21:35:23
ふゆ@かたな @fuyu_tr

「なんとお呼びすれば」難しいことを聞かれてしまった。「お前にはこういうのは酷なのかもしれないが好きにしてくれ。だが、」長谷部をしっかりと見据える。「今は俺がお前の主だ。それは忘れるな」「……はい」また表情が消える。去っていく足音を聞きながら、すこし急ぎすぎたかと書類に向かった。

2015-03-10 21:46:27
ふゆ@かたな @fuyu_tr

(ボツネタ) 「なんとお呼びすれば」「……審神者の兄さんとか」「審神者の兄さん」「……旦那様とか」「旦那様」「……お館様とか」「お館様」「悪い。適当言った。思いつかない」「では、……ご主人様、と」「……」それはなんか別の印象があるな。

2015-03-10 21:46:56
ふゆ@かたな @fuyu_tr

(石切丸) 寝静まった頃を見計らって部屋を出る。なるべく薄着で誰にも出会わないように、起こさないように気配を消しながらゆるりと本丸を回った。「……誰だ」縁側を歩いている際に、予感がして小さく呟くと障子があいた。「君は敏いね」「石切丸」「穢れを祓って歩いているのかい」「敏いな」

2015-03-10 21:53:02
ふゆ@かたな @fuyu_tr

「君は心得があるようだったからね」縁側に出てくる石切丸との距離を測る。「お前からは敵意を感じないな」「あぁ。……私はどうやら前任者の好みではなかったようでね。皆ほど負の感情がある訳ではないんだ」「なるほど。それで選ばれたのか。……俺の懐に入り込む役目に」「君はちょっと敏すぎるね」

2015-03-10 21:56:17
ふゆ@かたな @fuyu_tr

「はぐらかせばいいのに」「君も、気付いても言わなければ良かったんじゃないかな」「試されているなら受けて立つ。誇りも覚悟もあるんでな」そう返すと、石切丸は笑った。「そんなに断言されると、信用してしまいたくなるよ」「安い信用なら要らない」「難儀な性格だね」「自覚してる」「本当かな」

2015-03-10 22:02:29
ふゆ@かたな @fuyu_tr

「直す気がないだけだ。……俺にはいくらでも近づいてくるといい。拒絶したりしない」では、まだ回ってない所があるんでな。そう言って身を翻す。「……何が君をそう駆り立てるのか、興味が出て来たよ」背後でそうつぶやかれた声は聞こえなかった。

2015-03-10 22:06:11
ふゆ@かたな @fuyu_tr

(燭台切) 俺は審神者としての経験はない。前任者は好きな刀しか使っていなかったようで、練度に随分差があるようだった。その差を埋めようと編成を行い戦場に送り出したのだが、第一部隊帰還と負傷の知らせにさすがに眉根を寄せた。部屋から出ていけば、泣きそうになっている五虎退を見つける。

2015-03-10 22:29:52
ふゆ@かたな @fuyu_tr

「五虎退」呼びかけるとびくりと肩を震わせて俺を見る。表情を隠せない子のようで、怯えた顔をされた。「怪我をしたと聞いたが、」「主。彼じゃない。僕が」現れた燭台切の服は敗れ、血が滲んでいるのが見て取れた。「違うんです!あの」「五虎退。僕は大丈夫だから」聞かせたくないというように遮る。

2015-03-10 22:32:34
ふゆ@かたな @fuyu_tr

それに首を振って五虎退は言った。「あの、燭台切さんは僕を庇ってくれたんです……!悪くないんです!叱るなら僕を叱って下さい……!」「何故?」首を傾げてみせると五虎退はえっ、と声を上げた。「編成したのは俺だ。全ての責任はお前達の主である俺にある」目を丸くして俺を見上げる五虎退に、

2015-03-10 22:37:42
ふゆ@かたな @fuyu_tr

肩を竦めた。「というのは格好つけ過ぎたな。でもそう思っている。……すまなかったな。次からはもっと良く練るとしよう」やはり、距離感があるとはいえ、他の男士達の意見を聞かず過去の実績だけで編成したのは間違いだった。「では燭台切、手入れ部屋へ」「あの」「ん?」するとまた顔を強張らせた

2015-03-10 23:06:57
ふゆ@かたな @fuyu_tr

五虎退が口を開く。「……僕も一緒に……」「僕一人で大丈夫。さ、主、行こう」「? ああ」強引な燭台切の様子に何かあるのだろうか。解せないと思いながら、手入れ部屋の戸を開けた俺は、即座に理解した。下衆が。と口にしなかっただけ褒めてもらいたい。何が行われていたのか考えたくもなかった。

2015-03-10 23:09:54
ふゆ@かたな @fuyu_tr

淀みきった空気をせめて入れ変えようと開けられる戸を開け放つ。ここに居たくない。しかし道具も設備もここにしかなく、俺は歯を噛みしめた。「主」「ん、あぁ。悪い。そこに」適当な場所を指示し、手入れ道具を持ってくる。燭台切の瞳が俺に向けられた。金色は濁っている。手入れをしている間、

2015-03-10 23:12:43
ふゆ@かたな @fuyu_tr

たまに痛そうに唇を噛みしめるだけで、彼は何も言わない。その姿に、俺は手を止めた。「燭台切」「何かな」「……お前に、最初の主命をやろう」すると、彼は何を思ったのか、く、と嘲笑するように口元を歪める。あぁ、この場所の記憶と、彼が今服を纏っていないことから、何か連想したのだろう。

2015-03-10 23:14:13
ふゆ@かたな @fuyu_tr

生憎、こちらはそんな気はないのだが。「痛い時は、痛いって言え」「……え?」「聞こえなかったのか?」「……」目を瞬く燭台切に、俺は言った。「お前は優しいし器が大きいんだろう。色々な物を引き受けて、背負っているのが昨日今日で良く分かった」「……」「だが、我慢するのはまた違う」

2015-03-10 23:16:22
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