茂木健一郎（@kenichiromogi）さんの連続ツイート第1459回「教えようと思ったら、その内容の10倍は勉強をしないとダメだよ」

茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート第１４５９回をお届けします。文章はその場で即興で書いています。本日は、きのう出会ったあること。

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相澤洋二先生が定年で早稲田を退職されて、その記念の複雑系の研究会があった。相澤先生がプリゴジンを招いて国際シンポをしたとき、当時（確か）大学院生だった私は参加して、初めてお目にかかった。時間の非対称性の起源についてプリゴジンに質問したのが、なつかしい思い出である。

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ある時、郡司ペギオ幸夫の講演を聞きながら、相澤洋二先生は熱心にノートを書いていた。終わったあと、郡司が、「相澤先生、何を書いていたんですか？」とのぞいたら、「相澤洋二、相澤洋二・・・」と自分の名前がたくさん書いてある。「話を聞いていたら、自分が何者か不安になって」と相澤先生。

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そんな、ほんとうに素敵な相澤先生を大切に思う仲間たちがあつまって、討論をした。その打ち上げの席で、津田一郎先生がいらして、ぼくの弟子の関根崇泰が話していた。関根は、この春からある大学で通年の授業を持つ。その話をしていたら、津田先生が、心に残ることをおっしゃった。

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「教えようと思ったら、その内容の１０倍は勉強をしないとダメだよ」と津田一郎先生。確かにそのとおりかもしれない。授業をしていて、ある情報を伝えていても、その他にもたくさんの知識、経験があって初めて、情報につやが出るし、説明や質疑応答にも、安定感や迫力がある。

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津田一郎先生の、「教えようと思ったら、その内容の１０倍は勉強をしないとダメだよ」という言葉は、現場の感覚に基づく、生きた言葉で、ああ、今日はこの言葉に出会えてよかったな、と思った。同時に、この言葉は、教壇に立つすべての人への、戒めと励まし、そして夢の言葉だなと思ったのである。

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以上、連続ツイート第１４５９回「教えようと思ったら、その内容の１０倍は勉強をしないとダメだよ」をテーマに、５つのツイートをお届けしました。