意識の低い就活生花宮の世界

5年前の戦いの結果がコレかよ…
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意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

「どうですか?」 「知らねぇよ!!」 黒子が更衣室から出てきた。 「突然呼び出されてムリヤリ連れて来られて、どーもこーもあるかよ! 就活スーツ選び付き合うなんて一言も言ってねぇだろーが!」 「なんでですか?」 「オレは暇じゃねぇんだよ」 「花宮さんにはもう何もないじゃないですか」

2015-03-19 11:00:11
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

黒子の頭の天辺から足の爪先まで視線を流す。 「七五三だな」 「傷つきました。ボクもうあの本屋のバイト辞めます」 「勝手にしろ。スーツに着られてる。背伸びしてM選ぶからだ、バァカ。Sで十分だろ」 「そんなに小さくないです」 「小さめの方がスマートな印象になんだよ」 「スマート。笑」

2015-03-19 11:05:05
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

「つーか、イマサラ就活スーツ買うとか意識低すぎだろ」 「成人式用に買ったものを持ってるには持ってるのですが…大人になったらマッチョになる予定で、大きめのサイズを買ってしまったので、就活には不恰好で」 「なんで同じ過ちを二度繰り返そうとすんだよ」

2015-03-19 11:07:15
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

「就活でピンクのタイはない。なんで地味なクセに服の趣味だけ微妙にチャラいんだよ」 「遊戯王みたいな妙な鎖を常時巻き付けてる人にとやかく言われたくありません。そういえば今日はメンナク系じゃないんですね。白い服持ってたんですか」 「白と黒の狭間にある伊達ワルがオレに呼びかけてんだよ」

2015-03-19 11:10:07
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

「オラ、無難にしとけ」 更衣室のカーテンに手を突っ込んで再着替中の黒子に赤地に白と黒のストライプが走るネクタイを渡した。 「花宮さんも高校のユニフォームと似た色ですよね」 衣擦れの音に紛れて中からくぐもった声が聞こえた。 「あぁ?」 「だとしたら、ボクにはこの色を選ぶ資格がない」

2015-03-19 11:15:04
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

「やっぱりボクの知る限り一番就活に詳しい人を連れてきて良かった。あ、次25㎝履きたいです」 黒子に試着用の靴ベラでつつかれた。 「間接的に足蹴にするとははいい度胸だなぁ?」 「ボク一人じゃ店員さんに気付かれませんし。このあと古本屋行く予定なんで早くしてください」 「知らねぇよ!」

2015-03-19 11:20:20
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

「じゃあ神保町に移動しましょうか。ブックカフェ楽しみですね」 初耳なんですケド。まるでハナからそういう予定のような言い草だ。 「だから知らねぇよ!」 買った就活スーツ一式をコインロッカーに詰めながら黒子が振り向いた。 「行かないんですか? 古書読み放題ですよ?」 「仕方ねぇな!」

2015-03-19 11:30:21

意識の低い就活生花宮の理由 http://togetter.com/li/733680
意識の低い就活生花宮のバスケ(上) http://togetter.com/li/743174
意識の低い就活生花宮の復活 http://togetter.com/li/776522

意識の低い就活生花宮の不調 http://togetter.com/li/784029
意識の低い就活生の会合 http://togetter.com/li/793052

意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

黒子が言う店は古書店街から少し脇にに入ったところにあった。オレの希望も聞かずに黒子はさっさとカフェオレを2つ頼み、2階のカフェスペースへ上がった。品揃えはまぁまぁだ。平日の昼間だからか寂れてんのか客はオレ達しかいなかった。人と向かい合って読書すんのは嫌だ。背中合わせの席に座った。

2015-03-19 12:20:07
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

2冊読み終えたところで、いつの間にか置かれていたカフェオレに口を付けた。集中していたのか運ばれてきたのに気付けなかった。ソファに背を預け目を閉じる。こうすると一人きりのようだ。後ろにいるはずの黒子はまるで気配がない。 「赤司君の話をしましょうか」 不意に後方から声が飛んできた。

2015-03-19 13:00:08
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

オレの一驚と文句をムシして黒子は語り始めた。 「どこまで話しましたっけ…ボクが本屋でバイトを始めたところからですね。(黒子のクソ長い話2) privatter.net/p/680305 5年前、初めて赤司君が負けて以来、彼のお父さんは赤司君に失望し代わりを探すようになりました」

2015-03-19 13:05:05
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

「赤司Co.,新卒採用の真の目的は赤司君を凌ぐ後継者探しです」 背後で椅子を引く音がしたかと思うと、気付けば黒子は向かいのソファに座っていた。 「花宮さん、“赤司征十郎”職に応募する気はありませんか」 ゾッとするほど迷いのない目。 「あなたに赤司君を、そして世界を救ってほしい」

2015-03-19 13:15:05

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意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

自分を信じて疑わない奴の目だ。 「赤司Co.,は就活生に理不尽な選考を課し、日本中の若者の未来を奪っています。赤司君の敗北から始まった負の連鎖を…誰かが止めなくてはなりません。赤司君は…本来こんなこと喜んでするような人じゃないはずです。彼を倒し、本当の赤司君を取り戻してください」

2015-03-19 13:20:10
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

「親が親なら子も子、人が人なら会社も会社だな」 狂ってやがる…! 就活って何だっけ? 「何を言っているのかわからないと思いますが、ボクも何が起こっているのかわかりません」 「オイ」 「ただ言えるのは、5年前の戦いでボクはあまりに多くのことを変えすぎてしまった、ということです」

2015-03-19 13:25:07
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

「変わってしまったことは再び変えるしかありません」 誠凛の優勝で急成長した相田スポーツジムが人手不足で森山ごときを採用したり、黒子のバスケが経済を動かし雇用を促進した面もある。山崎の件も5年前の赤司の敗北が関係しているのか…? 「なんでオレがお前のバスケの尻拭いをさせられんだよ」

2015-03-19 13:30:07
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

「ボクと黛さんの目的は赤司君の解放。目的があれどボク達は術を持たない。だから花宮さんに能力(ちから)になってほしいんです。お願いします。できるのはあなただけなんです」 「勘違いすんな。皆が皆お前のために動くわけじゃねぇ」 「でも花宮さん」 「もうボクのこと結構好きでしょう…?」

2015-03-19 13:35:03
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

「応募資格は50内定を有する学生です。本当は、花宮さんが達成してから話そうと思ってたのですが…途中で話すと以前のキミならその場で就活を辞めてしまいそうだったので。ですが、今のあなたならやってくれると信じてお話しました。31日までまだ時間がある。諦めることはありません」 「ふはっ」

2015-03-19 13:40:08
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

「“今のあなた”って何だよ。お前に何がわかんだよ」 「わかりますよ、ずっと見てきましたから。キミはこの1年で成長した」 「自分に都合の良い変化を成長と呼び、都合が悪けりゃ堕落と呼んでるだけだ。青峰のこともそうだろ。お前にとっては“変わってしまった”でも桐皇にとってはそうじゃねぇ」

2015-03-19 13:45:07
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

「でも青峰君は最終的に元の彼に戻ってくれました。やっぱり花宮さんの変化は成長だと思います」 「もうオレは引き返せないとこまできてるってか?」 「ええ、あなたは悪役を辞めてヒーローに転職するんです」 「正気か。オレはお前の先輩の膝をぶっ壊したんだぞ?」 こっちまで気が狂いそうだ。

2015-03-19 13:50:07
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

「火神君やカントクにも同じことを言われました。頼る人間を間違えてる、と。それでも、ボクは花宮さんに近づくことを決めた。あなたの他に50内定を獲得し赤司君に勝てる可能性がある人物はいないからです」 「オレの行きつけの本屋でバイトしてたのも…最初からオレを利用する気だったってワケか」

2015-03-19 13:55:02
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

「それでも、キミは本当は誰かに利用されたいんじゃありませんか?」 「キメェこと言うな。どこをどう見たらオレがんなドMに見えんだよ」 「利用されてるか必要とされてるかの違いはお互いの心の持ちようです」 「んなワケねぇだろバァカ」 「今、ボクは誰より花宮さんのことを必要としています」

2015-03-19 14:00:19