セキヤとタカハシ

ふたりはリーマン。
1
添嶋譲 @literaryace

やっぱネクタイしてるほうがかっこいいとセキヤ。慣れない打ち合わせに変な汗をかいたタカハシからグーパンチされる。「カッコで決まるんなら苦労せんわ」でも取引先の女子から問い合わせを受けることが多いのも事実。もっと積極的になってもいいんじゃないの? とは言えないけど。 #twnovel

2015-06-24 20:36:21
添嶋譲 @literaryace

「暑い!」セキヤがあんまり騒ぐので、仕事を切り上げてビヤガーデンなんぞに来てみた。タカハシと二人ではなくて十人くらい連れだってである。ヤマダさんも一緒だ。「タカハシー、肉うまー」ニコニコと食べる様はまんま子どもだ。こぼすよと世話される姿は親子のようだ。内緒だが。 #twnovel

2015-06-04 18:51:27
添嶋譲 @literaryace

「客なのになんつーカッコで寝てんだ風邪ひくぞ」セキヤの頬を軽く叩いて起こす。お腹すいたというメッセージが送られてきたからだ。散乱する画材を踏まないように入るのはいつものことだが面倒だ。掃除手伝うか……タカハシは描きかけの絵とセキヤを見比べ、変わらないな、と思う。 #twnovel

2015-05-15 19:17:39
添嶋譲 @literaryace

「あちぃ」ビヤガーデンのチラシを持ったセキヤがタカハシの机でヒラヒラさせる。「明日みんなで行くんだけど、タカハシも来いよな」眉間にシワが寄るタカハシ。「行かない」「みんなで行くんだけど、ヤマダさんも一緒」拒否権はないようだ。「わかったよ」もう笑うしかないようだ。 #twnovel

2015-05-14 20:45:44
添嶋譲 @literaryace

「なに泣いてんの」時間が空いたからと連れてこられた映画で泣くと思わなかった。タカハシはシャツの袖で涙を拭く。「お前こういうのいつも見るのか」聞いてもセキヤはニコニコするだけだ。「一緒に見たかったからな」お前。からかわれた気がして不機嫌になる。「タカハシかわいい」 #twnovel

2015-05-12 21:23:53
添嶋譲 @literaryace

「やっぱ温泉はいいわー」思いきり伸びをするセキヤ。連休を利用して旅行に出かけている。「まだ終わんないの?」タカハシはパソコン持ち込みで仕事してる。「サーバのメンテ終わんなかったんだよ。失敗したらソッコー戻りだな」なにそれつまらん。機嫌が悪くなる。と。「うっしゃ」 #twnovel

2015-05-04 00:28:43
添嶋譲 @literaryace

フードフェスになぜか三人で来ている。ヤマダさんに誘われて、タカハシもセキヤもなぜかビール片手に肉を食べていたりする。「俺らでいいんすか?」「ふたりといるとなんか落ちつくしね」喜んでいいのかどうか複雑な返事だ。ふたりの手が止まる。「ヤマダさんて彼氏いるんでしょ?」 #twnovel

2015-04-26 23:27:58
徒川ニナ @adagawa_n

ディスプレイと睨めっこするタカハシの眼鏡をセキヤが奪う。「うわ、度強っ」レンズの向こう側で顔を顰めるセキヤに、ずいっと顔を近付けて文句を言った。「返せよ」「何だ、裸眼でも見えるんじゃん」「お前の顔くらいはな」取り返したセルフレームには、僅かな温もりが残っている。#twnovel

2015-04-20 19:19:40
添嶋譲 @literaryace

セキヤは営業だ。得意先から発注も文句も引き受けてくる。チャラさとは裏腹に本当はかなり疲弊している。「疲れたにゃあ、はい」「つ、疲れた、にゃあ」「よくできました。何か食うか」タカハシの慰め方は強引だが、それはそれで嬉しかったりする。周りの視線には気づいてないけど。 #twnovel

2015-04-19 21:17:22
添嶋譲 @literaryace

市の公募展に飾られた一枚の絵。セキヤが応募したものだ。「やるじゃん、画伯」「もう少し時間欲しかったけどね」営業で走り回っていてそんなことしてる暇もなかなかなかったはずだ。部屋に散らかった画材がそう言っている。タカハシは知らないふりをするけれど。「祝勝会やるか」 #twnovel

2015-04-19 21:07:36
添嶋譲 @literaryace

タカハシは愛想のいい顔はできないから好かれない。寂しくなると赤ちゃんの頃から持っているクマのぬいぐるみを抱えて眠る。知っているのはセキヤだけだ。「代わりになってもいいよ」と言ったのを忘れてないのか、酔った時にはクマの代わりにさせられる。これはセキヤだけの秘密だ。 #twnovel

2015-04-15 00:32:48
添嶋譲 @literaryace

小学生のころ、毎日のように泣かされていたセキヤに手を差し伸べたのはタカハシだ。他になにもするわけでもない。一緒にいて本を読むだけだったり、ひたすらスーパーマリオをやるだけだったりだが、セキヤはずいぶん救われた。タカハシの無口で不器用な優しさは偉大だと思っている。 #twnovel

2015-04-15 00:08:10
添嶋譲 @literaryace

ヤマダさんは食べ方が綺麗だ。でもずっと食べてる。「タカハシさん、大食いだなって思ってるでしょ」図星だ。ビールを吹きそうになる。「なんだよ汚ねえなあ」「すまんすまん」顔が赤いのはお酒だけのせいではないらしい。セキヤは鈍感なフリをする。誘ったのはセキヤのほうだけど。 #twnovel

2015-04-11 22:48:19
犬塚我区 @kanpanella

@literaryace セキヤさんがこう言い出した時のタカハシさんの反応が犬塚の脳内だとこうなります(笑) pic.twitter.com/Srd0FHk7m1

2015-04-07 23:03:55
拡大
拡大
犬塚我区 @kanpanella

@literaryace 眼鏡をとったタカハシさんは綺麗。ということを言い張りたかっただけのイラスト… pic.twitter.com/I54M1n1kmV

2015-04-07 22:51:13
拡大
添嶋譲 @literaryace

「勝利」セキヤはブイサインをして報告する。先日のプレゼンはうまくいったようだ。タカハシのアドバイスが効いたのか、逆転勝ちだったらしい。「あれ、どこ情報?」缶コーヒーを差し出して礼を言う。気になることもついでだ。「大嫌いな同級生がいるから」笑わないタカハシは怖い。 #twnovel

2015-04-06 23:58:45
添嶋譲 @literaryace

セキヤはさっきからずっとニヤニヤしている。「なんだよ」タカハシが聞いても何も答えない。「二日酔いとかない?」「大丈夫だけど?」「じゃあいい」タカハシはなんのことかわからず、不満そうだ。「んだよ」「タカハシかわいい」タカハシの眉間に皺が寄る。わけわかんねえヤツ。 #twnovel

2015-04-04 13:05:03
添嶋譲 @literaryace

さみしいから一緒にいてと言った。そんなこと聞いたの初めてだった。ずっと我慢してたんだろと茶化し気味に聞いたのに返ってきた言葉は「うん」だけだった。俺みたいな貧弱な体でも寄り添えばそれなりに効力はあるらしい。狭い場所でしばらくハグをしたら、すぐに眠ってしまった。 #twnovel

2015-04-04 11:55:34
添嶋譲 @literaryace

朝起きたら目の前にセキヤがいた。状況を把握できなくて焦るタカハシ。起こさないようにベッドを出て、冷蔵庫をあさる。なんもないよな。辿った記憶は何もない。たぶん。 #twnovel 歓迎会のあとはっきりしないけど、部屋の中の様子がこれだから、グダグダだったのは多分。なんか用意するか。

2015-04-04 10:55:38
添嶋譲 @literaryace

「タカハシさんて、セキヤさんの前だと笑ったりするんですね」社食でヤマダさんに話かけられる。ヤマダさんは社内でも有名な美人だ。冴えないタカハシとチャラいセキヤなんか興味ないと思っていた。「そうですか?」セキヤの態度はいつもどおりだ。「二人に割って入るの難しそう」 #twnovel

2015-04-03 19:22:18
添嶋譲 @literaryace

セキヤの目が赤い。「お前んちの犬がどうかしたか?」「ゴミが入って痛い」タカハシは覗きこむ。あーこれか。痛いわな。そっとティッシュでゴミを取った。「しばらくは涙出るかもな」「タカハシに泣かされたっていう」「お前は馬鹿か」何かを期待する周りの視線に二人は気づかない。 #twnovel

2015-04-03 12:31:13
添嶋譲 @literaryace

昔「タカハシ怖い」と女子に言われたのをまだ気にしている。黙っているだけで機嫌が悪そうに見えるのだ。タカハシは落ちこんだ。一番好きな人に言われたからだ。人知れず悩んでメガネをかけた。目が悪いからと言い訳してごまかすために。その日以来メガネはタカハシの防具となった。 #twnovel

2015-04-01 16:34:11
添嶋譲 @literaryace

「俺結婚するわー」セキヤはカラカラと笑う。誰がどう見てもエイプリルフールの冗談だ。スルーも可哀想だと適当に質問するタカハシ。「そうか。それじゃおれは失恋したんだな」「え?」焦るセキヤ、表情一つ変えないタカハシ。「お前のこと好きだったんだ」どこまでが嘘なんだ? #twnovel

2015-04-01 00:44:28
添嶋譲 @literaryace

セキヤは今日も道場にいた。なんで毎日いるんだよ。詰め寄られる。「タカハシのこと好きだから」さらりと答えたのが、二時間後には学校中に広まっていた。「セキヤお前」「別に嘘は言ってないよ」あのことを思い出してタカハシは困っていた。セキヤが酷い目に遭わなければいいけど。 #twnovel

2015-03-27 20:56:58