第1回日本漢文学総合討論

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忘却散人(Yoichi IIKURA) @iikurayoichi

今日はいよいよ日本漢文学プロジェクトの公開シンポジウム、日本漢文学総合討論が行われますが、いかなる展開となりますやら。3つのシンポジウムと全体討論すべてを聴かせていただく予定です。はじまりまで、あと50分です。ワクワクします。

2015-03-23 09:41:07
忘却散人(Yoichi IIKURA) @iikurayoichi

日本漢文学プロジェクト、時折、実況中継的に感想を挟んでゆきますが、すべて私の主観によるものであり、あくまで私的なまとめで、公的な意味合いはまったくないことを、あらかじめ申し上げておきます。

2015-03-23 09:44:29
忘却散人(Yoichi IIKURA) @iikurayoichi

日本漢文学プロジェクトシンポジウム。開会15分前に、いきなり「開会の挨拶」をお願いされた!えっ!ちょっとちょっと。あわわわわ。

2015-03-23 10:26:02
忘却散人(Yoichi IIKURA) @iikurayoichi

午前中から開催なのだけれど、出足はいい。上智大の福井さん、国語学の岡島さん、近代文学の斎藤さんの姿も見える。

2015-03-23 10:30:01
忘却散人(Yoichi IIKURA) @iikurayoichi

はじまりました。舌も回らない感じで、超稚拙な開会の挨拶のあとで、第1セッション開始。「日本漢詩の古典化と近代の文藝批評および教科書」。合山さんのパネル趣旨説明では、日本漢詩のカノンについて。近代の文藝批評と教科書に注目。江戸時代の漢詩を中心に。

2015-03-23 10:40:39
忘却散人(Yoichi IIKURA) @iikurayoichi

日本で好まれる漢詩と、海外で好まれる漢詩は違ったりする。

2015-03-23 10:42:30
忘却散人(Yoichi IIKURA) @iikurayoichi

最初に登場するのは、学部3回生の鈴木加成太さん。明治時代の中学校漢文教科書を調査してデータを報告。明治35年に、どういう作品をどの学年で扱うかということが政府から通達された。それ以前の教科書を扱う。頼山陽・青山拙斎・塩谷宕陰・斎藤拙堂など。

2015-03-23 10:54:59
忘却散人(Yoichi IIKURA) @iikurayoichi

ついで小杉優歌さん(学部3回生)による「中村真一郎による江戸漢詩の再評価」。具体的に中村の漢詩鑑賞の文章を分析。中村の「描写」という概念について「私にはピンと来ないところが多いのですが」と、正直にいうところ、なんだか新鮮。

2015-03-23 11:04:41
忘却散人(Yoichi IIKURA) @iikurayoichi

二人の発表をふまえて、合山さんが、幕末から明治、大正、昭和を通して、「名詩」が形成されるさまざまな動き、要因を分析。アンソロジー、教科書、詩吟・剣舞、永井荷風の評価(フランス文学との近似性を発見?)、富士川英郎の菅茶山評価、そして意外に徳富蘆花。それに影響を受けた田中角栄。

2015-03-23 11:23:54
忘却散人(Yoichi IIKURA) @iikurayoichi

合山さんによれば、明治30年代と昭和40年代が、カノン形成にとって重要な時期。

2015-03-23 11:25:12
忘却散人(Yoichi IIKURA) @iikurayoichi

ついで学部2年生の羽原綾香さんが「英語圏の日本漢詩アンソロジーの選詩状況について」を発表。1997年に刊行された、”ANTHOLOGY OF KANSHI BY JAPANESE POETS OF THE EDO PERIOD”を材料に分析。

2015-03-23 11:34:52
忘却散人(Yoichi IIKURA) @iikurayoichi

ついで、阪大OBで現在西北大学で教鞭をとる高兵兵さんの「中国における日本漢詩の受容、及び日本漢詩の詞華集」。「日本漢詩文」というカテゴリーはなくて、「東アジア漢文学」といったカテゴリーの中に入る。

2015-03-23 11:48:58
忘却散人(Yoichi IIKURA) @iikurayoichi

中国との関わりのある漢詩文への関心がやはり高い。日本漢文学史の記述については、1990年代から登場。研究書も同じ。また2000年以降、東アジア漢文学の比較的研究がいくつか。日中交流史の立場からも。

2015-03-23 11:54:41
忘却散人(Yoichi IIKURA) @iikurayoichi

近年はプロジェクトも。王暁平氏の「日本漢文古写本整理与研究」プロジェクト。李均洋氏の「日本漢詩彙編及研究」プロジェクト。台湾では王三慶氏の『日本漢文小説叢刊』。高兵兵さんもアンソロジーの出版を計画。

2015-03-23 11:59:31
忘却散人(Yoichi IIKURA) @iikurayoichi

質疑応答については、中国文学の浅見洋二さん、私、新稲さんから質問や感想があり。浅見さんは西洋文学からの視点、私は日本漢詩文に「カノン形成」があるのかと疑問、新稲法子さんは田中角栄の評価について合山さんに異論。いずれも詳細に紹介できません。ごめん。

2015-03-23 12:13:02
忘却散人(Yoichi IIKURA) @iikurayoichi

高兵兵さんが中国における日本漢詩文研究の今後についてコメントで、時間となりました。昼休み。

2015-03-23 12:13:50
忘却散人(Yoichi IIKURA) @iikurayoichi

午後の部開始。第2パネル。「祖述の様相―近世詩文の内なる唐土」。まず福島理子さんが登場。唐風への同化と億時性の構築―荻生徂徠「蛍」詩を例にとって」。徂徠の「蛍」は杜甫の「蛍火」と何景明の「流蛍篇」を使う。何景明の詩は杜甫へのオマージュ。徂徠はそれへのオマージュ。複雑。

2015-03-23 13:08:43
忘却散人(Yoichi IIKURA) @iikurayoichi

この「蛍」の詩から、福島さんは5つの仮説を立てる。その3つめ。詩人には一種の口癖のようなものがある。徂徠の場合は「似」。この話とても面白い。

2015-03-23 13:15:25
忘却散人(Yoichi IIKURA) @iikurayoichi

2番目は康盛国さん。「日朝漢詩交流の場における古文辞派の存在―申維翰の日本漢詩批評を例に―」。古文辞派の李攀龍を模範としていた申維翰は、日本の唐金梅所の詩が、明の古文辞派の影響を受けた新井白石の詩の影響を受けていると判断している。古文辞は日朝交流の上で共通する確かな基盤。

2015-03-23 13:28:39
忘却散人(Yoichi IIKURA) @iikurayoichi

3番目は、新稲法子さん。「詩風転換以降の詩壇と漢詩の「日本化」」。古文辞派から性霊派への転換して流行したことがいくつかある。それは「日本化」と関係している。たとえば南宋詩とくに田園詩の流行。気候も近い南宋の田園詩は日本人が作ろうとするとき大いに参考になる。陶淵明ではなく。

2015-03-23 13:37:47
忘却散人(Yoichi IIKURA) @iikurayoichi

また中晩唐詩の流行。盛唐詩から宋詩に移る中継点に中晩唐詩があった。初心者向き。また絶句の流行。俳句の境地に近い(富士川英郎)?これも初心者むけという点にポイントあり。んー、新稲さんのいう「日本化」とはなんだろう?「大衆化」でもあるとおっしゃているが。

2015-03-23 13:47:40
忘却散人(Yoichi IIKURA) @iikurayoichi

最後に鷲原知良さんが登壇。新稲さんを受ける形で「中唐・晩唐について」。大沼枕山の館柳湾に因む詩や「春の懐い」を詠じた詩をとりあげ、中唐の代表的詩人韓愈の「秋の懐い」を換骨奪胎したものと指摘。中唐詩受容の一端。んー。秋を春に転じた、その発想はどこから来るのか?

2015-03-23 14:00:59
忘却散人(Yoichi IIKURA) @iikurayoichi

4人の発表終わり。あ、このパネルは福島さんが司会なのね。浅見洋二さんが中国文学の立場からコメントする。「アプロプリエーション」という用語を用いて総括的コメント。ひとくちに宋といっても北宋と南宋は違う。唐も同様で、今日の発表でそれがよくわかった。

2015-03-23 14:08:00
忘却散人(Yoichi IIKURA) @iikurayoichi

中国でも、どうアプロプリエートするかで唐宋詩の争いがあった。宋で漢詩の歴史は終わったという考えがあるが、では江戸時代の日本の知識人たちは漢詩の歴史を作っているという意識があったのか?そこまで掘り下げると立体的な漢詩の歴史となるのではないか?と刺激的な提言。

2015-03-23 14:12:21