廃棄物日誌 まとめその五

廃棄物13号@カクヨム連載中 @eibis_splicer

<カンムスアイシマスカ？ YES はい> #廃棄物日誌

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高雄型重巡洋艦によって修復されたナガトワンダー。 全ての照明が消え、船内では生体人形とスタッフ、そして処理場提督が死体のように倒れ伏していた。先程まで死体だった。 その内の一人が、海水を吐きながら起き上がった。 #廃棄物日誌

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彼が立ち上がると、近くで倒れていた生体人形<エイプリル>も起き上がった。 そして次々とスタッフや生体人形が起き上がっていく。すると、照明が点き、コンソールやモニターにも光が灯る。 機関が始動し、通常ではありえない速度で航行可能までの出力になった。 #廃棄物日誌

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「う、うぅ…」処理場提督が起き上がる。そしてアイマスクを掴むと、思いっきり引きちぎった。 紅と翠の瞳は色が逆になっていた。右目は翠、左目は紅に。 「私達、死んだ筈じゃあ…まぁいいわ。貴方達」提督は手を前に出し、言った。 「ぶち壊して差し上げなさい」 #廃棄物日誌

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直後、46cm三連装砲が吼えた。 いつの間にか装填された対深海棲艦用拡散榴弾が扶桑の上空で炸裂。 40mmの榴弾が雨のように彼女に降り注ぎ、粉々に粉砕した。 「3時、距離1250、正規空母」先程と違って冷静にスタッフが報告する。 #廃棄物日誌

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「二番砲塔、焼夷榴弾」「撃ちます」 41cm三連装砲が火を噴く。 提督の指示通り三式弾を改造強化した焼夷榴弾が発射される。それも対深海棲艦用の、面制圧兵器だ。 加賀の前に、超高熱の炎のカーテンが降りていく。花束の代わりに、榴弾も降ってくる。 #廃棄物日誌

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人生もとい艦生の巻く引きにはあまりにも残忍なカーテンである。 「ｰｰｰｰｰっ！」全身を焼かれ、加賀が絶叫する。絶叫と同時に榴弾によって吹き飛ばされた。 「お頭！12時、深度80、伊号潜水艦！」ソナー手が言う。「音響追尾魚雷でぶち壊すのよ！」 #廃棄物日誌

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侵蝕魚雷が外され、艦娘と深海棲艦の動体音を感知して追尾する音響追尾魚雷が発射管に装填される。 「1,3番注水。完了と同時に撃ちなさい」「あいあいさー」間の抜けた声でスタッフが答える。同時にヲ級の杖が彼の頭に叩きつけられる。 #廃棄物日誌

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「きゅうそくせんこー！」イオナ人形が言うと、ナガトワンダーが言葉通り潜行。 魚雷が尽きて何も出来ないイクに顔を合わせるように、船体を斜めに傾ける。その姿に、イクは小さな悲鳴を上げる。六門ある発射管の内、二つが開いた。 #廃棄物日誌

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発射と同時にイクが逃げる。 発射された二本の魚雷はイクがいた場所を通り抜けるが、イクのアクチェータノイズを感知して進路を変更し追尾。後ろから彼女に追突し爆発した。 船体を水平に戻して浮上する。「ふじょー」イオナ人形が言う。 #廃棄物日誌

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浮上すると同時に、長門と金剛から砲撃を受けた。船体が右に傾くも、煙突は壊れなかった。 「くっ、死に損ないめ…ぶっ壊しなさい！」提督が叫ぶ。三番砲塔の41cm三連装砲が長門達の方を向き、砲撃した。 #廃棄物日誌

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「くそ、来るぞ！」「…」金剛が長門を押し出す。尻餅をつく長門。しかし砲弾からは回避できる場所にいた。 問題は金剛だ。彼女はもう殆ど動く事が出来なかった。「金剛！」長門が呼び掛ける中、金剛は長門の方を向くと、いつものように笑った。 #廃棄物日誌

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金剛の身体が、長門の方へ伸ばした手を残して消し飛んだ。 同時に、長門の頭に15.5cm砲弾が命中しそのまま彼女の頭部をもぎ取った。 「近くに反応ありません」「大和を…いえ、おそらく島ね。島に向かって」 「お頭！8時距離2500辺りに船の反応があります」 #廃棄物日誌

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「船？」「恐らく護衛艦じゃないですかね、対艦ミサイルでも撃つつもりでしょうか」「なら、ぶち壊すまでよ。反応があるところまで向かいなさい」 ナガトが向きを変え、船の反応がある場所へ向かった。 #廃棄物日誌

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一方、護衛艦船内。 長門達が乗り捨てた護衛艦の中では、木曽と五十鈴がコンソールやキーボードを叩いていた。 「幽霊戦艦め！本物の幽霊船になりやがった！」「喋ってないで早くして！こいつに積まれてる対艦ミサイル全弾を撃ち込めば今度こそ…！」 #廃棄物日誌

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その時、ドアをノックする音が聞こえた。二人がドアの方を向く。 もう一度誰かがノックする。二人はそれぞれの武器を構える。 それから暫くしてから、凄まじい轟音と共に五十鈴の首に大穴が空いた。 「五十鈴！」木曽が叫ぶ。 #廃棄物日誌

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再び銃声にしては大きすぎる音が鳴り響いて、木曽の右腕を撃ち飛ばし左胸に巨大な穴を作った。 「なん…だと…？」驚愕と困惑の顔色を見せ、木曽は崩れた。薄れ行く意識の中、穴が空いたドアが開き黒いドレスを着た女性が入ってくるのを見た。 #廃棄物日誌

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「…二人だけ？」S&W M500をホルスターに挿しながら処理場提督が言う。劣化ウラン高速徹甲弾なら、鉄製のドア越しからでも艦娘の身体を破壊できる。 彼女の足下に倒れている五十鈴と木曽を穿ったのはその弾丸だ。 #廃棄物日誌

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「…」辺りを見回して、彼女は二人の死体を跨いで船を後にする。 護衛艦に張り付いたナガトワンダーが、ゆっくりと離れて改めて島へ向かった。 島に聞こえるように大きな汽笛を鳴らしながら。 #廃棄物日誌

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<テイトクアイシテマスカ？ はい　YES> 続く #廃棄物日誌

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ゴミ捨て場の佐世保処理場でも桜は沢山咲くのね。満開よ。 スタッフ達はエイプリルフールか花見かどっちを先にやるかで悩んでるみたいだけど、今日がエイプリルフールなんだから明日でいいんじゃないかしら。 #廃棄物日誌

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所でエイプリルフールネタは何にするの？聞く私もおかしいけど。 それは秘密なのね。まあいいわ。花見は結局いつになったの？ あいつが戻ってきたらするのね。分かったわ。 #廃棄物日誌

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再開 #廃棄物日誌

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汽笛の音が聞こえる。大和は砂浜で子供のル級やリ級と遊んでいた。 汽笛が聞こえると、子供達は森の方へと逃げてしまった。 迎えが来たのかも。と汽笛の方へと歩いていく大和。すると彼女の前に、巨大戦艦の影が現れた。 艦首の近くに、誰かが立っていた。 #廃棄物日誌

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「汽笛の音だ。今度こそ終わったんだ。さぁ行こう。貴方も、皆と話せばきっと変わる」汽笛の音は提督と棲鬼の場所まで聞こえた。 「それは洗脳ではないか？まぁいい。お前達が勝ったのなら、私は同行するべきだ」そう言って、杖をつきながら歩き出す棲鬼。 #廃棄物日誌