Final Statue Fantasy 1

原作:Sekikumo氏 翻訳:かものはし氏(@kamomoo
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かものはし @kamomoo

どもども。Sekikumoさん力作「Final Statue Fantasy」翻訳許可いただきました。これから再翻訳はじめまっす。

2015-03-11 22:52:38
かものはし @kamomoo

【石化】Final Statue Fantasy 1-1 幕間【物語】

2015-03-11 22:54:15
かものはし @kamomoo

時空の狭間に浮かぶ荘厳な居城。玉座に腰掛けた城の主——魔王アザラは退屈していた。目の前には、最高位の従者であるサキュバス、ムラサキが跪いている。従者が用意した巨大な水晶玉にはとある光景が映し出されている。ムラサキが口を開く。1

2015-03-11 22:57:31
かものはし @kamomoo

「ご主人様、水晶玉をご覧ください。今宵わたくしは最高のショーをご用意致しました。異世界から招かれた10組の美闘士達。彼女たちは数多の試練に立ち向かい、怪物をも退けるでしょう。しかし最後には、ご主人様の所有物となることが運命づけられております」2

2015-03-11 23:00:55
かものはし @kamomoo

「ふぅん、そう。たしかに愉しそうね。でもそのたぐいの余興なら、私が毎晩眺めていることを知っているでしょう?」3

2015-03-11 23:03:41
かものはし @kamomoo

城の主は、気怠げに部屋の中を見渡す。玉座を囲むように、様々に美しい戦士達の石像——魔城に挑み、敗北し、罠に捕らわれた女性達が、佇んでいる。神々に比類する強大なる魔王アザラは、過去千年もの間、遍く次元から美しい女性達を連れ去り、悠久の美を与えることが至上の楽しみだった。4

2015-03-11 23:06:17
かものはし @kamomoo

「ふふ、もちろん存じ上げております。しかしご期待ください。今宵の宴はわたくしと眷属達が入念に準備したものです。彼女たちには、ご主人様の予想を超えるほどの素敵な結末が待ち受けております」5

2015-03-11 23:08:47
かものはし @kamomoo

「ふーん。石に変わっていく女達を見ることに飽きたことはないけど、新鮮なサプライズがほしかったの。ムラサキ、いい趣向ね。楽しめそうだわ」6

2015-03-11 23:11:54
かものはし @kamomoo

「もちろんです、ご主人様。それでは始めましょう。水晶玉にご注目ください」7

2015-03-11 23:14:47
かものはし @kamomoo

【つづく / 1-2 / FF4 / ローザ / リディア / ポロム】

2015-03-11 23:17:27
かものはし @kamomoo

【石化】Final Statue Fantasy【物語】 >> 1-2 >> 広間 FF4 / ローザ / リディア / ポロム kamomoo.deviantart.com/art/Final-Stat…

2015-03-13 06:22:48
かものはし @kamomoo

「なんだか不気味ね…」純白のドレスに身を包んだ白魔道士——バロン国王女、ローザは物憂げに辺りを見回す。彼女には10代の息子がいるが、その美貌にはいささかの衰えもみられない。9

2015-03-13 06:26:55
かものはし @kamomoo

「気をつけて。この部屋、悪い魔法がかかっているみたい」緑髪の召喚士、リディアは周囲の様子をうかがいながら、仲間に向けて忠告する。彼女が過ごした召喚士の里は時の流れが常とは異なっていたため、その姿にはいまだ幼さが残っている。10

2015-03-13 06:32:15
かものはし @kamomoo

「慎重に進みましょう。わたくし達、どうやってここに来たかも覚えていないのですから…」ポロム—かつて少女だった白魔道士は、いまや美しい女性へと成長していた。ポニーテールに結われた桃色の髪が、彼女が着ている同色の魔術衣に映えている。11

2015-03-13 06:37:57
かものはし @kamomoo

「みんな注意しなさい。この彫刻、もしかして…」この部屋は広間のようだ。通路の両脇にはいくつもの大理石像が台座に飾られている。いずれも艶やかな女性の裸婦像だった。恐怖、不屈、驚愕。様々な表情がその顔に刻まれている。まるで今にも動き出しそうだ。12

2015-03-13 06:44:07
かものはし @kamomoo

二人の白魔道士は互いに目配せし、解呪の魔法を唱えた。……何も起こらない。白魔道士達は胸をほっとなで下ろした。しかし——かつてポロムがそうだったように、エスナが必ずしも全ての石像化に対して有効ではないことを、彼女たちは知っていた。13

2015-03-13 06:49:38
かものはし @kamomoo

「先に進もう。この石像が元は人間でも、いまのあたし達じゃ助けられないよ」リディアが仲間達を促す。奥にはこの部屋の出口が見えている。ポロムがリディアの後ろに続く。ローザは弓を構え、側面に注意を向けながら着いてくる。14

2015-03-13 06:54:19
かものはし @kamomoo

扉は目の前だ。リディアが出口に近づいたその瞬間、突如、鋭い悲鳴が上がった。リディアは振り返る。石像の一体が突然動きだし、ローザの肩に組み付いた。王女は逃げようと激しく身をよじるが、石像の力は強くがっちりと彼女を掴んで離さない。15

2015-03-13 07:00:08
かものはし @kamomoo

ローザを抱えたたまま、動く石像はあっという間に、空の台座の上に移動していた。ローザは自身が辿る運命を感じ取りながらも、恐怖に屈しなかった。弓を携える彼女の瞳には強い意志が浮かんでいる。彼女はバロン国王女——例え石化してもそれは変わらない。16

2015-03-13 07:05:58
かものはし @kamomoo

白色のうねりが王女の身体を侵食していく。それは腕を這い、首筋へ、そして美しい相貌へと広がっていく。彼女の表情はいまだ勇敢なままだった。最後にブロンドの長髪を白く染めあげ、ローザは完全に石化した。硬化したドレスはボロボロと崩れ落ち、艶めかしい裸体が露わになる。17

2015-03-13 07:12:56
かものはし @kamomoo

「う、嘘…エスナが効きませんわ!」「ローザ…ごめんね、助けられなかった…」ローザの石化…解呪魔法すら効かない戦慄の出来事に、残された二人ははひどく取り乱していた。王女を襲った石像は役目を終えたのか、自分の台座に戻るとポーズを取り動きを止めた。18

2015-03-13 07:22:51
かものはし @kamomoo

部屋は静寂に包まれた。ローザを含め、石像達はいずれも微動だにしない。ポロムは——この部屋の犠牲者同様、かつて石化し、広大な城に取り残された自身の姿を思い出す。彼女の背筋をゾクリと悪寒が走る。19

2015-03-13 07:29:13
かものはし @kamomoo

「行こう。きっとこの城のどこかに、石化を解く方法があるはずだよ…!」悲しみにくれる仲間の肩に、リディアはそっと手を触れた。白魔道士はいくらか平静を取り戻したようだ。リディアに顔を向けたその瞬間、ポロムの脳裏は不可解な感情に支配された。20

2015-03-13 07:35:31
かものはし @kamomoo

「ああ…リディア。わたくし、すごく怖いわ…」ポロムはもう一人の少女に向き直ると、その胸に抱きつき、膨らみに顔を埋める。「心配しないで…約束するよ。あたしが守るから、今度こそ…」この時リディアもまた、説明のつかない感情に襲われていた。21

2015-03-13 07:41:48
かものはし @kamomoo

リディアは、寄り添う少女の頬に優しく手を添えると、わき上がる衝動に従い、ゆっくりと顔を近づける。彼女はポロムの額に柔らかな唇を寄せた。「お願い…一緒にいて…」少女達は互いの手を取り歩き始める。大理石の裸婦像と化したローザを一人残して。22

2015-03-13 07:49:57
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