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紫電P @sidenp
ちょっと仕事の合間に時間できたので、先日読み終えた #曹丕八十歳#曹丕80歳) の感想でもつらつら書こうか。 「いつか書きたい三国志」の @Hiro_Satoh さんが書いた、曹丕が八十歳まで生きたらというイフものの同人誌。 3guozhi.jp/o/fes.html
紫電P @sidenp
まず、三国志研究クラスタがまじめに作っただけあって史料からの巧みな換骨奪胎、各種歴史ネタの活用がとにかく膨大。これに関してはさすがと思わされる。加えて、吉川横山、蒼天、北方、SLGや無双など各媒体を元ネタにした場面も多く、幅広く三国志に触れていればいるほど楽しめたと思う(続く)
紫電P @sidenp
こう書けばわかるように、私のようなポジションの人間が一番面白さを享受できる創作だったと思う。実際面白かったし「違う違う、俺ならこう書くわ」と対抗心燃やさせてくれる場面も多かった。ただスタート地点にある「曹丕が予言通りに八十歳まで生きたら」というテーマが壁になっていた(続く)
紫電P @sidenp
#曹丕80歳 、つまり曹丕が266年まで生きて死の直前に天下を獲るとなるどうしても期間が長すぎる。末期武将以外は全滅してしまうし、かと言って曹丕が徹頭徹尾やる気で成功し続けると、40年もかからず天下統一をしてしまう。ということもあり、架空戦記としてはもどかしい展開も続く(続く)
紫電P @sidenp
作者本人にも捕捉されちゃったけど、世に30部くらいしかない同人誌だし別にネタバレしてもいいよねこれ……。
紫電P @sidenp
作中の魏は、史実の魏よりある意味どん詰まりとなる。曹丕が引きこもりモードで政治を見ない時期が長らく続いたり、長安と合肥をダブル失陥もするし、国内は内紛叛乱また叛乱でえらいことになる。もし蜀が主役なら、姜維あたりが魏を滅ぼしているだろう。最終的には、天下は取れるのだが(続く)
紫電P @sidenp
ほっといても240年代には内紛で勝手に衰退する呉(事実、二宮の変など大半の描写は省かれる。残当)はともかく、長安を奪った蜀と洛陽を死守する魏の決戦というのはファンなら胸が躍る展開ではあるだろう。ただ、そこは主軸ではないとみられることもあってか、戦闘面はスカッとしない(続く)
紫電P @sidenp
作品の前提と物語の都合上仕方のないことなのだろうけど、諸葛亮死後の蜀がひたすら単調なのは残念極まる。長安を取れていれば、蒋エンの多方面作戦がさらに生きるだろうし、費イも姜維ら好戦派に対してストッパーをかける理由はない。この辺りは、すっきりしなかった(続く)
紫電P @sidenp
ただ、この時期は曹丕が引きこもり、正始の政変に相当する事件が起こるか起こらないかという事態を起こすにはこうするしかなかったのかな、という受け止めも出来る。演義さえもすっ飛ばした、諸葛亮死後の空白の十数年をドラマチックに描写するのはやはり難しいのだろう(続く)
紫電P @sidenp
蜀との決着も曹丕本人は絡まず、叛いて滅ぼされる司馬昭一党により為された……のはともかく、諸葛亮健在時の布石があったにしろ、長安にいた劉禅が負ける要素が薄い段階で降るというのは肩透かし感が否めなかった。ただ「お前ならどう描くよ」と言われれば、長安以西ガチガチに固めた蜀を(続く)
紫電P @sidenp
滅ぼすなんて無理ゲーです、としか答えようがない。諸葛亮の思想を継承しているなら、長安を奇襲で囲もうが、水陸両路を使って涼州から援軍がやってくる。落とせない。なので司馬懿健在時に長安だけでも回復させるか、先に漢中落として孤立させます、くらいにしか言えないだろう(続き)
紫電P @sidenp
曹丕は齢を重ねて良くも悪くも素が出始めるが、皇帝としてのあり方をある意味一貫させたこと(これは八十まで生きられるという前提ゆえだが)、文学で兄弟や張華、陳寿らも絡んでくる展開は面白かった。一度作者が枯れさせた詩の才能が復活するのも、あのタイミングがベストだと思う(続く)
紫電P @sidenp
そこで、いわゆる架空戦記的な天下統一への道はおまけと考える。盛り上がりはどこか、おそらく曹丕の内面だ。家族と文学である。曹植と銅雀台で語り合うシーンが、間違いなく曹丕八十歳の最大の盛り上がりシーンだろう。見たかった魏ファンや曹丕ファンが多かったであろう、イフの具現化である(続く)
紫電P @sidenp
強いて言えば、曹操との親子関係についてのオリジナルの描写がもう少しあれば、一族絡みについてはもっと深みが出たかなとも感じる。ただ限られた原稿量でそれを何度かやるのは苦しかったか。いずれにしろ、曹操劉備をほとんど描かずに三国志ものを成立させる難しさも痛感させられた(続く)
紫電P @sidenp
つーか、やっぱ曹操と劉備あっての三国志であり、その系譜を継ぐ諸葛亮ら時代のメンバーよね。
紫電P @sidenp
脱線したので戻す。大ピンチからの一転攻勢怒涛の天下統一がすっきりしないものの、文学など戦以外の部分では架空戦記らしい楽しめるイフが盛り込まれている。では人物はどうか。挙げるとすれば、やはり司馬懿である。メンタルブレイク寸前になりつつ、曹丕の信頼に応え抜いたのは良かった(続く)
紫電P @sidenp
正始の政変を起こせたにも関わらず踏みとどまったシーンは、彼の見所だろう。それゆえに、兄弟で二度謀叛してあの結果になる司馬兄弟の残念ぶりが際立つ。司馬師が叛くのはそらそうだと思わされるが、弟の方は割と弁護しようがない。許す方も許す方で、後始末任された人は胃に穴が空きそうだが(続く)
紫電P @sidenp
また、このシリーズで謀叛と言えば、やはり曹叡である。ひたすらかわいそうなポジションだ。おまけに父親の袁氏を名乗って独立したと思ったら即暗殺である。独立の流れはおおっと思ったが、あまりに不憫すぎて唖然とする結末だった。曹丕も曹丕で、すぐ殺せるならなぜ独立まではやらせたのか(続く)
N @N_write
「本編で死ぬキャラが実は生存していた」という設定で二次創作してるの見るとその作家の属性がわかる。光属性は死んでしまったキャラが本来味わえなかった喜びや友情や恋や未来を描くのに対し、闇属性は「あそこで死んでおいたほうがよほどマシだった」という展開を用意してくる。
紫電P @sidenp
曹叡に関しては、思わずこのツイートを思い出してしまった。わざわざ叛かせて、不満分子ごと抹殺するってのは史実でも某小説でもあった話だが、特にそんな感じでもなかったし辛毘も張コウもそのままフェードアウトだし……。後始末クッソ大変だっただろうなあとかも気になってしまった(続く)
紫電P @sidenp
まあ曹叡に関しては、親世代の抱えるはずだった闇を一身に引き継いだ生贄なのかなあ、と解釈するしかないのだろうか。曹髦については、運命の逆転起こさせる辺りは架空戦記の王道でニヤリとさせられた。魏の人物では、文学ネタをやるのに個人的に結構好きな呉質が出なかったのは残念だった(続く)
紫電P @sidenp
蜀の人物は……全体的に蜀ファンにはつらい展開だったなあ、と。元々佐藤さんが蜀に辛い傾向があるっぽいから覚悟はしていたけど、本来より残念な死に様を迎える人が多い。最後まで生き延びたあの人も、234年のあのシーンのせいで評価は分かれそうな気がする(続く)
紫電P @sidenp
呉は諸葛恪がちょっと目立ったくらいで、例の剣で曇ったアル仲謀以外はあまりこれという人はいなかった気がする。ただ、ちょい役ではあるけど孫休がああいう役回りで出てきたのは非情に良かったと思う。鉄板の息子の命名ネタを織り込んできたのはさすが(続く)
紫電P @sidenp
#曹丕八十歳 には、キーアイテムとして「王髦の剣」という剣が登場する。これ自体は魏略にある鶏肋こと楊修が曹丕に渡した剣だ。作中では「王髦」という銘が入って剣の名前そのもの?になり、曹丕→曹休→孫権→諸葛恪→孫皓と渡る。多くの著名人物を傷つけ殺し、間接的なものも含めれば(続く)
紫電P @sidenp
劉曄や曹休、諸葛恪らの命を奪っている。砕け散る最期と経緯からすれば、若き日の曹丕の天下統一への執念という名の呪いがかかっているのだろうか。剣の名前に、性格面への影響を含めたそういう意味合いなどがあるのか、自分の学では残念ながらわからなかった(続く)
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コメント

紫電P @sidenp 2015年3月14日
まとめを更新しました。
紫電P @sidenp 2015年3月15日
まとめを更新しました。
まめ @mamesiba195 2016年2月14日
確かに、小説としては、スカッとしない展開や無理矢理が多いのですが(特に蜀関係)。後漢末ではなく三国時代そのものをテーマにした架空小説として、軍事や外交の天才ではなく、文学者であり、理想主義者である癖に、性格は決していいものではない曹丕というキャラを主人公として、興味深い優れた作品と感じました。三国志の最後までを踏まえた展開は、かなりコアな三国志好きを楽しませるに足るものと思います。
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