「第二の生産性」

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樋口耕太郎 @trinity_inc

安易な「○○対策」を求める声が喧しいが、伝統的な金融政策も財政政策も、現在のデフレ・不況対策として全く機能しないことは既に明らかだろう。問題(不況)の本質は社会全体の生産性の低下であるためだ。しかしながら、構造改革によって生産性が回復するという新自由主義の前提は甚だ疑わしい。

2010-10-11 22:24:00
樋口耕太郎 @trinity_inc

規制緩和によって競争原理なるものを強化しても、期待するほどの生産性は生まれない。資本主義のモデル自体が機能不全を起こしているためだ。商品とサービスの質を下げ、原価を下げ、価格を下げて顧客層を広げ、資本と資源を大量に調達しながら規模・地理的に拡大して利益率の低下をカバーする・・・

2010-10-11 22:28:28
樋口耕太郎 @trinity_inc

一事業(一店舗)あたりの利益率は低下傾向。これをカバーするために、大量の借入(レバレッジ)で資本に対する収益率を高め、資本市場から大量の資本を調達して頻繁なM&Aでポートフォリオを拡大し続け、膨れ上がった資本コストをカバーするために主に人件費を削って利益を確保する・・・

2010-10-11 22:33:53
樋口耕太郎 @trinity_inc

結果として、正社員が大量に派遣社員となり、いくら働いても収入が伸びず、解雇のリスクが高まり、家庭が不安定になり、教育が破綻し、共同体が崩壊し、これに高齢化社会のコストと介護問題がのしかかる。まもなく、食料の質が健康に与える大問題も表面化するだろう。

2010-10-11 22:36:32
樋口耕太郎 @trinity_inc

重要な事実だが、我々の政府も行政も経済学者も、人を幸福にするという意味での社会の生産性を回復する方法を誰も知らないのだ。どの処方が正しいのかと無駄な議論を続けるよりも、我々はまず、問題の本質を理解していないということを認識すべきだろう。

2010-10-11 22:39:27
樋口耕太郎 @trinity_inc

人を幸福にするためには、健全な家庭と共同体が成立するための必要条件、すなわち、安定的で十分な報酬、自由な労働と生活スタイル、人間関係を深める時間、がどうしても必要だ。人と社会に時間を取り戻すために、資本主義社会の常識的な生産性(「第一の生産性」)に拠ってはそもそも不可能なのだ。

2010-10-11 22:49:13
樋口耕太郎 @trinity_inc

それでは、人を幸福にする生産性(「第二の生産性」)とはどのようなものだろう?恐らく、資本主義の常識の正反対だ。すなわち、①サービスと商品の質を上げて価値を高めながら価格を上げ(価格<価値)、

2010-10-11 22:51:58
樋口耕太郎 @trinity_inc

② コントロールを手放し、人を活かし、人間関係を改善する「経営イノベーション」によって顧客層を引き上げ、売上を平準化し、顧客離反率を下げ、口コミを伸ばし、高単価・高収益率の売上を伸ばすと同時に、費用面では人件費を上げ、労働時間を減らしながらその他の運営コストを大幅に引き下げる。

2010-10-11 22:52:12
樋口耕太郎 @trinity_inc

このメカニズム(「第二の生産性」)を活用すると、事業規模の拡大が不要で(やろうと思えばいつでも可能だが)、売上あたりの事業活動が減少するために真の意味で環境にやさしく、多くの追加資本を必要とせず(むしろ債務が大量に返済可能)、

2010-10-11 22:53:08
樋口耕太郎 @trinity_inc

大数の労働者の生活水準を一気に改善し、労働の自由度が増すために、高齢者でも無理なく働くことができ、労働時間やストレスが減り、顧客や地域から感謝されて仕事の意味や幸福度が高まり、家族と共同体の絆が回復し、本人のみならず家族の健康にも寄与して医療・介護・社会福祉費用を削減する。

2010-10-11 22:55:25
樋口耕太郎 @trinity_inc

因みに、「第二の生産性」はその特性上、売上高利益率が低く、大量の従業員を抱える労働集約サービス業、それも資本集約的な航空会社、ホテル、病院、金融などの業態において特に効果的な手法だ(もちろん他の業種においても十分な効果は生まれると思うが)。

2010-10-11 22:57:01
樋口耕太郎 @trinity_inc

これらの業態は一般に競争の激しい業種だが、世の中に蔓延している「丁寧だが嘘だらけ」のサービスとの強烈なコントラストと相俟って、差別化戦略としても著しい効果を発揮する。

2010-10-11 22:57:27
樋口耕太郎 @trinity_inc

次世代社会において、社会のマクロ変革の鍵はミクロへの対処にある。

2010-10-11 22:58:31
樋口耕太郎 @trinity_inc

アメリカの有名な心理学者、エイブラハム・マズローは、「個人(従業員)にとっての利益が同時にすべての人間(会社)にとっても利益となるような文化」、すなわち、利己主義と利他主義という二分法が解消された状態を、シナジーと定義している。

2010-10-07 11:02:42
樋口耕太郎 @trinity_inc

我々の社会では、立場が違えば利益が対立するという思い込みがあまりに強くなりすぎていると思う。沖縄のホテル業界で言えば、ホテル、代理店、航空会社の三者は利害の対立を前提としており、その世界観を生きる限り、他人の損は自分の得ということになる。

2010-10-07 11:03:10
樋口耕太郎 @trinity_inc

しかしながら、恐らくより大きな現実は、この三者は一つの利害を三つの姿で分け合っているに過ぎず、お互いに目指すべき方向が実は一つしかないのだ。矮小化された対立を抜け出し、このような世界観に転換することで、飛躍的な生産性を生まれ、その果実を社会で分け合う。こ

2010-10-07 11:03:51
樋口耕太郎 @trinity_inc

これがマズローに通じる大岡越前の「三方良し」の概念であり、私が心に定めたトリニティ(三位一体)の基本理念でもある。

2010-10-07 11:04:45
樋口耕太郎 @trinity_inc

この世界観を生きると、目の前にいて利害が対立する第三者(に見える人物)は、実は自分と利益を共にする存在であり、自分自身の鏡になっているということが分かる。対立するものの心の中に自分との接点を見出す、人間関係に真正面から向き合うことだけが社会を救う。

2010-10-07 11:12:27
樋口耕太郎 @trinity_inc

恐らく最も重要なことは、人間関係や社会における対立が解消するとき、莫大な生産性が生まれるということだ。この「第二の生産性」は資本、資源、時間を必要とせず、単位資本あたりの収益が無限大になる。・・・そして、我々の社会に今最も必要なものこそ、(第二の)生産性なのだ。

2010-10-07 11:21:10
樋口耕太郎 @trinity_inc

人間関係に働きかける方法は、基本的に二つしかない。愛を提供することと、利害を提供すること。人生の妙味は前者の方が圧倒的に費用対効果が優れているということだろう。愛が生産性を生む所以である。

2010-10-07 11:28:01